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第一章
15【主人公以外視点】最大の失態
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「これに関しては法的には問題がないが、何故食い止めなかったのだ!? 何故私に報告もせずに勝手なことを……。何故伯爵家リリーナの絶縁届と国外移住届けに許可を押したのだ!?」
サフランもザグロームは不思議そうな顔をしていた。
何故ここでリリーナの話が出てくるのかがわからなかったのだ。
内容を見ていないでハンコを押していたので、リリーナが絡む書類があったことにすら気がつかなかったのである。
書類に目を通さなかったことを誤魔化しながら弁解をした。
「え……それはリリーナが決めたことなのですよ。この国が嫌になってしまって……」
「──それは誠か!?」
すかさず元婚約者のザグロームがサフランの話に合わせるように説明した。
「はい。間違いないかと。私との婚約も無くなってしまったのですから……幸い、リリーナの姉であるサフランと婚約ができたので嫁ぎには問題ありませんが……」
「馬鹿者がああぁぁぁ!!」
国王の怒声が玉の間に響き渡った。
これには周りで起立している護衛や兵士たちも驚いていた。
「ザグロームよ! 貴様、私が何故リリーナとの婚約を推奨したか全く分かっていないのか!?」
「え……? 陛下の御子息は皆婚約者がいますから、公爵家の後継にと推奨していただいたのでは? だからこそ、リリーナとの婚約はダメになってしまっても、同じ公爵家の姉であるサフランとしっかりと婚約したわけで……」
「違う! 全く分かっとらんではないか!」
国王は更に険しい表情になっていく。
それを見て、ザグロームもビクビクと震え始めていた。
「ここで言うのはサフラン令嬢には気の毒だが……。リリーナの頭脳と判断力、更に仕事の手際の良さを全く理解しとらん。リリーナとお前が婚約すれば、公爵家にとってもこれ以上ない相手だと思ったからだ。それに、伯爵家の元には嫁ぎ先がいない。これもサフラン令嬢との婚約相手だったはずの者が婿養子として伯爵家に嫁ぐように私からお願いしていたのだぞ! 勝手に婚約破棄して全てを無駄にしおって……」
国王が怒っている内容に二人とも慌てていた。
二人ともリリーナが現国王にこれほど気に入られていることを知らなかったのだ。
「それから、父上から引き継ぎ私が国王になったばかりとはいえ、この責任は私にもある。父上の引き継ぎのままではいずれ国が滅びる。一度役割を全て見直さなければなるまい……。それからお前たち、他に何か重大なミスや失態を行っていないか? 今言えばまだ弁解の余地を与えるが」
「ありません! 大丈夫です!」
「──!? 私もございませんわ」
ザグロームは即答でそう言ってしまい、サフランも流れに乗っかってしまった。
「ふむ……。だが、国務を任せるのは別のものにさせる。先ほど申したように、来年までの年俸は両家ともにゼロとする。以上だ」
ザグロームとサフランは二人顔を合わせ、どうしたら良いものかと慌てていた。
サフランもザグロームは不思議そうな顔をしていた。
何故ここでリリーナの話が出てくるのかがわからなかったのだ。
内容を見ていないでハンコを押していたので、リリーナが絡む書類があったことにすら気がつかなかったのである。
書類に目を通さなかったことを誤魔化しながら弁解をした。
「え……それはリリーナが決めたことなのですよ。この国が嫌になってしまって……」
「──それは誠か!?」
すかさず元婚約者のザグロームがサフランの話に合わせるように説明した。
「はい。間違いないかと。私との婚約も無くなってしまったのですから……幸い、リリーナの姉であるサフランと婚約ができたので嫁ぎには問題ありませんが……」
「馬鹿者がああぁぁぁ!!」
国王の怒声が玉の間に響き渡った。
これには周りで起立している護衛や兵士たちも驚いていた。
「ザグロームよ! 貴様、私が何故リリーナとの婚約を推奨したか全く分かっていないのか!?」
「え……? 陛下の御子息は皆婚約者がいますから、公爵家の後継にと推奨していただいたのでは? だからこそ、リリーナとの婚約はダメになってしまっても、同じ公爵家の姉であるサフランとしっかりと婚約したわけで……」
「違う! 全く分かっとらんではないか!」
国王は更に険しい表情になっていく。
それを見て、ザグロームもビクビクと震え始めていた。
「ここで言うのはサフラン令嬢には気の毒だが……。リリーナの頭脳と判断力、更に仕事の手際の良さを全く理解しとらん。リリーナとお前が婚約すれば、公爵家にとってもこれ以上ない相手だと思ったからだ。それに、伯爵家の元には嫁ぎ先がいない。これもサフラン令嬢との婚約相手だったはずの者が婿養子として伯爵家に嫁ぐように私からお願いしていたのだぞ! 勝手に婚約破棄して全てを無駄にしおって……」
国王が怒っている内容に二人とも慌てていた。
二人ともリリーナが現国王にこれほど気に入られていることを知らなかったのだ。
「それから、父上から引き継ぎ私が国王になったばかりとはいえ、この責任は私にもある。父上の引き継ぎのままではいずれ国が滅びる。一度役割を全て見直さなければなるまい……。それからお前たち、他に何か重大なミスや失態を行っていないか? 今言えばまだ弁解の余地を与えるが」
「ありません! 大丈夫です!」
「──!? 私もございませんわ」
ザグロームは即答でそう言ってしまい、サフランも流れに乗っかってしまった。
「ふむ……。だが、国務を任せるのは別のものにさせる。先ほど申したように、来年までの年俸は両家ともにゼロとする。以上だ」
ザグロームとサフランは二人顔を合わせ、どうしたら良いものかと慌てていた。
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