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12 国王陛下と話すことになってしまった
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私は二人の王子に連れられて、王室へと案内されてしまった……。
ドアの前で立っている警備がホルスタ殿下を見て驚いている。
「ホルスタ様!! お目覚めになられたのですね!」
「うむ、心配をかけたようだな。ここにいるアイリスという聖女に助けられたのだ」
「なるほど……」
警備が私の方をギロリと見てくる。
こわすぎだろ。
「父上は中にいるか? すぐに命の恩人であるアイリス殿を合わせたい」
「承知いたしました」
ドアが開き、ついに王室へと足を踏み入れてしまった。
「ホルスタ!! 本物か!?」
国王陛下らしきお方が、元気よく大きな声でホルスタ殿下の名前を叫んでいた。
「ご心配をおかけしたようで申し訳ありません。すべては私の不注意が原因です。しかしながら、ここにいるアイリス殿に助けていただいたのでお連れしました」
「ほう……!」
国王陛下が私の顔を見てから全身に目線を向け、やがて再び私の顔に目線が向く。
「どうやったのかは知らぬが、息子を助けてくれてありがとう! 感謝しても足りないほどだ。本当にありがとう!!」
見ず知らずの女一人相手に一国の王様の頭が下がった。
もったいなさすぎる行為を受けて、私は声も出ず混乱してしまう。
「父上、アイリスは緊張しているのでそのへんにしておいてください」
「そうか。息子が蘇ったと思ったら浮かれてしまってつい……」
再び陛下の頭が元に戻る。
私はすでに放心状態だが、なんとか意識を戻した。
「アイリス殿と言ったな。どのようにして息子の昏睡状態を治してくれたのかね?」
「え……ええとですね……、聖なるあれが……ええと……」
ダメだ。
緊張のしすぎで言葉が出てこない。
代弁するかのように、ジュエル殿下がすべて説明してくれた。
更に私が家を追い出されている状態かもしれないということ、食事ができないほど貧しい環境になっているのではないかということ、更にクリヴァイム家の名前までベラベラと喋ってしまった。
話を聞いていた国王陛下とホルスタ殿下の表情がどんどん恐くなっていく。
国王陛下は横を向いて、起立の姿勢を保ちとても地位の高そうな人に対して命令をした。
「クリヴァイム男爵という者を早急に調べあげ報告せよ!」
「承知いたしました」
「え……ええと、陛下。一体何の調査を……?」
私は恐る恐る尋ねた。
「むろん、君の家のことだ。悪いとは思うが、仮にも息子の命の恩人をひどい目に合わせているとなれば、当然制裁が必要となる」
「ひ……」
つまり私が告げ口したことになって、制裁を受けた義父様の怒りの矛先が私に向けられて、やがては前以上の暴力を受けるのでは……。
身体中がガタガタと震えてしまう。
だが、ジュエル殿下が私の肩にそっと手を置き、なだめてくれた。
「大丈夫だ。アイリスが思っているほど君が危険な目にあうことはない」
「そうなのですか? もしも逆恨みをされてしまったら私はきっと……」
想像しただけで恐ろしくなる。
しかし、今回は顔に出てしまったらしく、陛下や王子たちに気持ちが伝わってしまった。
「ふむ……。その証言で概ね現在の待遇が理解できた。アイリス殿よ、息子の恩人としてしばらく王宮で過ごすが良い」
「いいのですか!?」
ドアの前で立っている警備がホルスタ殿下を見て驚いている。
「ホルスタ様!! お目覚めになられたのですね!」
「うむ、心配をかけたようだな。ここにいるアイリスという聖女に助けられたのだ」
「なるほど……」
警備が私の方をギロリと見てくる。
こわすぎだろ。
「父上は中にいるか? すぐに命の恩人であるアイリス殿を合わせたい」
「承知いたしました」
ドアが開き、ついに王室へと足を踏み入れてしまった。
「ホルスタ!! 本物か!?」
国王陛下らしきお方が、元気よく大きな声でホルスタ殿下の名前を叫んでいた。
「ご心配をおかけしたようで申し訳ありません。すべては私の不注意が原因です。しかしながら、ここにいるアイリス殿に助けていただいたのでお連れしました」
「ほう……!」
国王陛下が私の顔を見てから全身に目線を向け、やがて再び私の顔に目線が向く。
「どうやったのかは知らぬが、息子を助けてくれてありがとう! 感謝しても足りないほどだ。本当にありがとう!!」
見ず知らずの女一人相手に一国の王様の頭が下がった。
もったいなさすぎる行為を受けて、私は声も出ず混乱してしまう。
「父上、アイリスは緊張しているのでそのへんにしておいてください」
「そうか。息子が蘇ったと思ったら浮かれてしまってつい……」
再び陛下の頭が元に戻る。
私はすでに放心状態だが、なんとか意識を戻した。
「アイリス殿と言ったな。どのようにして息子の昏睡状態を治してくれたのかね?」
「え……ええとですね……、聖なるあれが……ええと……」
ダメだ。
緊張のしすぎで言葉が出てこない。
代弁するかのように、ジュエル殿下がすべて説明してくれた。
更に私が家を追い出されている状態かもしれないということ、食事ができないほど貧しい環境になっているのではないかということ、更にクリヴァイム家の名前までベラベラと喋ってしまった。
話を聞いていた国王陛下とホルスタ殿下の表情がどんどん恐くなっていく。
国王陛下は横を向いて、起立の姿勢を保ちとても地位の高そうな人に対して命令をした。
「クリヴァイム男爵という者を早急に調べあげ報告せよ!」
「承知いたしました」
「え……ええと、陛下。一体何の調査を……?」
私は恐る恐る尋ねた。
「むろん、君の家のことだ。悪いとは思うが、仮にも息子の命の恩人をひどい目に合わせているとなれば、当然制裁が必要となる」
「ひ……」
つまり私が告げ口したことになって、制裁を受けた義父様の怒りの矛先が私に向けられて、やがては前以上の暴力を受けるのでは……。
身体中がガタガタと震えてしまう。
だが、ジュエル殿下が私の肩にそっと手を置き、なだめてくれた。
「大丈夫だ。アイリスが思っているほど君が危険な目にあうことはない」
「そうなのですか? もしも逆恨みをされてしまったら私はきっと……」
想像しただけで恐ろしくなる。
しかし、今回は顔に出てしまったらしく、陛下や王子たちに気持ちが伝わってしまった。
「ふむ……。その証言で概ね現在の待遇が理解できた。アイリス殿よ、息子の恩人としてしばらく王宮で過ごすが良い」
「いいのですか!?」
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