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3 クリヴァイム家から追い出された
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「まぁアイリス義姉様ったらー、顔色がよろしくないのでは?」
フリンデルは私のことを微笑みながらそう言ってきた。
心配しているような素振りは微塵も感じられない。
「ちょうど今、叱ったところだからな。家から出ていってもらうが、この家での仕事は継続してもらうと言ったら驚いていたものでな。どうやら家に住めることが無料だと思っていたらしい」
「アイリス義姉様ったら本当に頭が悪いのですね。聖女として恥ずかしいですわ。いっそのこと、火事のときに助からなければよかったのに。でもおかげで今の私は聖女として活動できるようになりそうですし、ゴルギーネ様からの縁談も申し込まれたので感謝はしていますわよ?」
「さすが聖女になった我が娘フリンデルは言うことの格が違う。まさかこんなモノに対して情が湧くとは……」
フリンデルは得意げな表情で満面の笑みだ。
私にはわかっている。
フリンデルが私に対して優しく振る舞っているフリをして、私のメンタルをギリギリのところで保てるようにして、家から逃げ出したりしないようにしていたことを。
操られているようで悔しいが、行く宛もなく友達すらいない私にとって、ここしか頼れるところがなかったのだ。
尚且つ、ここ数年の異常気象のせいで治安も悪くなり、外にでれば危険が多いことくらいはわかっている。
だが、すでに覚悟を決めて外へ出ていくしか方法はないだろう。
「で、アイリス義姉様はいつまでここにいるつもりなんですの?」
「すぐに出ていきます……。ですが、最後に一つだけ良いですか?」
「申してみよ」
「フリンデルが聖女だと思い込んでいるようですが、あの雨は偶然なだけかと。それなのに聖女だと主張するのは身を滅ぼすかと」
フリンデルが聖女だと得意気に主張しているが、そもそもフリンデルが聖女になるとは思えなかった。
聖女って、死の縁から蘇った者が稀に与えられる力だと本で読んだことがある。
だが、フリンデルはこれまで一度も病気にすらかかったこともない健康少女だ。
過去に一度死にそうになった私ですら聖女になった実感もない。
今まで一緒に同じ屋根の下で過ごしてきたからこそ、最後に忠告のようなことを言った。
だが、すぐに義父様の手が私の頬に勢いよくあたり、床に倒れてしまった。
頬が燃えるように痛い。
「ひ……」
「!? お前など出てけ!! 二度とフリンデルの悪口は許さぬ! おっと、だが今後毎日朝早くから仕事だけは来るように。来なければ街中を探してでも捕まえ今度は仕事だけで終わるようなことはさせぬぞ?」
義父様の脅迫と暴力がすさまじかった。
私の身体が震えてガクガク状態だ。
何一つ利点のない今となっては、家を出てどこか遠くの国へでも逃げた方が得策かもしれない。
「は……はい……。すぐに……、準備します」
「準備など整っているだろう」
「……え?」
「そもそもお前の荷物などない! せめてもの救いとして今着ている服だけは婚約解消されたことに同情してプレゼントしてやろうか」
「私からもプレゼントですわ。アイリス義姉様が出てしばらくしたら、大雨が降るように聖女として祈ってあげますわ。ずぶ濡れにでもなって男から嫌な目線で見られればきっと新たな婚約者ができるはずよ」
そう言いながら義父様とフリンデルは、私が家から出ていくまでの間、ずっと大きく声に出して嘲笑っていた。
フリンデルは私のことを微笑みながらそう言ってきた。
心配しているような素振りは微塵も感じられない。
「ちょうど今、叱ったところだからな。家から出ていってもらうが、この家での仕事は継続してもらうと言ったら驚いていたものでな。どうやら家に住めることが無料だと思っていたらしい」
「アイリス義姉様ったら本当に頭が悪いのですね。聖女として恥ずかしいですわ。いっそのこと、火事のときに助からなければよかったのに。でもおかげで今の私は聖女として活動できるようになりそうですし、ゴルギーネ様からの縁談も申し込まれたので感謝はしていますわよ?」
「さすが聖女になった我が娘フリンデルは言うことの格が違う。まさかこんなモノに対して情が湧くとは……」
フリンデルは得意げな表情で満面の笑みだ。
私にはわかっている。
フリンデルが私に対して優しく振る舞っているフリをして、私のメンタルをギリギリのところで保てるようにして、家から逃げ出したりしないようにしていたことを。
操られているようで悔しいが、行く宛もなく友達すらいない私にとって、ここしか頼れるところがなかったのだ。
尚且つ、ここ数年の異常気象のせいで治安も悪くなり、外にでれば危険が多いことくらいはわかっている。
だが、すでに覚悟を決めて外へ出ていくしか方法はないだろう。
「で、アイリス義姉様はいつまでここにいるつもりなんですの?」
「すぐに出ていきます……。ですが、最後に一つだけ良いですか?」
「申してみよ」
「フリンデルが聖女だと思い込んでいるようですが、あの雨は偶然なだけかと。それなのに聖女だと主張するのは身を滅ぼすかと」
フリンデルが聖女だと得意気に主張しているが、そもそもフリンデルが聖女になるとは思えなかった。
聖女って、死の縁から蘇った者が稀に与えられる力だと本で読んだことがある。
だが、フリンデルはこれまで一度も病気にすらかかったこともない健康少女だ。
過去に一度死にそうになった私ですら聖女になった実感もない。
今まで一緒に同じ屋根の下で過ごしてきたからこそ、最後に忠告のようなことを言った。
だが、すぐに義父様の手が私の頬に勢いよくあたり、床に倒れてしまった。
頬が燃えるように痛い。
「ひ……」
「!? お前など出てけ!! 二度とフリンデルの悪口は許さぬ! おっと、だが今後毎日朝早くから仕事だけは来るように。来なければ街中を探してでも捕まえ今度は仕事だけで終わるようなことはさせぬぞ?」
義父様の脅迫と暴力がすさまじかった。
私の身体が震えてガクガク状態だ。
何一つ利点のない今となっては、家を出てどこか遠くの国へでも逃げた方が得策かもしれない。
「は……はい……。すぐに……、準備します」
「準備など整っているだろう」
「……え?」
「そもそもお前の荷物などない! せめてもの救いとして今着ている服だけは婚約解消されたことに同情してプレゼントしてやろうか」
「私からもプレゼントですわ。アイリス義姉様が出てしばらくしたら、大雨が降るように聖女として祈ってあげますわ。ずぶ濡れにでもなって男から嫌な目線で見られればきっと新たな婚約者ができるはずよ」
そう言いながら義父様とフリンデルは、私が家から出ていくまでの間、ずっと大きく声に出して嘲笑っていた。
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