67 / 71
第二章
67 ドーレム
しおりを挟む
「リリーよ、技師のドーレムが尋ねてきたぞ」
「え⁉︎ 公爵家にですか⁉︎」
「早いほうがいいと思ったのでな」
御足労申し訳ない。
本来ならば、私の方から伺うべきったのだから。
すぐに支度を済ませ、応接室へと向かった。
「お待たせして申し訳ありません」
「いえいえ、リリーナ様とお会いできることを楽しみにしていましたので」
建設関係に携わっているということで、私は勝手にガタイの良い男を想像していた。
だが、二十代くらいで物腰低そうな痩せ型のどちらかというとイケメンのお兄様のような男だった。
「ドーレムと申します。この度はリリーナ様が建設関係でお困りだとライカル様から伺っております」
「はい。実は……」
私は、王都の周りに簡単に侵入ができないような要塞都市にできないかと提案をした。
石段を積み上げ、ちょっとやそっとでは壊れないような防壁の作り方も提示する。
ドーレムさんは興味深そうに話を聞いてくれ、その都度ふむふむと納得してくれていたようだ。
「いやはや……、私でも思いつかないような構造で恐れ入りました。さすが数々の開発をされてきたリリーナ様ならではの発想です」
「材料の用意は他の方にも協力をいただくとして、設計図を見てこのとおりに建設することは可能ですか?」
「やるしかありませんね。むしろ、リリーナ様のアイディアを無駄にしたくはありませんから。全責任を持って引き受けたいと思います」
「でも、ドーレムさん一人ではさすがに大変では⁉︎」
規模としては王都全体を工事するほどの超大掛かりな作業だ。
いくらドーレムさんに部下やチームがいたとしても限界がある。
「心配には及びません。リリーナ様が魔導車を開発していただけたおかげで、アルガルデ王国とも交流ができるようになったではありませんか」
「そうですけれども、アルガルデ王国と何か関係が?」
「既にあちらの国の技術者と交流がとれるようになりまして。何かあればお互いに協力できる関係にあります。それに、リリーナ様の発案した事業をやると伝えれば喜んで手伝いに来てくれると思いますよ」
ここ最近、私は新しい道具の開発や研究をするために没頭していて気がつかなかった。
私が知らないうちに、アルガルデ王国との交流が盛んになっていたようだ。
「では、よろしくお願いします」
「こんな大規模な仕事を与えてくださり光栄です。ありがたく引き受けさせていただきます」
数日後、アルガルデ王国から大勢の職人がやってきて、合同で防壁の建設がはじまった。
「え⁉︎ 公爵家にですか⁉︎」
「早いほうがいいと思ったのでな」
御足労申し訳ない。
本来ならば、私の方から伺うべきったのだから。
すぐに支度を済ませ、応接室へと向かった。
「お待たせして申し訳ありません」
「いえいえ、リリーナ様とお会いできることを楽しみにしていましたので」
建設関係に携わっているということで、私は勝手にガタイの良い男を想像していた。
だが、二十代くらいで物腰低そうな痩せ型のどちらかというとイケメンのお兄様のような男だった。
「ドーレムと申します。この度はリリーナ様が建設関係でお困りだとライカル様から伺っております」
「はい。実は……」
私は、王都の周りに簡単に侵入ができないような要塞都市にできないかと提案をした。
石段を積み上げ、ちょっとやそっとでは壊れないような防壁の作り方も提示する。
ドーレムさんは興味深そうに話を聞いてくれ、その都度ふむふむと納得してくれていたようだ。
「いやはや……、私でも思いつかないような構造で恐れ入りました。さすが数々の開発をされてきたリリーナ様ならではの発想です」
「材料の用意は他の方にも協力をいただくとして、設計図を見てこのとおりに建設することは可能ですか?」
「やるしかありませんね。むしろ、リリーナ様のアイディアを無駄にしたくはありませんから。全責任を持って引き受けたいと思います」
「でも、ドーレムさん一人ではさすがに大変では⁉︎」
規模としては王都全体を工事するほどの超大掛かりな作業だ。
いくらドーレムさんに部下やチームがいたとしても限界がある。
「心配には及びません。リリーナ様が魔導車を開発していただけたおかげで、アルガルデ王国とも交流ができるようになったではありませんか」
「そうですけれども、アルガルデ王国と何か関係が?」
「既にあちらの国の技術者と交流がとれるようになりまして。何かあればお互いに協力できる関係にあります。それに、リリーナ様の発案した事業をやると伝えれば喜んで手伝いに来てくれると思いますよ」
