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21【シャイン視点】新たな縁談3
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「シャイン様はフォークとナイフの使い方が独特ですね……」
私は右利きだ。
だが右手でフォークを、左手でナイフを握っている。
一般人とは持ち方が逆だが、これにもしっかりと理由があるのよ。
「この持ち方だと左手でナイフを持つか置くかだけで済むので効率が良いんですよー。切り方だって、ほら」
ステーキを左手に持っているナイフでグサリ。
右手のフォークで強引に引っ張る。
はい、これであとは勝手に千切れてくれるのです。
ダルムさんが目を大きく開けている。
ただでさえクリッと可愛らしい目が余計に大きくなった。
めんたま落っこちないか心配ね。
「いやぁ、シャイン様には先ほどから驚かされてばかりです」
「ありがとうございますー!」
驚いていたのね。
貧乏臭いって言ったことも、実は喜んでくれていたんだと確信した。
公爵家では私流の持ち方に対して指摘されていた。
でも、ダルムさんは感心してくれているだけのように見える。
これこそ私が求めていた理想!!
テーブルマナーよりも効率が良い食べ方を尊重してくれるし、流石にまずいかもしれないと思った発言にも喜んでくれるお方。
それがダルムさんだ。
私の心はすっかりダルムさんにどハマりしてしまった。
「味は如何ですか?」
「美味しいですよ」
「良かったです」
「でも、タコさんウインナーはないんですか?」
「はい?」
「私、タコさんウインナーが大好きなんですよ。お姉様にいつも分けてもらっているくらいなんです」
自分の好みは早いうちに知ってもらった方がいい。
この店はどちらかというと、高年齢層をターゲットにして営業している店だということはわかった。
だから内装も外観もダッサイし、オシャレ感ゼロで庶民臭い。
でも、私が嫁いだらタコさんウインナーもメニューに入れてもらわなければ困るのよ。
「チョリソーのソテーはありますが、タコさんは……」
「えーーーそんなーーー、私どうしてもタコさんウインナーが良いんですうーーー!!」
こんなときはおねだりアタックだ。
これでレイナお姉様は私の頼みをなんでも聞いてくれていたんだから!
「わかりました。考えさせていただきます」
「ありがとうございますーーー!」
ふう、これで食卓の問題もよしっと!
あとはオシャレな服を毎月買ってもらえるくらいのお金は稼げるように店を拡張してもらって……。
それからお父様とお母様は大好きだから、子供ができたあたりで一緒に住めるように部屋も用意してもらって……。
あ、そうだ。三時のオヤツは絶対に用意してもらえるようにしなきゃ。
幸いこの飲食店の雇ってる人に頼んでもらえれば毎日おいしいお菓子が……。
私の要望をしっかりとダルムさんに伝えたわ。
とにかく最初が肝心だからね。
「シャイン様、先程も申しましたが、考えさせていただいたことをお話ししたいと思います」
「あ、ええ、どうぞ」
タコさんウインナーのことをずっと考えてくれていたのね。
でも、今はそれよりも私の生活に対する要望を聞いて欲しかったんだけど。
「申し訳ございませんが、縁談はなかったことにさせていただきます」
「え!? なぜですか!?」
「シャイン様の今後のことも考え、はっきりと申し上げます。シャイン様は独特すぎる故、リーバス家に不幸を呼びそうです。それに、僕の店を侮辱されたことがどうしても許せなかった……。申し訳ありませんが、あなたと結婚するくらいなら独り身の方が良い、そう思ってしまったんです」
うわぁ……。
なんて身勝手な男なんだ……。
顔が良いからって、性格は最悪だった。
「もう良いです!! 結構です!! こんな庶民の店で働いているような人じゃ私には相応しくありませんから!」
久しぶりに怒鳴ってしまった。
せっかく、見た目が良い男だから結婚しても良いかと思っていたのに。
残念だわ。
でも、いいの。
お父様も無理に縁談をまとめなくていいって言ってくれていたし。
私に似合いのカッコ良くて要望も聞いてくれる王子様はきっと現れるわ。
馬車に揺られながら次の相手のことをしっかりと考ていた。
私って前向きポジティブだから。
はぁ、次の縁談まだかなー。
私は右利きだ。
だが右手でフォークを、左手でナイフを握っている。
一般人とは持ち方が逆だが、これにもしっかりと理由があるのよ。
「この持ち方だと左手でナイフを持つか置くかだけで済むので効率が良いんですよー。切り方だって、ほら」
ステーキを左手に持っているナイフでグサリ。
右手のフォークで強引に引っ張る。
はい、これであとは勝手に千切れてくれるのです。
ダルムさんが目を大きく開けている。
ただでさえクリッと可愛らしい目が余計に大きくなった。
めんたま落っこちないか心配ね。
「いやぁ、シャイン様には先ほどから驚かされてばかりです」
「ありがとうございますー!」
驚いていたのね。
貧乏臭いって言ったことも、実は喜んでくれていたんだと確信した。
公爵家では私流の持ち方に対して指摘されていた。
でも、ダルムさんは感心してくれているだけのように見える。
これこそ私が求めていた理想!!
テーブルマナーよりも効率が良い食べ方を尊重してくれるし、流石にまずいかもしれないと思った発言にも喜んでくれるお方。
それがダルムさんだ。
私の心はすっかりダルムさんにどハマりしてしまった。
「味は如何ですか?」
「美味しいですよ」
「良かったです」
「でも、タコさんウインナーはないんですか?」
「はい?」
「私、タコさんウインナーが大好きなんですよ。お姉様にいつも分けてもらっているくらいなんです」
自分の好みは早いうちに知ってもらった方がいい。
この店はどちらかというと、高年齢層をターゲットにして営業している店だということはわかった。
だから内装も外観もダッサイし、オシャレ感ゼロで庶民臭い。
でも、私が嫁いだらタコさんウインナーもメニューに入れてもらわなければ困るのよ。
「チョリソーのソテーはありますが、タコさんは……」
「えーーーそんなーーー、私どうしてもタコさんウインナーが良いんですうーーー!!」
こんなときはおねだりアタックだ。
これでレイナお姉様は私の頼みをなんでも聞いてくれていたんだから!
「わかりました。考えさせていただきます」
「ありがとうございますーーー!」
ふう、これで食卓の問題もよしっと!
あとはオシャレな服を毎月買ってもらえるくらいのお金は稼げるように店を拡張してもらって……。
それからお父様とお母様は大好きだから、子供ができたあたりで一緒に住めるように部屋も用意してもらって……。
あ、そうだ。三時のオヤツは絶対に用意してもらえるようにしなきゃ。
幸いこの飲食店の雇ってる人に頼んでもらえれば毎日おいしいお菓子が……。
私の要望をしっかりとダルムさんに伝えたわ。
とにかく最初が肝心だからね。
「シャイン様、先程も申しましたが、考えさせていただいたことをお話ししたいと思います」
「あ、ええ、どうぞ」
タコさんウインナーのことをずっと考えてくれていたのね。
でも、今はそれよりも私の生活に対する要望を聞いて欲しかったんだけど。
「申し訳ございませんが、縁談はなかったことにさせていただきます」
「え!? なぜですか!?」
「シャイン様の今後のことも考え、はっきりと申し上げます。シャイン様は独特すぎる故、リーバス家に不幸を呼びそうです。それに、僕の店を侮辱されたことがどうしても許せなかった……。申し訳ありませんが、あなたと結婚するくらいなら独り身の方が良い、そう思ってしまったんです」
うわぁ……。
なんて身勝手な男なんだ……。
顔が良いからって、性格は最悪だった。
「もう良いです!! 結構です!! こんな庶民の店で働いているような人じゃ私には相応しくありませんから!」
久しぶりに怒鳴ってしまった。
せっかく、見た目が良い男だから結婚しても良いかと思っていたのに。
残念だわ。
でも、いいの。
お父様も無理に縁談をまとめなくていいって言ってくれていたし。
私に似合いのカッコ良くて要望も聞いてくれる王子様はきっと現れるわ。
馬車に揺られながら次の相手のことをしっかりと考ていた。
私って前向きポジティブだから。
はぁ、次の縁談まだかなー。
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