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7 謝罪
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いわゆる土下座というやつだ。
しかも、此処は地面は汚土。せっかくの綺麗な服が泥だらけになってしまうじゃないか。しかも、おでこまでべったりつけている……。
「ジュリアーナさん、ごめんなさい。私はとんでもないことをしてしまいました……」
そこまでするかと言うほど頭を……しかも地面に更にべったりと付けてしまってまで……。
すぐにベルジャミさんのところまで駆け寄って、すぐに起き上がらせようとした。
しかし、さすが格闘をやっているだけのことはあるようだ。
あまりにも強い力なので、私の力では起こすこともできない。
「ベルジャミさん、一旦顔をあげて欲しいの。お願いだから」
「無理ですよ! 私はあなたの大事な人を奪ってしまったんです! 一生償っても償いきれない行為をしてしまってどの面さげて顔を上げろと言うの……?」
やはり婚約者がいたことも知らなかったのだろう。
それだけに今の現状はよろしくない。
このまま放置していたら、罪を意識して自殺までしてしまいそうなくらいだ。
そんなことはさせるものか。
むしろベルジャミさんには感謝するべきかもしれない。
私に重くのしかかっていた鎖が取れたような気持ちなのだから。
「ベルジャミさん、本当に顔をあげて。あなたは私の気持ちを変えてくれたのよ。これで旦那と離婚する決意がようやくついたのだから」
「え……!?」
ようやく顔をあげてくれた。
顔についてしまった泥があまりにも酷いので、私の持っていたミニタオルで顔をそっと拭いた。
「あ……ありがとう。でもジュリアーナさん? 私は悪女なのよ。そんな女になんでそんなに優しくしてくれるの?」
「えぇ。もしもベルジャミさんのことを何も知らずに出会ってたらこんな風にはならなかった。それに、多分あなたを責めていたと思うの」
ただ、それに加えてもう一つ代償が残っていたものがあるのだ。
「でもね……別の場所で会っていたら、今の旦那とも何も知らずに離婚しないで毎日過ごしていたと思うわ。マスターがどんなに言っても私の心は変わらなかったの。でも、あなたのおかげでようやくダメ夫だってわかった。ベルジャミさんは悪くない!」
ベルジャミさんは泣きながら抱きついてきた。
服も泥だらけで、それが私の服にも付着したが、そんな些細なことはどうでもいい。
「私、しっかりジュリアーナさんに慰謝料も払います。それに二度と旦那さんには近づきません。約束は必ず守ると誓います。……あ! 服に汚れが……」
「こんなの気にしなくて良いわよ。それに慰謝料もいらない。だけど、一つだけお願いしたいことがあるの」
「私にできることがあれば」
別に私のことは自業自得のようなものだから仕方がない。
あれだけ周りから猛批判を喰らっても、何かと思い出を大事にして旦那を庇ってきた報いともいえる。
だが、ベルジャミさんの心を傷つけて不倫行為をしたザーガルトだけは許せないのだ。
だからこそ、旦那にはしっかりと罰を受けてもらいたい。
復讐とまでは言わないかもしれないが、窮地には追い詰めることにする。
「それはね……。──」
「えぇ!?」
ベルジャミさんが驚くのは当然だろう。
マスターまで驚いているようだが、私を怒らせたらどうなるかは彼ならよく分かっているので、何も文句を言ってくることはない。
しかも、此処は地面は汚土。せっかくの綺麗な服が泥だらけになってしまうじゃないか。しかも、おでこまでべったりつけている……。
「ジュリアーナさん、ごめんなさい。私はとんでもないことをしてしまいました……」
そこまでするかと言うほど頭を……しかも地面に更にべったりと付けてしまってまで……。
すぐにベルジャミさんのところまで駆け寄って、すぐに起き上がらせようとした。
しかし、さすが格闘をやっているだけのことはあるようだ。
あまりにも強い力なので、私の力では起こすこともできない。
「ベルジャミさん、一旦顔をあげて欲しいの。お願いだから」
「無理ですよ! 私はあなたの大事な人を奪ってしまったんです! 一生償っても償いきれない行為をしてしまってどの面さげて顔を上げろと言うの……?」
やはり婚約者がいたことも知らなかったのだろう。
それだけに今の現状はよろしくない。
このまま放置していたら、罪を意識して自殺までしてしまいそうなくらいだ。
そんなことはさせるものか。
むしろベルジャミさんには感謝するべきかもしれない。
私に重くのしかかっていた鎖が取れたような気持ちなのだから。
「ベルジャミさん、本当に顔をあげて。あなたは私の気持ちを変えてくれたのよ。これで旦那と離婚する決意がようやくついたのだから」
「え……!?」
ようやく顔をあげてくれた。
顔についてしまった泥があまりにも酷いので、私の持っていたミニタオルで顔をそっと拭いた。
「あ……ありがとう。でもジュリアーナさん? 私は悪女なのよ。そんな女になんでそんなに優しくしてくれるの?」
「えぇ。もしもベルジャミさんのことを何も知らずに出会ってたらこんな風にはならなかった。それに、多分あなたを責めていたと思うの」
ただ、それに加えてもう一つ代償が残っていたものがあるのだ。
「でもね……別の場所で会っていたら、今の旦那とも何も知らずに離婚しないで毎日過ごしていたと思うわ。マスターがどんなに言っても私の心は変わらなかったの。でも、あなたのおかげでようやくダメ夫だってわかった。ベルジャミさんは悪くない!」
ベルジャミさんは泣きながら抱きついてきた。
服も泥だらけで、それが私の服にも付着したが、そんな些細なことはどうでもいい。
「私、しっかりジュリアーナさんに慰謝料も払います。それに二度と旦那さんには近づきません。約束は必ず守ると誓います。……あ! 服に汚れが……」
「こんなの気にしなくて良いわよ。それに慰謝料もいらない。だけど、一つだけお願いしたいことがあるの」
「私にできることがあれば」
別に私のことは自業自得のようなものだから仕方がない。
あれだけ周りから猛批判を喰らっても、何かと思い出を大事にして旦那を庇ってきた報いともいえる。
だが、ベルジャミさんの心を傷つけて不倫行為をしたザーガルトだけは許せないのだ。
だからこそ、旦那にはしっかりと罰を受けてもらいたい。
復讐とまでは言わないかもしれないが、窮地には追い詰めることにする。
「それはね……。──」
「えぇ!?」
ベルジャミさんが驚くのは当然だろう。
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