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20【シャイン視点】新たな縁談2
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縁談のお話をするために、リーバス男爵家が予約してくれた店に伺った。
馬車を降りると、店の前でそれっぽい男性が待っていた。
私がじっと見つめると、モジモジとしたような態度で頭を下げてきた。
お、これは早速私の美貌で悩殺できたのかもしれない。
「シャイン様ですね、はじめまして。ダルム=リーバスと申します」
「お初にお目にかかります、シャイン=ファルアーヌでございます」
リーバス男爵家とは関わり合いもなかったので、私はダルムさんとは初めて会った。
うん、見た目は結構良い男。
スラットした長身で顔立ちも良いし目がクリっとしていて、かなり私好みかもしれない。
よし!
お父様達には余程の好印象でなければ適当に流しておくように言われていたけれど、余程のことだったのでダルムさんを落とすわよ!
まずは店を変えた方がいいかもしれない。
こんな庶民が通いそうな低級の店じゃダルムさんだって不満足でしょう。
大丈夫! それなりにお金持っているから。
「せっかくですけれど、こんな貧乏臭そうなお店じゃなくて、もっと豪華なところに変えまえんか?」
「え!?」
「せっかくの縁談のお話でしょう? もっと貴族としてふさわしい店にしませんか? お金はこちらで出しますから安心してください」
ダルムさんは苦笑をしながら頬をかいていた。
うんうん、それでいいの。
もっと私を頼ってちょうだいな。
「やはり貧乏臭く見えますよね。申し訳ございません」
「いえいえ。早速いきましょ。馬車に乗ってくださいな」
予約料も食べてないんだから払う必要なんてないでしょう。
さっさとこんな店から離れちゃいましょ。
「ここ、僕の店で最高のおもてなしを用意していたんですけどね……」
「えーーー!?」
うわー、やらかしてしまったわ。
でもまぁ、ダルムさんも笑っているし怒ってはいないんでしょう。
あぶなかったわ。
でも、それならそうと最初に言ってくれればいいのに。
「ダルムさんの店だったんですね。ならここで構いませんよ」
「は……はぁ、承知致しました。では中へどうぞ」
多分だけど、私の外見があまりにも良いからこのくらいの発言は多めに見てくれているのでしょう。
それくらい器の広い人じゃないと結婚相手としては認められないんだけどね。
「外は庶民くさかったですけど、中も庶民の感じがいっぱいで良い感じですね」
本心としては、こんな貧乏臭くて汚い店でよく営業できたなぁと思っている。
流石にそんなことは言えない。
さきほど、貧乏くさいと言って彼が笑っていたことを思い出す。
おそらくダルムさんは、この店はあえて貧乏臭い庶民っぽさを演出していたに違いない。
このワードを使ってダルムさんを喜ばせてあげようと思った。
「もう少し貴族の皆さんも来れるような満足できるお店に変えられるよう努力いたします……」
あれあれ!?
ダルムさんの目が死んでいる。
もしかして、違ったのかしら。
でも大丈夫!
公爵家でこういうことは学んできたわ。
もしも怒っていたら、笑ったりなんかはしてこないはず。
きっと、私と結婚したらもっと豪華な店に改装しようとしていたんだわ。
だから私に先に指摘されてしまって少しだけ気持ちが落ちちゃったんでしょう。
まだまだこれからよ!
見た目はカッコいいんだから、ダルムさんをこの調子でものにしてみせましょう!
馬車を降りると、店の前でそれっぽい男性が待っていた。
私がじっと見つめると、モジモジとしたような態度で頭を下げてきた。
お、これは早速私の美貌で悩殺できたのかもしれない。
「シャイン様ですね、はじめまして。ダルム=リーバスと申します」
「お初にお目にかかります、シャイン=ファルアーヌでございます」
リーバス男爵家とは関わり合いもなかったので、私はダルムさんとは初めて会った。
うん、見た目は結構良い男。
スラットした長身で顔立ちも良いし目がクリっとしていて、かなり私好みかもしれない。
よし!
お父様達には余程の好印象でなければ適当に流しておくように言われていたけれど、余程のことだったのでダルムさんを落とすわよ!
まずは店を変えた方がいいかもしれない。
こんな庶民が通いそうな低級の店じゃダルムさんだって不満足でしょう。
大丈夫! それなりにお金持っているから。
「せっかくですけれど、こんな貧乏臭そうなお店じゃなくて、もっと豪華なところに変えまえんか?」
「え!?」
「せっかくの縁談のお話でしょう? もっと貴族としてふさわしい店にしませんか? お金はこちらで出しますから安心してください」
ダルムさんは苦笑をしながら頬をかいていた。
うんうん、それでいいの。
もっと私を頼ってちょうだいな。
「やはり貧乏臭く見えますよね。申し訳ございません」
「いえいえ。早速いきましょ。馬車に乗ってくださいな」
予約料も食べてないんだから払う必要なんてないでしょう。
さっさとこんな店から離れちゃいましょ。
「ここ、僕の店で最高のおもてなしを用意していたんですけどね……」
「えーーー!?」
うわー、やらかしてしまったわ。
でもまぁ、ダルムさんも笑っているし怒ってはいないんでしょう。
あぶなかったわ。
でも、それならそうと最初に言ってくれればいいのに。
「ダルムさんの店だったんですね。ならここで構いませんよ」
「は……はぁ、承知致しました。では中へどうぞ」
多分だけど、私の外見があまりにも良いからこのくらいの発言は多めに見てくれているのでしょう。
それくらい器の広い人じゃないと結婚相手としては認められないんだけどね。
「外は庶民くさかったですけど、中も庶民の感じがいっぱいで良い感じですね」
本心としては、こんな貧乏臭くて汚い店でよく営業できたなぁと思っている。
流石にそんなことは言えない。
さきほど、貧乏くさいと言って彼が笑っていたことを思い出す。
おそらくダルムさんは、この店はあえて貧乏臭い庶民っぽさを演出していたに違いない。
このワードを使ってダルムさんを喜ばせてあげようと思った。
「もう少し貴族の皆さんも来れるような満足できるお店に変えられるよう努力いたします……」
あれあれ!?
ダルムさんの目が死んでいる。
もしかして、違ったのかしら。
でも大丈夫!
公爵家でこういうことは学んできたわ。
もしも怒っていたら、笑ったりなんかはしてこないはず。
きっと、私と結婚したらもっと豪華な店に改装しようとしていたんだわ。
だから私に先に指摘されてしまって少しだけ気持ちが落ちちゃったんでしょう。
まだまだこれからよ!
見た目はカッコいいんだから、ダルムさんをこの調子でものにしてみせましょう!
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