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2 回想と不倫現場
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前方から歩いてきたチャラそうな男と私の身体がぶつかってしまい絡まれてしまった……。
「おい、ねーちゃん。浮かれすぎて前見て歩いてねーからこういうことになんだろ!? 謝れよ」
いや、しっかり見ていたけど。
どちらかというと相手からこちらに向かってきたので、ワザと接触してきたに違いない。しかも、ぶつかったとき、私の胸に長い時間相手の腕が触れていた。
昔、私を襲ってきた二人組と比べたら弱そうな感じの男だったが、なぜかザーガルトはオドオドしていたのだ。
ザーガルトは震えながら完全に固まってしまったので、私がお辞儀をして謝った。
無難に解決した方が楽だし、こんなバカをいちいち相手にするのも時間の無駄だ。
「ごめんなさい、気をつけますので許していただけませんか?」
「ふんっ……素直に謝りゃいいってことよ。そんなでかい胸なんだし、もっとエロい服着て露出しておいた方がいいぜ。じゃあな」
胸に触れていた部分をわざとらしく舌で舐めていた。気持ち悪い。
屈辱はあったものの、なんとか切り抜けた。だが、ザーガルトはガクガク状態だった。
初めて出逢ったときのカッコ良さはどうしたんだろうか。
「……すまないな、本来ならばぶっ殺したいところだったが、こんな街中で相手を殺してしまっては俺が捕まる。そうしたらジュリアーナにも迷惑がかかるだろう?」
その割には脂汗のようなものが大量に出ているし、どちらかというと恐怖で動けなかったような感じがしてしまう。
とはいえ、私のストレスが増えた程度で解決したので気にしなかった。
「それに手を繋いでいるからああいう輩が嫉妬して絡んでくるんだよ」
なぜか私が怒られる羽目に……。
「やはり手を繋ぐのも危険だな」
そう言って私の手を離してしまった。
絡まれたチンピラ相手に対してより、ザーガルトに言われた言葉の方がストレスだ。
「ところでジュリアーナ。先に帰っててくれるか? 少し寄りたい場所がある」
「え……えぇ……わかったわ」
ザーガルトはすぐに買い物した荷物を私に持たせてその場を去った。
散々な目にあったのでぼーっとしていたのだが、ふと冷静に考えてみたのだが、嫌な予感しかしなかった。
向かった方角はさっきのチンピラの方だ。
──まさか、私に見られないように復讐するつもりでは……!?
事件は解決しているし、余計な気概を加えて暴行事件になってしまったらたまったものではない。
すぐにザーガルトを追ったのだが、荷物が多いので追いつけなかった。
しばらく探してみると、運良くザーガルトを発見した。
だが、そこで私は持っていた荷物を無意識に全て落としてしまった。
「……あの女、誰……!?」
ザーガルトと腕を組んでいたのは二十歳くらいの派手な格好をした女だった。
私は咄嗟に見つからないように隠れた。
♦︎
二人はその場で抱き合いキスまでしようとしていた。
どうしてもこの場で文句を言いに行く度胸がない。
悔しい気持ちはもちろんあるが、それよりもザーガルトが開き直って浮気相手の女を選んでしまえばこれっきりだろう……。
反省して二度とこのようなことをしないでくれればそれでも良い。
それで私の元へ戻ってきてくれればいいと思っている。
なので、せめて証拠として魔道具を使って映像だけは記録しておくことにした。
「はぁ……」
大きなため息と悔しさと嫉妬が絡み合って絶大なストレスを溜めていく。
前にも言ったが、好きになった方が負けだとつくづく思う。
ようやく二人が移動しはじめたので、映像を引き続き記録しながらバレないように跡をつけた。向かった場所は、カップルが二人で過ごす施設。そのまま仲良さそうに入ってしまった。
もちろんこの映像もしっかりと記録してはいるが、悔しさと悲しみでついに涙が出てきてしまう。
私は一人で呆然としながら家へ帰る。
買物した荷物はどこかに置き忘れてしまったことに気がつくのは随分後のことだった。
「おい、ねーちゃん。浮かれすぎて前見て歩いてねーからこういうことになんだろ!? 謝れよ」
いや、しっかり見ていたけど。
どちらかというと相手からこちらに向かってきたので、ワザと接触してきたに違いない。しかも、ぶつかったとき、私の胸に長い時間相手の腕が触れていた。
昔、私を襲ってきた二人組と比べたら弱そうな感じの男だったが、なぜかザーガルトはオドオドしていたのだ。
ザーガルトは震えながら完全に固まってしまったので、私がお辞儀をして謝った。
無難に解決した方が楽だし、こんなバカをいちいち相手にするのも時間の無駄だ。
「ごめんなさい、気をつけますので許していただけませんか?」
「ふんっ……素直に謝りゃいいってことよ。そんなでかい胸なんだし、もっとエロい服着て露出しておいた方がいいぜ。じゃあな」
胸に触れていた部分をわざとらしく舌で舐めていた。気持ち悪い。
屈辱はあったものの、なんとか切り抜けた。だが、ザーガルトはガクガク状態だった。
初めて出逢ったときのカッコ良さはどうしたんだろうか。
「……すまないな、本来ならばぶっ殺したいところだったが、こんな街中で相手を殺してしまっては俺が捕まる。そうしたらジュリアーナにも迷惑がかかるだろう?」
その割には脂汗のようなものが大量に出ているし、どちらかというと恐怖で動けなかったような感じがしてしまう。
とはいえ、私のストレスが増えた程度で解決したので気にしなかった。
「それに手を繋いでいるからああいう輩が嫉妬して絡んでくるんだよ」
なぜか私が怒られる羽目に……。
「やはり手を繋ぐのも危険だな」
そう言って私の手を離してしまった。
絡まれたチンピラ相手に対してより、ザーガルトに言われた言葉の方がストレスだ。
「ところでジュリアーナ。先に帰っててくれるか? 少し寄りたい場所がある」
「え……えぇ……わかったわ」
ザーガルトはすぐに買い物した荷物を私に持たせてその場を去った。
散々な目にあったのでぼーっとしていたのだが、ふと冷静に考えてみたのだが、嫌な予感しかしなかった。
向かった方角はさっきのチンピラの方だ。
──まさか、私に見られないように復讐するつもりでは……!?
事件は解決しているし、余計な気概を加えて暴行事件になってしまったらたまったものではない。
すぐにザーガルトを追ったのだが、荷物が多いので追いつけなかった。
しばらく探してみると、運良くザーガルトを発見した。
だが、そこで私は持っていた荷物を無意識に全て落としてしまった。
「……あの女、誰……!?」
ザーガルトと腕を組んでいたのは二十歳くらいの派手な格好をした女だった。
私は咄嗟に見つからないように隠れた。
♦︎
二人はその場で抱き合いキスまでしようとしていた。
どうしてもこの場で文句を言いに行く度胸がない。
悔しい気持ちはもちろんあるが、それよりもザーガルトが開き直って浮気相手の女を選んでしまえばこれっきりだろう……。
反省して二度とこのようなことをしないでくれればそれでも良い。
それで私の元へ戻ってきてくれればいいと思っている。
なので、せめて証拠として魔道具を使って映像だけは記録しておくことにした。
「はぁ……」
大きなため息と悔しさと嫉妬が絡み合って絶大なストレスを溜めていく。
前にも言ったが、好きになった方が負けだとつくづく思う。
ようやく二人が移動しはじめたので、映像を引き続き記録しながらバレないように跡をつけた。向かった場所は、カップルが二人で過ごす施設。そのまま仲良さそうに入ってしまった。
もちろんこの映像もしっかりと記録してはいるが、悔しさと悲しみでついに涙が出てきてしまう。
私は一人で呆然としながら家へ帰る。
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