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16 犯人探しと恩返し 前編
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「さすがアイリス殿! 発想が素晴らしい。これならばホルスタが昏睡させられた犯人もいずれに見つかるであろう」
「いえ、この提案は──」
──コホン!!
ジュエル殿下が咳払いをして会話の場を乱した。
「さすがアイリスだ。昨日私もこの発想を聞いて素晴らしいと思っていたのでね」
「え……? ええと、はい……」
陛下を騙しているようで申し訳ない気持ちになる。
あくまで提案をしてきたのはジュエル殿下だというのに。
「では早速やってくれたまえ」
「でも、良いのですか? 私、こんなことして捕まったりしませんか?」
「むろん、大丈夫だ。法の権力よりも強い権力を持つ私が認めるのだから。なによりも、息子を昏睡状態にあわせるような輩がいまだにこの国のどこかにいるかと思う方が危険で民衆にも被害が及ぶ可能性もあるだろう。遠慮せずやってほしい」
「わかりました……」
そうだった……。
今私は国で一番偉い人と話をしているんだった。
想定以上ばかりの出来事だらけで、私の脳が追いついていない。
とにかく今は聖女二日目としてしっかりと役目を果たしてみようか。
昨日と同じように目を瞑って両手を揃えた。
『ホルスタ殿下を昏睡状態にさせた毒、もしくはその類を盛った犯人と関わった者たちの身体中が痒くて痒くてたまらなくなり、更にシャックリが頻繁に出て止まらなくなってほしい……。三日間ほど……』
目を開けてから後悔している。
こんなことをして本当に良かったのだろうか……。
「アイリス殿よ、力になってくれて感謝する。あとは目立つ犯人を探せばよいというわけだ。部下たちや騎士、それに諜報部隊総力をあげて国中から探し出そう」
「それから、もう一つ力をここで使いたいのですが」
陛下に確認を取ると、すぐにコクリと頷いてくれた。
すぐにでもやってみよう。
何故か、自分から動くことに関してワクワクしてきた。
こんな気持ちは初めてだ。
『イグニエル王国で育てている野菜や果物といった作物が、すぐに収穫できるまで成長し実ってほしい!!』
「「「おおおおぉぉぉ!!」」」
陛下やジュエル大臣、ホルスタ大臣までもが歓声のような声を出していた。
私は目を開けると、目の前にジュエル殿下がいたので、またしても驚いてしまう。
今回いつもの声はなんとか出さずに堪えた。
だが……。
「ひひょええ!? なななななにを……!?」
ジュエル殿下の両手が、私の両手を優しく包み込まれた。
男の人にこんなことされたことはほぼないので、私は驚きのあまり変な声を出した上に顔から湯気が出そうなくらいに火照った。
「今イグニエル王国は収穫の危機に直面しそうなところだったのだ。アイリスが今祈ってくれた力が発動したとなれば、国は救われるかもしれん!!」
「え、えーと、国を救うというよりも陛下や殿下たちが喜ぶかなぁと思ってやってみただけでして……」
王宮へ来てから、私が想定していたことよりもとんでもない事態に発展することが多くなってしまったような気がする。
作物が育てば陛下たちが抱えている問題も少しは解決して楽になるかなぁと思って今回の力を試してみただけだ。
こんなにも、手を握られてまで喜ばれるとは思ってもいなかった。
さて……、ここでの用事も済んだことなので、私は再び元の生活に戻るわけだ……。
「では私はこれで失礼します……」
「アイリスよ、どこへ行くのだ!?」
「クリヴァイム家です。私はあの場所で仕事をしなければならないので……」
「「「仕事?」」」
三人揃って不思議そうな顔をしながら私に視線が集まった。
「いえ、この提案は──」
──コホン!!
ジュエル殿下が咳払いをして会話の場を乱した。
「さすがアイリスだ。昨日私もこの発想を聞いて素晴らしいと思っていたのでね」
「え……? ええと、はい……」
陛下を騙しているようで申し訳ない気持ちになる。
あくまで提案をしてきたのはジュエル殿下だというのに。
「では早速やってくれたまえ」
「でも、良いのですか? 私、こんなことして捕まったりしませんか?」
「むろん、大丈夫だ。法の権力よりも強い権力を持つ私が認めるのだから。なによりも、息子を昏睡状態にあわせるような輩がいまだにこの国のどこかにいるかと思う方が危険で民衆にも被害が及ぶ可能性もあるだろう。遠慮せずやってほしい」
「わかりました……」
そうだった……。
今私は国で一番偉い人と話をしているんだった。
想定以上ばかりの出来事だらけで、私の脳が追いついていない。
とにかく今は聖女二日目としてしっかりと役目を果たしてみようか。
昨日と同じように目を瞑って両手を揃えた。
『ホルスタ殿下を昏睡状態にさせた毒、もしくはその類を盛った犯人と関わった者たちの身体中が痒くて痒くてたまらなくなり、更にシャックリが頻繁に出て止まらなくなってほしい……。三日間ほど……』
目を開けてから後悔している。
こんなことをして本当に良かったのだろうか……。
「アイリス殿よ、力になってくれて感謝する。あとは目立つ犯人を探せばよいというわけだ。部下たちや騎士、それに諜報部隊総力をあげて国中から探し出そう」
「それから、もう一つ力をここで使いたいのですが」
陛下に確認を取ると、すぐにコクリと頷いてくれた。
すぐにでもやってみよう。
何故か、自分から動くことに関してワクワクしてきた。
こんな気持ちは初めてだ。
『イグニエル王国で育てている野菜や果物といった作物が、すぐに収穫できるまで成長し実ってほしい!!』
「「「おおおおぉぉぉ!!」」」
陛下やジュエル大臣、ホルスタ大臣までもが歓声のような声を出していた。
私は目を開けると、目の前にジュエル殿下がいたので、またしても驚いてしまう。
今回いつもの声はなんとか出さずに堪えた。
だが……。
「ひひょええ!? なななななにを……!?」
ジュエル殿下の両手が、私の両手を優しく包み込まれた。
男の人にこんなことされたことはほぼないので、私は驚きのあまり変な声を出した上に顔から湯気が出そうなくらいに火照った。
「今イグニエル王国は収穫の危機に直面しそうなところだったのだ。アイリスが今祈ってくれた力が発動したとなれば、国は救われるかもしれん!!」
「え、えーと、国を救うというよりも陛下や殿下たちが喜ぶかなぁと思ってやってみただけでして……」
王宮へ来てから、私が想定していたことよりもとんでもない事態に発展することが多くなってしまったような気がする。
作物が育てば陛下たちが抱えている問題も少しは解決して楽になるかなぁと思って今回の力を試してみただけだ。
こんなにも、手を握られてまで喜ばれるとは思ってもいなかった。
さて……、ここでの用事も済んだことなので、私は再び元の生活に戻るわけだ……。
「では私はこれで失礼します……」
「アイリスよ、どこへ行くのだ!?」
「クリヴァイム家です。私はあの場所で仕事をしなければならないので……」
「「「仕事?」」」
三人揃って不思議そうな顔をしながら私に視線が集まった。
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