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6 知られてしまった
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「ジーナちゃん……」
ダメージは尋常じゃない。
ベルジャミさんにも慰められている。
だが、凹んでいる場合ではない。
しっかりしなければ!
「ごめんなさい。私は大丈夫。それよりもベルジャミさんの方が心配よ」
「私の話なんていいのよ……後半はただの彼氏の愚痴だから」
「ねぇ……ベルジャミさん、彼氏さんの名前ってなんていうの?」
思考回路がめちゃくちゃになってしまっているので、言葉が勝手に出てしまった。
「ん? ザーガルトよ。流石に名前までは──」
「なっ!?」
マスターが発狂してしまった。
やらかしてしまったかもしれない。
「ちょっとジーナ、裏に来てくれるか?」
「え? なに!? どういうこと? 知り合いなの?」
「あ……まぁちょっと知っているかもしれないからな。それよりもジーナの心のケアを少ししようかと思ってな! ちょっと待っててくれ」
誤魔化してくれたのだ。マスターありがとう。
カフェの裏側に行き、マスターには全てを話すしかなかった。
「そうか……同一人物か。全くあの男は……」
「ねぇマスター、ベルジャミさんっていい人でしょ? 彼女は旦那がいることを知らないだけなのよね!?」
「それは間違いないと思う。知ってて行動するような人間では無いことは保証してもいい!」
やはりベルジャミさんはむしろ被害者と言ってもいいだろう。
彼女は悪人ではない。
このカフェで会えて本当によかった……。
「私、どうしたら……」
「おそらくベルジャミちゃんも同じ手段で騙されているんだろう。おまけに妻がいるとも言っていない。こんなことが許されることではないな」
「ベルジャミさんには私のことは黙っておいて欲しい。その上で、彼女も騙されていることを知って別れてくれれば一番良いんだけど」
「はぁ……お前は本当に優しいんだな。普通理由はなんであれ不倫相手が目の前にいたら修羅場だぞ……」
マスターは呆れているようで大きなため息をはいている。
もちろんベルジャミさんのことを知らなかったら修羅場にはなっていただろう。
だが、せめて彼女だけは、これ以上傷を負わせたくない。
知らないで交際していたのだから、もしも妻がいるなんて知ったら罪悪感で立ち直れなくなるかもしれないだろう。
私の旦那が原因で、そんなことがあってはならない。
「ジュリアーナはどうするんだ?」
「……正直どうしたら良いかまだわからない。多分時間と共に冷めると思う。でも、これだけ言われても嘘であって欲しいと心のどこかで思っているし……。それだけ愛していたから……」
「ずっと愛してるって言っていたもんな。一旦戻るか……。まずはベルジャミちゃんに事件は詐欺だったと言うか……事実とはいえ言いづらいものだがな」
二人でため息をはいていたとき……。
「その必要はないわ……」
「ベルジャミちゃん!?」
「ベルジャミさん!?」
なんということだろうか。
まさか裏に来ていたとは……。
「マスター、勝手に入っちゃってごめんなさい。でもどうしてもジーナちゃんのことが心配で……いえ、ジュリアーナさん……」
名前もバレている。おそらくほぼ最初から会話を聞かれていたのだろう。
どうしたら良いのか考えもする前に、いきなりベルジャミさんが跪いて頭を地面につけてしまった。
ダメージは尋常じゃない。
ベルジャミさんにも慰められている。
だが、凹んでいる場合ではない。
しっかりしなければ!
「ごめんなさい。私は大丈夫。それよりもベルジャミさんの方が心配よ」
「私の話なんていいのよ……後半はただの彼氏の愚痴だから」
「ねぇ……ベルジャミさん、彼氏さんの名前ってなんていうの?」
思考回路がめちゃくちゃになってしまっているので、言葉が勝手に出てしまった。
「ん? ザーガルトよ。流石に名前までは──」
「なっ!?」
マスターが発狂してしまった。
やらかしてしまったかもしれない。
「ちょっとジーナ、裏に来てくれるか?」
「え? なに!? どういうこと? 知り合いなの?」
「あ……まぁちょっと知っているかもしれないからな。それよりもジーナの心のケアを少ししようかと思ってな! ちょっと待っててくれ」
誤魔化してくれたのだ。マスターありがとう。
カフェの裏側に行き、マスターには全てを話すしかなかった。
「そうか……同一人物か。全くあの男は……」
「ねぇマスター、ベルジャミさんっていい人でしょ? 彼女は旦那がいることを知らないだけなのよね!?」
「それは間違いないと思う。知ってて行動するような人間では無いことは保証してもいい!」
やはりベルジャミさんはむしろ被害者と言ってもいいだろう。
彼女は悪人ではない。
このカフェで会えて本当によかった……。
「私、どうしたら……」
「おそらくベルジャミちゃんも同じ手段で騙されているんだろう。おまけに妻がいるとも言っていない。こんなことが許されることではないな」
「ベルジャミさんには私のことは黙っておいて欲しい。その上で、彼女も騙されていることを知って別れてくれれば一番良いんだけど」
「はぁ……お前は本当に優しいんだな。普通理由はなんであれ不倫相手が目の前にいたら修羅場だぞ……」
マスターは呆れているようで大きなため息をはいている。
もちろんベルジャミさんのことを知らなかったら修羅場にはなっていただろう。
だが、せめて彼女だけは、これ以上傷を負わせたくない。
知らないで交際していたのだから、もしも妻がいるなんて知ったら罪悪感で立ち直れなくなるかもしれないだろう。
私の旦那が原因で、そんなことがあってはならない。
「ジュリアーナはどうするんだ?」
「……正直どうしたら良いかまだわからない。多分時間と共に冷めると思う。でも、これだけ言われても嘘であって欲しいと心のどこかで思っているし……。それだけ愛していたから……」
「ずっと愛してるって言っていたもんな。一旦戻るか……。まずはベルジャミちゃんに事件は詐欺だったと言うか……事実とはいえ言いづらいものだがな」
二人でため息をはいていたとき……。
「その必要はないわ……」
「ベルジャミちゃん!?」
「ベルジャミさん!?」
なんということだろうか。
まさか裏に来ていたとは……。
「マスター、勝手に入っちゃってごめんなさい。でもどうしてもジーナちゃんのことが心配で……いえ、ジュリアーナさん……」
名前もバレている。おそらくほぼ最初から会話を聞かれていたのだろう。
どうしたら良いのか考えもする前に、いきなりベルジャミさんが跪いて頭を地面につけてしまった。
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