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第一章

24 デート

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 今日はライカル様とデートです。

 家を出て私の手を優しく握りしてめてくれてドキドキが止まりません。
 あぁ……幸せすぎてハメを外さないように気をつけなくてはいけませんね……。

 なお、外に出たものの行き先がまだ決まっていません。

「リリーナ、今日はどこへ行こうか?」
「ライカル様の好きな場所へ行ってみたいですね」
「難しい返答だなぁ……何しろ王都中全ての場所が好きなものです……いや、好きなのだよ」

 しんちゃんのおかげでライカル様とは以前よりも一層深い仲になってきたのです。

 まだお互いに慣れてはいませんが、普段の会話一つからでも変わることもあるのだと感じました。
 私は元が誰にでも敬語を使っていたので、これが普段の喋り口調ですので今までどおりではありますが。

 おっと……本題を忘れていました。行きたい場所をある程度絞らないといけませんね。

「美味しい果実ジュースが飲めるお店に行ってみたいですね」
「よし! ではここから近くにある隠れスポットに案内しようではないか」
「ありがとうございます!」

 ライカル様の王都が好きだというのは大袈裟ではなく本当なのだと思いました。
 あらゆる店の場所を知っていますし、住民からも親しまれているのです。
 馬車は使わずに、ゆっくりと二人で歩いて目的地へ向かいました。

 ♢

「美味しい~!!」
 葡萄果実ジュースが甘くて贅沢な味わいです。
 口の中に葡萄の甘みが広がりました。

 更に店内はおしゃれな作りでずっといたくなるような居心地の良さです。
「リリーナが喜んでくれて何よりだ」

 六十代くらいの店のマスターが会話を聞いていたようで割って入ってきました。
 どうやらこの店も馴染みのお店のようです。

「おや、ライカルぼっちゃま。ついに婚約されたのですか?」
「ふぐっ! マスターよ、なぜそう見えるのだ? まだ公表はしていないというのに……」

「失礼。ですがライカルぼっちゃまが女性に敬語を使わないのは初めて見ましたからな。それに、こちらのお嬢さん、特に美しいので相思相愛に見えましたもので」

 マスターの発言を聞いて、ライカル様だけでなく私まで顔が赤くなってしまいました。
 まだ周りからのこう言った発言に慣れていないもので。
 それにしてもぼっちゃまって……。

 などと気さくで明るいマスターと話していると、店のドアが開きました。

「いらっしゃーい……あ……よ、ようこそ……」

 派手な服、そして店の空気を一気に変えてしまうほどの妙な雰囲気を放つ殿下です。

「ダ……ダスフォール殿下?」

 失礼ながらあまり会いたくはなかった人物と遭遇してしまいました。


--------------------------

【後書き】

読んでいただきありがとうございます。
7月第二作目の新作のお知らせです。

『私よりも、病気になった幼馴染のことを大事にしている旦那が、嘘をついてまで家に住まわせたいと言い出してきた件』

こちらも宜しくお願い致します。
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