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第二章
71 くちづけ
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ザグロームとサフランお姉様はこの国で人生を終えた。
どうやら、本気で陛下を暗殺して国を乗っ取ろうと考えていたらしい。
いくら銃の腕前がよくとも、それだけで国を相手に戦おうとする度胸だけは褒めたいものだ。
国へ来る途中に犠牲になってしまった者たちも、警備の者たちが現場へ行き、地面に埋めた。
供述でわかったことだが、キレガダム王国という国へ向かいそこで集めた部隊だったそうだ。
おそらくこの国とも今後関わっていく必要がありそうだ。
だが、今は先にやるべきことがある。
「リリーナよ、私のネクタイ曲がっていないか?」
「大丈夫です。タキシードも似合いますよ」
「その……リリーナのウェディングドレスも……可愛い……」
お互いに顔が真っ赤になってしまった。
今日はライカル様との結婚式なのだ。
この日のために、わざわざアルガルデ王国からも関係者が勢揃いでオーブルジェ王国までやってきてくれた。
「此度のご結婚まことにおめでとうございます」
「ありがとうございますサージェント陛下」
「お二人のご結婚は両国の象徴ともなりましょう。今後のリリーナ様たちのご活躍に期待もしています」
サージェント国王はそう言いながらお辞儀をしてきた。
話のスケールが大きすぎて恐縮してしまう。
「リリーナよ、念のために言っておきたいことがある」
「なんでしょうか?」
「私は君が国を救ったから結婚したいとか思っていたわけではない……。仕草、微笑む顔、容姿、考え方、あらゆるリリーナを見てきた上で惚れたのだ」
「な……何を今更……⁉︎」
「好きすぎて仕方がないということだ。これからも私のそばから離れないで欲しい。今後は決して無茶をしないでほしいのだ」
「あぁ……銃のことですね……それは反省しています」
「それだけではない! 今後は休むときは休んでくれ。国のためとはいえ毎日過労のような動きをされては私との時間もなくなってしまうではないか……」
ライカル様は素直になれず不器用だ。
だが、ライカル様のそういう性格を知った上でだからわかる。
私のことをどれだけ大切に大事にしてくださっているかを。
「今後も無理はしませんよ。常にライカル様のお側にいれるよう心がけます」
「本当か⁉︎」
「もちろんです。私だって嬉しくて死んでしまいそうなくらいですから」
そう言い、ライカル様の頬に唇を落とした。
これだけで私の心臓は破裂しそうになった。
念のため、本番の前に頬で試したがこれが私の限界だ。
式の本番、私は意識を無事保っていられるだろうか……。
このとき私は、すでにライカル様が固まっていることにすら気がつかなかったのだった。
----------
【後書き】
何度も休載を経てしまいましたが、完結まで読んでくださりありがとうございました。
そして、完結は手動でやろうと思っていたものの、完結させるのを忘れていました。
申し訳ありません。
この作品は執筆修行の頃から書いていたもので、長い期間2位に居続けたこともあって喜んでいました。
しかしながら、そんな作品でも諸事情で休載を挟みながらの更新で申し訳なく思っています。
こちらの作品は、より良い作品に仕上げたいため、大幅改稿した展開と内容で再度新作として出す予定です。その際はこちらは非公開にさせていただきます。
そのときに新たな進化したリリーナをお見せできればと思います。
そして最後にいつもの新作宣伝を……。
『実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています~なお、実家はどんどん崩壊しているようです~』
最後までお付き合いくださりありがとうございました。
どうやら、本気で陛下を暗殺して国を乗っ取ろうと考えていたらしい。
いくら銃の腕前がよくとも、それだけで国を相手に戦おうとする度胸だけは褒めたいものだ。
国へ来る途中に犠牲になってしまった者たちも、警備の者たちが現場へ行き、地面に埋めた。
供述でわかったことだが、キレガダム王国という国へ向かいそこで集めた部隊だったそうだ。
おそらくこの国とも今後関わっていく必要がありそうだ。
だが、今は先にやるべきことがある。
「リリーナよ、私のネクタイ曲がっていないか?」
「大丈夫です。タキシードも似合いますよ」
「その……リリーナのウェディングドレスも……可愛い……」
お互いに顔が真っ赤になってしまった。
今日はライカル様との結婚式なのだ。
この日のために、わざわざアルガルデ王国からも関係者が勢揃いでオーブルジェ王国までやってきてくれた。
「此度のご結婚まことにおめでとうございます」
「ありがとうございますサージェント陛下」
「お二人のご結婚は両国の象徴ともなりましょう。今後のリリーナ様たちのご活躍に期待もしています」
サージェント国王はそう言いながらお辞儀をしてきた。
話のスケールが大きすぎて恐縮してしまう。
「リリーナよ、念のために言っておきたいことがある」
「なんでしょうか?」
「私は君が国を救ったから結婚したいとか思っていたわけではない……。仕草、微笑む顔、容姿、考え方、あらゆるリリーナを見てきた上で惚れたのだ」
「な……何を今更……⁉︎」
「好きすぎて仕方がないということだ。これからも私のそばから離れないで欲しい。今後は決して無茶をしないでほしいのだ」
「あぁ……銃のことですね……それは反省しています」
「それだけではない! 今後は休むときは休んでくれ。国のためとはいえ毎日過労のような動きをされては私との時間もなくなってしまうではないか……」
ライカル様は素直になれず不器用だ。
だが、ライカル様のそういう性格を知った上でだからわかる。
私のことをどれだけ大切に大事にしてくださっているかを。
「今後も無理はしませんよ。常にライカル様のお側にいれるよう心がけます」
「本当か⁉︎」
「もちろんです。私だって嬉しくて死んでしまいそうなくらいですから」
そう言い、ライカル様の頬に唇を落とした。
これだけで私の心臓は破裂しそうになった。
念のため、本番の前に頬で試したがこれが私の限界だ。
式の本番、私は意識を無事保っていられるだろうか……。
このとき私は、すでにライカル様が固まっていることにすら気がつかなかったのだった。
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【後書き】
何度も休載を経てしまいましたが、完結まで読んでくださりありがとうございました。
そして、完結は手動でやろうと思っていたものの、完結させるのを忘れていました。
申し訳ありません。
この作品は執筆修行の頃から書いていたもので、長い期間2位に居続けたこともあって喜んでいました。
しかしながら、そんな作品でも諸事情で休載を挟みながらの更新で申し訳なく思っています。
こちらの作品は、より良い作品に仕上げたいため、大幅改稿した展開と内容で再度新作として出す予定です。その際はこちらは非公開にさせていただきます。
そのときに新たな進化したリリーナをお見せできればと思います。
そして最後にいつもの新作宣伝を……。
『実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています~なお、実家はどんどん崩壊しているようです~』
最後までお付き合いくださりありがとうございました。
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