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第二章
62 【ざまぁ】到着した(暫くざまぁパートが続きます)
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「おい! 見ろ。あれは要塞都市ではないか!?」
「ふぅ……やっとオーブルジェ王国に辿り着いたんですわね!」
ザグロームとサフランは、復讐への執念と根性で尋常じゃないくらいの距離を歩き続け、ようやく国に辿り着いたのだ。
しかし、彼らが着いた場所はオーブルジェ王国ではなく、キレガダム王国であった。
「よし、ともかく直ぐにでもあの都市の中へ侵入し、まずは……」
「水浴びと食事がしたいですわね」
「ふむ……幸い金貨だけはいくらか持っているから宿には泊まれるはずだろう」
ゼオンに馬車を奪われてからは一切の食事をしていなかった。
更に水浴びもほとんどできなかったので、彼らの異臭は凄まじい状況である。
異臭に気がついていないのは、本人たちだけなのだ。
そうとは知らずに要塞都市の検問所へ向かっていく。
「おい! 人形のモンスターだぞ!!」
「これは珍しい! 世紀の大発見だ!」
警備員が珍しい生き物を見ているような驚いた表情でザグロームたちを指差す。
無理もなかった。
服装はボロボロになり、髪の毛などチリチリになってしまっているのだから。
「おい!! 失礼なことを言うな! 私は隣アルガルデ王国のザグロームという王子だぞ」
「さすがにショックですわ。モンスターと間違えられるなんて……」
「まさか! 言葉を喋れるのか!」
「当たり前だろう! 人間だ!」
ザグロームが苛立ちながら返答する。
しかし警備員たちは信じられないといった表情をしている。
「ならばこれはわかるか? 七×七は?」
「おい、いきなり七の段を出題するのは卑怯だろう! 一番の難題ではないか! ……サフランよ、いくつだったっけ?」
「リリーナに掛け算は嫌ってほどしごかれたから簡単よ。確か……五十九?」
警備員たちは更に驚きながら哀れな目で見ている。
「会話から察するに人間には間違いなさそうだが、答えが違っているぞ」
「四十九だ。こんな計算もできないのに王子なのか? どうも信用できん……」
警備員に言われっぱなしなので、足をバタつかせながらザグロームは激怒している。
「バカにするな! 計算なんて出来なくたって私は次期国王になる人間だったんだぞ! それよりもオーブルジェ王国はこんな酷い発言ばかりする国なのか!?」
「ここはキレガダム王国だが?」
「「ほへ!?」」
ザグロームとサフランはとても驚いていた。
何気なく一度周りを見渡すが、このあたりの地形を知っているわけではない。
「まさか遠い異国から歩いてきたのか!?」
「そうだが!」
「同じくよ」
今度は警備員たちが驚いていた。
異国からの訪問など滅多にない上、必ず馬で来るはずなので驚くのは無理もなかった。
「なんというタフさ……いや、それならばこの臭さも納得がいく……」
「ともかくこのままでは中へ通すわけにはいかん!」
「なんだと!? 私たちは宿に泊まりたいのだぞ! 金もある!」
ザグロームとサフランは、また同じ道を戻れと言われたらと思うとゾッとしていた。
「そうではない。ここ検問所には宿舎が隣接されている。ここでまずは身体を洗い服も新しいものを着ていただきたい。殿下なのであろう? ならば清楚な格好で通っていただかねばならない」
「ほう、キレガダム王国の人間は思ったより理解しているようだ。褒めてつかわす!」
「とにかく中へ。臭くてたまらん!」
「おい!! 無礼をわきまえたまえ!」
ぶつぶつと文句を言いながらも、宿舎へ案内され、汚れた服を二人同時に脱ぎ水浴び場に入った。
「ふぅ……やっとオーブルジェ王国に辿り着いたんですわね!」
ザグロームとサフランは、復讐への執念と根性で尋常じゃないくらいの距離を歩き続け、ようやく国に辿り着いたのだ。
しかし、彼らが着いた場所はオーブルジェ王国ではなく、キレガダム王国であった。
「よし、ともかく直ぐにでもあの都市の中へ侵入し、まずは……」
「水浴びと食事がしたいですわね」
「ふむ……幸い金貨だけはいくらか持っているから宿には泊まれるはずだろう」
ゼオンに馬車を奪われてからは一切の食事をしていなかった。
更に水浴びもほとんどできなかったので、彼らの異臭は凄まじい状況である。
異臭に気がついていないのは、本人たちだけなのだ。
そうとは知らずに要塞都市の検問所へ向かっていく。
「おい! 人形のモンスターだぞ!!」
「これは珍しい! 世紀の大発見だ!」
警備員が珍しい生き物を見ているような驚いた表情でザグロームたちを指差す。
無理もなかった。
服装はボロボロになり、髪の毛などチリチリになってしまっているのだから。
「おい!! 失礼なことを言うな! 私は隣アルガルデ王国のザグロームという王子だぞ」
「さすがにショックですわ。モンスターと間違えられるなんて……」
「まさか! 言葉を喋れるのか!」
「当たり前だろう! 人間だ!」
ザグロームが苛立ちながら返答する。
しかし警備員たちは信じられないといった表情をしている。
「ならばこれはわかるか? 七×七は?」
「おい、いきなり七の段を出題するのは卑怯だろう! 一番の難題ではないか! ……サフランよ、いくつだったっけ?」
「リリーナに掛け算は嫌ってほどしごかれたから簡単よ。確か……五十九?」
警備員たちは更に驚きながら哀れな目で見ている。
「会話から察するに人間には間違いなさそうだが、答えが違っているぞ」
「四十九だ。こんな計算もできないのに王子なのか? どうも信用できん……」
警備員に言われっぱなしなので、足をバタつかせながらザグロームは激怒している。
「バカにするな! 計算なんて出来なくたって私は次期国王になる人間だったんだぞ! それよりもオーブルジェ王国はこんな酷い発言ばかりする国なのか!?」
「ここはキレガダム王国だが?」
「「ほへ!?」」
ザグロームとサフランはとても驚いていた。
何気なく一度周りを見渡すが、このあたりの地形を知っているわけではない。
「まさか遠い異国から歩いてきたのか!?」
「そうだが!」
「同じくよ」
今度は警備員たちが驚いていた。
異国からの訪問など滅多にない上、必ず馬で来るはずなので驚くのは無理もなかった。
「なんというタフさ……いや、それならばこの臭さも納得がいく……」
「ともかくこのままでは中へ通すわけにはいかん!」
「なんだと!? 私たちは宿に泊まりたいのだぞ! 金もある!」
ザグロームとサフランは、また同じ道を戻れと言われたらと思うとゾッとしていた。
「そうではない。ここ検問所には宿舎が隣接されている。ここでまずは身体を洗い服も新しいものを着ていただきたい。殿下なのであろう? ならば清楚な格好で通っていただかねばならない」
「ほう、キレガダム王国の人間は思ったより理解しているようだ。褒めてつかわす!」
「とにかく中へ。臭くてたまらん!」
「おい!! 無礼をわきまえたまえ!」
ぶつぶつと文句を言いながらも、宿舎へ案内され、汚れた服を二人同時に脱ぎ水浴び場に入った。
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