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最近、ストレスが激しく、ついに不眠症になってしまった。
夜中、目が覚めてしまったのでお花畑を摘みに寝室を出たところ、見てはいけない光景を見てしまった。
気にはなるので、リビングの外からこっそりと覗き込んだ。
「ねぇーザーガルー、ジュリアさんよりも私の方が可愛いでしょー?」
「まぁ、顔はベルベットの方が可愛いと思うんだが」
はぁ!? 真夜中にリビングで二人くっつくように隣同士で座ってとんでもないことを話していた。
ザーガルは自分の部屋で寝ているかと思えば陰でコソコソと……。
結婚初夜からずっと、私とザーガルは別々の部屋で寝ている。
ザーガルが神経質で、私が隣にいると寝れないから別がいいと言われてしまった。
結婚生活とは思えないような夜の夫婦仲なのだ。
もちろん夜の営みなど未だに未完である。
「ザーガルー、私と一緒に寝ないー?」
「それはダメだろう」
流石に断ったか。
それよりもベルベットさん、使用人としてはクビですね。
家に仕えるはずの仕事を無視して、雇い人達の仲を引き裂くような行為はご法度でしょう。
「なんでー?」
「緊張して俺が寝れないんだ。ジュリアとも一緒に寝たことがない」
そういう問題じゃないでしょう! 緊張しなければ、はいどうぞってことになるのか。
ザーガルの発言を聞いて安心したと思った直後、ウンザリに変わった。
「なんで? じゃあ、ジュリアさんとはまだヤってもいないのー?」
「あぁ」
とても主従関係の会話とは思えない。それでも当たり前のようにザーガルは会話をしているのには呆れてしまう。
「それはそれで凄いし、信じられないんだけど。なんでー?」
そこは私も気になっていた。なんでなのか更に聞き耳を立てる。
「最中にバイキンが付着するかもしれないし、俺が病気にでもなったら大変だからな。それに何よりも、ジュリアに求められていないのだ」
雑菌って……失礼にも程がある。このドアブチ破って文句を言ってやりたい。
それに、私は拒否したこともないし、むしろそれに関しては結婚直後はウェルカムだったんだが。今は断固拒否したいけど。
「相変わらず心配性なんだねー。私とだったら病気にはならないと思うよー」
そう言ってザーガルの身体に絡みつくようにしっつくのだ。
もうこれはアウトでしょう。
「いやいや、俺はジュリアと結婚しているし、ジュリアのことは大事だし愛している」
「そう……」
ザーガルのことを少し見直してしまった。
直接ではないにしろ、今のザーガルの気持ちを知れた。
それに、あれだけの誘惑をされても平然と断れる態度に感服してしまった。
幼馴染だからなんの感情もないと言っていたのは本当だったんだ。
多少のスキンシップは我慢すれば良いか。
「ベルベット、こんなに胸大きくなったんだな。小さい頃はまな板だったのに」
「当たり前でしょー! 成長するんだからー。触ってみる?」
「いいのか?」
「もちろん」
前言撤回。ザーガルは躊躇することもなくベルベットの胸を鷲掴みしてしまった。
ベルベットからも嫌らしい声が聞こえてくるし、不倫行為同然だ。
あぁ、もう無理。
私はこんな状況を見ていても嫉妬心もなければ怒る気にもなれなかった。
この事件がきっかけで、限界を感じた。ザーガルのことは完全に冷めてしまった。
しばらく顔も見たくない。
胃も痛いので、しばらく休養がしたい。
翌朝、手紙で書き置きだけ残し、本家へと帰った。
夜中、目が覚めてしまったのでお花畑を摘みに寝室を出たところ、見てはいけない光景を見てしまった。
気にはなるので、リビングの外からこっそりと覗き込んだ。
「ねぇーザーガルー、ジュリアさんよりも私の方が可愛いでしょー?」
「まぁ、顔はベルベットの方が可愛いと思うんだが」
はぁ!? 真夜中にリビングで二人くっつくように隣同士で座ってとんでもないことを話していた。
ザーガルは自分の部屋で寝ているかと思えば陰でコソコソと……。
結婚初夜からずっと、私とザーガルは別々の部屋で寝ている。
ザーガルが神経質で、私が隣にいると寝れないから別がいいと言われてしまった。
結婚生活とは思えないような夜の夫婦仲なのだ。
もちろん夜の営みなど未だに未完である。
「ザーガルー、私と一緒に寝ないー?」
「それはダメだろう」
流石に断ったか。
それよりもベルベットさん、使用人としてはクビですね。
家に仕えるはずの仕事を無視して、雇い人達の仲を引き裂くような行為はご法度でしょう。
「なんでー?」
「緊張して俺が寝れないんだ。ジュリアとも一緒に寝たことがない」
そういう問題じゃないでしょう! 緊張しなければ、はいどうぞってことになるのか。
ザーガルの発言を聞いて安心したと思った直後、ウンザリに変わった。
「なんで? じゃあ、ジュリアさんとはまだヤってもいないのー?」
「あぁ」
とても主従関係の会話とは思えない。それでも当たり前のようにザーガルは会話をしているのには呆れてしまう。
「それはそれで凄いし、信じられないんだけど。なんでー?」
そこは私も気になっていた。なんでなのか更に聞き耳を立てる。
「最中にバイキンが付着するかもしれないし、俺が病気にでもなったら大変だからな。それに何よりも、ジュリアに求められていないのだ」
雑菌って……失礼にも程がある。このドアブチ破って文句を言ってやりたい。
それに、私は拒否したこともないし、むしろそれに関しては結婚直後はウェルカムだったんだが。今は断固拒否したいけど。
「相変わらず心配性なんだねー。私とだったら病気にはならないと思うよー」
そう言ってザーガルの身体に絡みつくようにしっつくのだ。
もうこれはアウトでしょう。
「いやいや、俺はジュリアと結婚しているし、ジュリアのことは大事だし愛している」
「そう……」
ザーガルのことを少し見直してしまった。
直接ではないにしろ、今のザーガルの気持ちを知れた。
それに、あれだけの誘惑をされても平然と断れる態度に感服してしまった。
幼馴染だからなんの感情もないと言っていたのは本当だったんだ。
多少のスキンシップは我慢すれば良いか。
「ベルベット、こんなに胸大きくなったんだな。小さい頃はまな板だったのに」
「当たり前でしょー! 成長するんだからー。触ってみる?」
「いいのか?」
「もちろん」
前言撤回。ザーガルは躊躇することもなくベルベットの胸を鷲掴みしてしまった。
ベルベットからも嫌らしい声が聞こえてくるし、不倫行為同然だ。
あぁ、もう無理。
私はこんな状況を見ていても嫉妬心もなければ怒る気にもなれなかった。
この事件がきっかけで、限界を感じた。ザーガルのことは完全に冷めてしまった。
しばらく顔も見たくない。
胃も痛いので、しばらく休養がしたい。
翌朝、手紙で書き置きだけ残し、本家へと帰った。
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