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第二章
56 積極的な態度
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「リリーナお嬢様、お元気で。更なるご活躍をお祈り致します」
「ありがとう。ルルガムも元気でね」
アルガルデ王国から二度目の旅立ちです。
一度目は嫌な別れ方でしたが、それがあったおかげでこんなにも幸せな毎日を送れています。
今回の旅立ちは、いずれまたここへ帰ってこれる状態です。
悲しさはありません。
馬車はゆっくりと動き出し、王都の検問所を通り過ぎました。
「良い旅であったな」
「はい。帰りは何事もなく、無事にオーブルジェ王国まで移動できればいいのですが」
ライカル様と馬車の中で二人きり状態です。
私の横にライカル様が座っています。
「ふぅ……」
私は安堵のため息を吐いてしまいました。
「大丈夫か?」
「はい。すみません」
「長旅だったし、今回もリリーナは両国の為に動いてくれた。ここではゆっくり休むと良い」
ライカル様が私の肩に手をあてながらニコリと微笑みました。
ドキドキしながらも、そのまま眠気が襲ってきました。
目に見えない疲労が溜まっていたのかもしれませんね。
そしていつの間にかライカル様の肩に身体を預けて眠ってしまいました。
「うーん……うん!? んーー!?」
概ね三時間くらい昼寝をしてしまったようです。
それだけならともかく、視界がおかしなことになっているのです。
慌てて勢いよく身体を起こしながら状況を整理していきたいと思います。
「やあ、お目覚めかい?」
ライカル様は平然とした顔で微笑んでくださっていますが、私はそれでも尚慌てていました。
「私、ライカル様の膝の上でずっと……?」
「あぁ。あまりにも寝顔が可愛いから私も幸せだった。もう一度寝るかい?」
「ひえ……!」
こういうスキンシップには免疫がないのです。
おまけにライカル様の完璧な外見と優しさが加わって、私の感情に収集がつきません。
「重かったでしょう!? 申し訳ございません!」
「問題ない。私の膝ならば、リリーを迎える準備がいつでも整っているのだから」
今日のライカル様は、いつもより積極的な感じがします。
私は押されると弱いので、脳内が混乱してしまっています。
「ら、ライカル様! 急にどうしたのです!?」
「何か変か?」
「その……いつもより私にこう……何と言いますか」
自分で言い出すのはあまりにも恥ずかしいです。
何故私に積極的に行動してくるのかと聞きたいところですが、決して嫌なわけではありません。
ただ、突然だったのでびっくりしただけなのですが……。
「行きの馬車では国務が控えているのでずっと我慢していた。だが、やはり私はリリーともっと深く深く関わっていきたい。時間の許す限り君と共にくっついていたいのだ」
「ひょえ! わ、私もですっ!!」
意中の方からの押しには弱いんです……。
馬車の中で手を繋ぎながら、二人だけの時間がゆっくりと過ぎていきました。
「ありがとう。ルルガムも元気でね」
アルガルデ王国から二度目の旅立ちです。
一度目は嫌な別れ方でしたが、それがあったおかげでこんなにも幸せな毎日を送れています。
今回の旅立ちは、いずれまたここへ帰ってこれる状態です。
悲しさはありません。
馬車はゆっくりと動き出し、王都の検問所を通り過ぎました。
「良い旅であったな」
「はい。帰りは何事もなく、無事にオーブルジェ王国まで移動できればいいのですが」
ライカル様と馬車の中で二人きり状態です。
私の横にライカル様が座っています。
「ふぅ……」
私は安堵のため息を吐いてしまいました。
「大丈夫か?」
「はい。すみません」
「長旅だったし、今回もリリーナは両国の為に動いてくれた。ここではゆっくり休むと良い」
ライカル様が私の肩に手をあてながらニコリと微笑みました。
ドキドキしながらも、そのまま眠気が襲ってきました。
目に見えない疲労が溜まっていたのかもしれませんね。
そしていつの間にかライカル様の肩に身体を預けて眠ってしまいました。
「うーん……うん!? んーー!?」
概ね三時間くらい昼寝をしてしまったようです。
それだけならともかく、視界がおかしなことになっているのです。
慌てて勢いよく身体を起こしながら状況を整理していきたいと思います。
「やあ、お目覚めかい?」
ライカル様は平然とした顔で微笑んでくださっていますが、私はそれでも尚慌てていました。
「私、ライカル様の膝の上でずっと……?」
「あぁ。あまりにも寝顔が可愛いから私も幸せだった。もう一度寝るかい?」
「ひえ……!」
こういうスキンシップには免疫がないのです。
おまけにライカル様の完璧な外見と優しさが加わって、私の感情に収集がつきません。
「重かったでしょう!? 申し訳ございません!」
「問題ない。私の膝ならば、リリーを迎える準備がいつでも整っているのだから」
今日のライカル様は、いつもより積極的な感じがします。
私は押されると弱いので、脳内が混乱してしまっています。
「ら、ライカル様! 急にどうしたのです!?」
「何か変か?」
「その……いつもより私にこう……何と言いますか」
自分で言い出すのはあまりにも恥ずかしいです。
何故私に積極的に行動してくるのかと聞きたいところですが、決して嫌なわけではありません。
ただ、突然だったのでびっくりしただけなのですが……。
「行きの馬車では国務が控えているのでずっと我慢していた。だが、やはり私はリリーともっと深く深く関わっていきたい。時間の許す限り君と共にくっついていたいのだ」
「ひょえ! わ、私もですっ!!」
意中の方からの押しには弱いんです……。
馬車の中で手を繋ぎながら、二人だけの時間がゆっくりと過ぎていきました。
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