ここ最近、私は新しい道具の開発や研究をするために没頭していて気がつかなかった。
私が知らないうちに、アルガルデ王国との交流が盛んになっていたようだ。
「では、よろしくお願いします」
「こんな大規模な仕事を与えてくださり光栄です。ありがたく引き受けさせていただきます」
数日後、アルガルデ王国から大勢の職人がやってきて、合同で防壁の建設がはじまった。
13
お気に入りに追加
4,824
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放されました。でもそれが、私を虐げていた人たちの破滅の始まりでした
水上
恋愛
「ソフィア、悪いがお前との婚約は破棄させてもらう」
子爵令嬢である私、ソフィア・ベルモントは、婚約者である子爵令息のジェイソン・フロストに婚約破棄を言い渡された。
彼の隣には、私の妹であるシルビアがいる。
彼女はジェイソンの腕に体を寄せ、勝ち誇ったような表情でこちらを見ている。
こんなこと、許されることではない。
そう思ったけれど、すでに両親は了承していた。
完全に、シルビアの味方なのだ。
しかも……。
「お前はもう用済みだ。この屋敷から出て行け」
私はお父様から追放を宣言された。
必死に食い下がるも、お父様のビンタによって、私の言葉はかき消された。
「いつまで床に這いつくばっているのよ、見苦しい」
お母様は冷たい言葉を私にかけてきた。
その目は、娘を見る目ではなかった。
「惨めね、お姉さま……」
シルビアは歪んだ笑みを浮かべて、私の方を見ていた。
そうして私は、妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放された。
途方もなく歩いていたが、そんな私に、ある人物が声を掛けてきた。
一方、私を虐げてきた人たちは、破滅へのカウントダウンがすでに始まっていることに、まだ気づいてはいなかった……。
妹と再婚約?殿下ありがとうございます!
八つ刻
恋愛
第一王子と侯爵令嬢は婚約を白紙撤回することにした。
第一王子が侯爵令嬢の妹と真実の愛を見つけてしまったからだ。
「彼女のことは私に任せろ」
殿下!言質は取りましたからね!妹を宜しくお願いします!
令嬢は妹を王子に丸投げし、自分は家族と平穏な幸せを手に入れる。
平凡な伯爵令嬢は平凡な結婚がしたいだけ……それすら贅沢なのですか!?
Hibah
恋愛
姉のソフィアは幼い頃から優秀で、両親から溺愛されていた。 一方で私エミリーは健康が取り柄なくらいで、伯爵令嬢なのに贅沢知らず……。 優秀な姉みたいになりたいと思ったこともあったけど、ならなくて正解だった。 姉の本性を知っているのは私だけ……。ある日、姉は王子様に婚約破棄された。 平凡な私は平凡な結婚をしてつつましく暮らしますよ……それすら贅沢なのですか!?
妹が嫌がっているからと婚約破棄したではありませんか。それで路頭に迷ったと言われても困ります。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるラナーシャは、妹同伴で挨拶をしに来た婚約者に驚くことになった。
事前に知らされていなかったことであるため、面食らうことになったのである。
しかもその妹は、態度が悪かった。明らかにラナーシャに対して、敵意を抱いていたのだ。
だがそれでも、ラナーシャは彼女を受け入れた。父親がもたらしてくれた婚約を破談してはならないと、彼女は思っていたのだ。
しかしそんな彼女の思いは二人に裏切られることになる。婚約者は、妹が嫌がっているからという理由で、婚約破棄を言い渡してきたのだ。
呆気に取られていたラナーシャだったが、二人の意思は固かった。
婚約は敢え無く破談となってしまったのだ。
その事実に、ラナーシャの両親は憤っていた。
故に相手の伯爵家に抗議した所、既に処分がなされているという返答が返ってきた。
ラナーシャの元婚約者と妹は、伯爵家を追い出されていたのである。
程なくして、ラナーシャの元に件の二人がやって来た。
典型的な貴族であった二人は、家を追い出されてどうしていいかわからず、あろうことかラナーシャのことを頼ってきたのだ。
ラナーシャにそんな二人を助ける義理はなかった。
彼女は二人を追い返して、事なきを得たのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる