9 / 71
第一章
9 勉強
しおりを挟む
「リリーナさん、こういう場合どうするべきです?」
「えぇと……これはですね……」
ライカル様と二人きり、ドキドキしながらも国務の応用編を教えています。
オーブルジェ王国の国務や学問は、アルガルデ王国とほとんど一緒でした。
そのため、あちらにいたときの知識がそのまま役に立ったので助かりました。
「……おぉ! 凄い! 解けた! 解けましたよ!! ずっと引っかかっていた難問が!」
ライカル様は大喜びのようで、子供のようにはしゃいでいます。
今までお姉様や元婚約者のザグロームに毎日教えていた成果が出たというものです。
とは言っても、あの人たちに教えていたのは国務の初歩ですが。
今ライカル様に教えていた内容とは別次元です。
「むしろ、ここまで直ぐに覚えてしまうとは驚きですけどね」
一言教えただけで理解していただけるライカル様の頭脳は相当なものだと思います。
「いやいや、リリーナさんの教え方がとても上手いからですよ! 私一人では覚えることのできなかった未知の領域です」
ライカル様の満足そうな顔を見ているだけでも心が満たされます。
これほど直ぐに覚えてくれる人に教えることができて、私も嬉しいのです。
「リリーナさんに教わってきた者達は、さぞ優秀な人材になったのでしょうな……」
「えぇと……」
私からは何も言いませんでした。
ザグロームには国務の初歩で学習する部分を、何十回か繰り返して教えていましたが、直ぐに忘れていたので……。
お姉様に関しては、勉強すらしなくなり、全部私がやるという構図が出来上がっていましたからね。
「今日はここまでにしておきましょうか。あまり詰め込みすぎてもよろしくないかと思いますので」
何事も無理は禁物です。
それに、一度にいっぺんにやるよりも毎日の積み重ねでコツコツやっていく方が大事ですからね。
「まだ三時間しか教えてもらっていないのだが……」
「十分かと……それに、休憩も大事ですよ」
「そうか……残念だ」
ライカル様はそう言いながらふぅ、と一息します。
ため息なのか、深呼吸なのかはわかりませんでした。
「リリーナさんともっと二人でいたかったから頑張れたようなものだったので」
「え!?」
思いもよらぬ言葉にドキッとしてしまいました。
「もし休憩するならば、少し王都を散歩してみませんか? 護衛はつけます。リリーナさんにはここの良さを知ってもらいたいと思いまして」
「是非!」
オーブルジェ王国は来たばかりなので、どんなところなのかよくわかっていません。
ライカル様のお誘いにまたもやドキッとしてしまい、何も考えずに元気よくそう返事をしてしまいました。
「えぇと……これはですね……」
ライカル様と二人きり、ドキドキしながらも国務の応用編を教えています。
オーブルジェ王国の国務や学問は、アルガルデ王国とほとんど一緒でした。
そのため、あちらにいたときの知識がそのまま役に立ったので助かりました。
「……おぉ! 凄い! 解けた! 解けましたよ!! ずっと引っかかっていた難問が!」
ライカル様は大喜びのようで、子供のようにはしゃいでいます。
今までお姉様や元婚約者のザグロームに毎日教えていた成果が出たというものです。
とは言っても、あの人たちに教えていたのは国務の初歩ですが。
今ライカル様に教えていた内容とは別次元です。
「むしろ、ここまで直ぐに覚えてしまうとは驚きですけどね」
一言教えただけで理解していただけるライカル様の頭脳は相当なものだと思います。
「いやいや、リリーナさんの教え方がとても上手いからですよ! 私一人では覚えることのできなかった未知の領域です」
ライカル様の満足そうな顔を見ているだけでも心が満たされます。
これほど直ぐに覚えてくれる人に教えることができて、私も嬉しいのです。
「リリーナさんに教わってきた者達は、さぞ優秀な人材になったのでしょうな……」
「えぇと……」
私からは何も言いませんでした。
ザグロームには国務の初歩で学習する部分を、何十回か繰り返して教えていましたが、直ぐに忘れていたので……。
お姉様に関しては、勉強すらしなくなり、全部私がやるという構図が出来上がっていましたからね。
「今日はここまでにしておきましょうか。あまり詰め込みすぎてもよろしくないかと思いますので」
何事も無理は禁物です。
それに、一度にいっぺんにやるよりも毎日の積み重ねでコツコツやっていく方が大事ですからね。
「まだ三時間しか教えてもらっていないのだが……」
「十分かと……それに、休憩も大事ですよ」
「そうか……残念だ」
ライカル様はそう言いながらふぅ、と一息します。
ため息なのか、深呼吸なのかはわかりませんでした。
「リリーナさんともっと二人でいたかったから頑張れたようなものだったので」
「え!?」
思いもよらぬ言葉にドキッとしてしまいました。
「もし休憩するならば、少し王都を散歩してみませんか? 護衛はつけます。リリーナさんにはここの良さを知ってもらいたいと思いまして」
「是非!」
オーブルジェ王国は来たばかりなので、どんなところなのかよくわかっていません。
ライカル様のお誘いにまたもやドキッとしてしまい、何も考えずに元気よくそう返事をしてしまいました。
50
お気に入りに追加
4,839
あなたにおすすめの小説
私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
フレイザー公爵家の長女フローラは、自ら婚約者のウィリアム王太子に婚約解消を申し入れた。幼馴染でもあるウィリアム王太子は自分の事を嫌い、妹のエレノアの方が婚約者に相応しいと社交界で言いふらしていたからだ。寝食を忘れ、血の滲むほどの努力を重ねても、天才の妹に何一つ敵わないフローラは絶望していたのだ。一日でも早く他国に逃げ出したかったのだ。

婚約を解消してくれないと、毒を飲んで死ぬ? どうぞご自由に
柚木ゆず
恋愛
※7月25日、本編完結いたしました。後日、補完編と番外編の投稿を予定しております。
伯爵令嬢ソフィアの幼馴染である、ソフィアの婚約者イーサンと伯爵令嬢アヴリーヌ。二人はソフィアに内緒で恋仲となっており、最愛の人と結婚できるように今の関係を解消したいと考えていました。
ですがこの婚約は少々特殊な意味を持つものとなっており、解消するにはソフィアの協力が必要不可欠。ソフィアが関係の解消を快諾し、幼馴染三人で両家の当主に訴えなければ実現できないものでした。
そしてそんなソフィアは『家の都合』を優先するため、素直に力を貸してくれはしないと考えていました。
そこで二人は毒を用意し、一緒になれないなら飲んで死ぬとソフィアに宣言。大切な幼馴染が死ぬのは嫌だから、必ず言うことを聞く――。と二人はほくそ笑んでいましたが、そんなイーサンとアヴリーヌに返ってきたのは予想外の言葉でした。
「そう。どうぞご自由に」
【完結】無能な聖女はいらないと婚約破棄され、追放されたので自由に生きようと思います
黒幸
恋愛
辺境伯令嬢レイチェルは学園の卒業パーティーでイラリオ王子から、婚約破棄を告げられ、国外追放を言い渡されてしまう。
レイチェルは一言も言い返さないまま、パーティー会場から姿を消した。
邪魔者がいなくなったと我が世の春を謳歌するイラリオと新たな婚約者ヒメナ。
しかし、レイチェルが国からいなくなり、不可解な事態が起き始めるのだった。
章を分けるとかえって、ややこしいとの御指摘を受け、章分けを基に戻しました。
どうやら、作者がメダパニ状態だったようです。
表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。

見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです
珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。
だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。
それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

「平民との恋愛を選んだ王子、後悔するが遅すぎる」
ゆる
恋愛
平民との恋愛を選んだ王子、後悔するが遅すぎる
婚約者を平民との恋のために捨てた王子が見た、輝く未来。
それは、自分を裏切ったはずの侯爵令嬢の背中だった――。
グランシェル侯爵令嬢マイラは、次期国王の弟であるラウル王子の婚約者。
将来を約束された華やかな日々が待っている――はずだった。
しかしある日、ラウルは「愛する平民の女性」と結婚するため、婚約破棄を一方的に宣言する。
婚約破棄の衝撃、社交界での嘲笑、周囲からの冷たい視線……。
一時は心が折れそうになったマイラだが、父である侯爵や信頼できる仲間たちとともに、自らの人生を切り拓いていく決意をする。
一方、ラウルは平民女性リリアとの恋を選ぶものの、周囲からの反発や王家からの追放に直面。
「息苦しい」と捨てた婚約者が、王都で輝かしい成功を収めていく様子を知り、彼が抱えるのは後悔と挫折だった。


義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!
ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。
貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。
実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。
嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。
そして告げられたのは。
「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」
理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。
…はずだったが。
「やった!自由だ!」
夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。
これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが…
これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。
生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。
縁を切ったはずが…
「生活費を負担してちょうだい」
「可愛い妹の為でしょ?」
手のひらを返すのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる