8 / 8
8 フェンフェン視点 それから
しおりを挟む
ダルムとジューリア先輩が離婚してから数日後。
再びこのゲスい男と会う羽目になってしまった。
私は被害者だっていうのに。
「くっそがああぁぁぁぁ!! なんで俺たちがこんなに借金を背負う羽目になってしまったんだ!! そもそもフェンフェン! お前が不倫するからこういうことになったんだぞ!」
「何言ってるのよ!! ダルムが勝手に私たちの関係をバラしたからいけないんでしょ!!」
こんなバカ男、とっとと離れておくべきだったわ。
かなり昔だけど、別れてからギルドでまた一緒に働くようになってしまった。とは言っても私は未練もなかったし、気にしていなかった。
でも、ダルムと先輩が婚約したっていうのに、しつこく迫ってこられて結局関係を持ってしまったのだ。
「あのね、そもそも金も出さないで私としてただけ感謝しなさいよ! 他の男どもからは金貰ってたんだし!」
「それがそもそも不倫だろう! 俺の分の慰謝料も貴様が払え!」
「馬鹿なの!? 結婚もしていないんだし浮気でもなんでもないわよ!」
「それだけ怒鳴る元気があるのならば働けるだろ!? 俺の分も稼いでもらう」
こんなゴミを相手しているほど暇じゃないんだから!
男を集めてなんとか金を巻き上げておかないと私の生活までもがズタボロよ!
せっかくダルムがタダで泊めてくれるっていうからあの家に行ったのに……。
毎日遊びまくって限界まで体力使っても面倒見てくれる人がいるから居心地が良かったのに……。
「もう二度と私に関わらないで! 背負った借金返すために何千人の男を相手にしなければならないと思っているの!?」
「それ以外の方法で金を稼ぐんだ! 俺はお前が他の男にそういう目に合う姿を見たくない」
「そんな言うならダルムが全額払ってよね!」
「う……わ、分かった」
全く信用できない。
これでも沢山の男を見てきたからなんとなく読める。
とは言っても、公園でダルムと再開した日は浮かれてて全く気がつかなかったけど……。
だが。
「じゃ、約束ね」
嫌々だが、ダルムの頬にキスをしておいた。
多少煽てておけば、数日間は私の面倒をしっかり見てくれるはずだ。
たとえ相手が途中で裏切ると分かっていても。
「どこで寝るんだ? 親に勘当され捨てられてしまったし、今は家すらないんだぞ」
「今いくら持ってる?」
ポケットから取り出した硬貨を見てため息をはいた。
「はぁ……、とりあえず一泊はできるわよね。今日はいつもの場所で泊まりましょうか」
「俺の全財産だぞ! しかも借金も膨大なんだ。使っていいのか!?」
「いーい、こういうときはまず休憩が必要なの。一旦しっかりと休んでから明日から頑張ればいいの!」
「なるほど! やはり不倫していたとはいえフェンフェンは頭がいいな」
ふ、甘いわね。ダルムが馬鹿で助かった。
とりあえず私の寝床は確保できただろう。
ダルムが起きる前にズラかればなんとかなるわ。
いつも利用している店の前に来たのだが……。
「ダルム、今はまずいわ。一旦帰りましょう!」
「なぜだ!? まさか緊張しているのか? 馬鹿だな。いいから来い。休む前にたっぷりと愛を育もうではないか」
ダルムとは気持ち悪いから遠慮したい。
そういうことではない。
今行くのは本当にまずい。
「見つけたぞ!!」
あーだから言ったのに……。
「逃げるわよ!」
「お、おい!」
私一人で走ったが、一緒にいたダルムはあっさりと警備兵に捕らえられ、私もすぐに追いつかれて捕まってしまった。
「フェンフェンで間違いないな。理由は分かっているな?」
「く……もうおしまいだわ」
「フェンフェン! 何がどうなっている!?」
私には金というものが全くない。
だから食いつなぐために数日間だけだが男を獲物にして持っている全財産を奪って逃げていたのだ。
まさかこんなに早くバレてしまうなんて……。
「ダルム、もう私たちの作戦はおしまいよ。素直に捕まりましょう」
「はぁ!?」
こうなったら二人で罪を背負っていこうではないか。
一人より二人で一つの罪を被っておけば、罰が半減するような気がするし。
道連れにしてやるわ!
そもそもこのバカのせいでこういう事態になってしまったんだし。
「貴様もグルか!」
「違う! おいフェンフェン! ちゃんと説明しろ!」
「だから、ダルムが私をこういう行為にさせるきっかけを作ったんだから説明も何もないでしょう?」
「ふざけんなーーー!!」
バカで助かった。
もういいじゃない。
どうせ捕まっていれば食事くらい出してくれるでしょう。
それぞれ十億もの慰謝料払っているよりよっぽどマシじゃないの。
そうよ!
私はダルムを窮地から救ったヒーローなのよ。
このことを後で監獄所の中でダルムにコッソリと伝えた。
「そうか、お前はそうやってわざと捕まり、俺と共に楽な道を選んでくれたんだな。感謝する」
「あ……当たり前じゃないの。だって、幼馴染だもの」
「フェンフェン……」
よし、これで一緒に罪を背負ってもらえるだろう。
ちょろいわね。
♢
「判決を言い渡す!! 其方ら借金を多大に抱えている上に異性を騙す行為! 許せることではない。双方処刑とする!!」
「「は!?」」
なんで……。
あ、そういえばこの国って囚人といえど強制労働で給料って出るんだっけ。
それで罪を償う代償の額が無期でも支払えない状態の場合って確か……。
なんということだ!!
借金まみれのダルムを道連れにしてしまったせいで余計に罪が重くなってしまった!
「話が違うじゃないかフェンフェン!!」
「待って!! ダルムとはなんの関係もないの! だから私だけの犯行で……」
「お互いに認めていたではないか。仮に裁判で嘘をついていたというのならばそれも処刑に値する。つまりどちらにせよ処刑となる」
私もダルムも生きている心地がしない。
警備兵に引っ張られているが歩いていることすらよく分かっていないのだ。
処刑台に立たされる前、私はストレスと恐怖で本当の病気にかかってしまったが、もはや誰も信じてくれない……。
完全に終わった……。
----------
【後書き】
最後までお付き合いありがとうございました。
一度、小説の完結を主人公以外のキャラでやってみたかったので、ざまぁキャラで終わりにしてみました。
今回やっと1万文字程度にまとめることができました。
最後に、7月第三作目の新作お知らせです。
『聖女なのに国を追い出されたので、崩壊寸前の隣国へ来ました~力を解放したので国が平和になってきましたが元の国まで加護は届きませんよ~』
応援宜しくお願い致します。
再びこのゲスい男と会う羽目になってしまった。
私は被害者だっていうのに。
「くっそがああぁぁぁぁ!! なんで俺たちがこんなに借金を背負う羽目になってしまったんだ!! そもそもフェンフェン! お前が不倫するからこういうことになったんだぞ!」
「何言ってるのよ!! ダルムが勝手に私たちの関係をバラしたからいけないんでしょ!!」
こんなバカ男、とっとと離れておくべきだったわ。
かなり昔だけど、別れてからギルドでまた一緒に働くようになってしまった。とは言っても私は未練もなかったし、気にしていなかった。
でも、ダルムと先輩が婚約したっていうのに、しつこく迫ってこられて結局関係を持ってしまったのだ。
「あのね、そもそも金も出さないで私としてただけ感謝しなさいよ! 他の男どもからは金貰ってたんだし!」
「それがそもそも不倫だろう! 俺の分の慰謝料も貴様が払え!」
「馬鹿なの!? 結婚もしていないんだし浮気でもなんでもないわよ!」
「それだけ怒鳴る元気があるのならば働けるだろ!? 俺の分も稼いでもらう」
こんなゴミを相手しているほど暇じゃないんだから!
男を集めてなんとか金を巻き上げておかないと私の生活までもがズタボロよ!
せっかくダルムがタダで泊めてくれるっていうからあの家に行ったのに……。
毎日遊びまくって限界まで体力使っても面倒見てくれる人がいるから居心地が良かったのに……。
「もう二度と私に関わらないで! 背負った借金返すために何千人の男を相手にしなければならないと思っているの!?」
「それ以外の方法で金を稼ぐんだ! 俺はお前が他の男にそういう目に合う姿を見たくない」
「そんな言うならダルムが全額払ってよね!」
「う……わ、分かった」
全く信用できない。
これでも沢山の男を見てきたからなんとなく読める。
とは言っても、公園でダルムと再開した日は浮かれてて全く気がつかなかったけど……。
だが。
「じゃ、約束ね」
嫌々だが、ダルムの頬にキスをしておいた。
多少煽てておけば、数日間は私の面倒をしっかり見てくれるはずだ。
たとえ相手が途中で裏切ると分かっていても。
「どこで寝るんだ? 親に勘当され捨てられてしまったし、今は家すらないんだぞ」
「今いくら持ってる?」
ポケットから取り出した硬貨を見てため息をはいた。
「はぁ……、とりあえず一泊はできるわよね。今日はいつもの場所で泊まりましょうか」
「俺の全財産だぞ! しかも借金も膨大なんだ。使っていいのか!?」
「いーい、こういうときはまず休憩が必要なの。一旦しっかりと休んでから明日から頑張ればいいの!」
「なるほど! やはり不倫していたとはいえフェンフェンは頭がいいな」
ふ、甘いわね。ダルムが馬鹿で助かった。
とりあえず私の寝床は確保できただろう。
ダルムが起きる前にズラかればなんとかなるわ。
いつも利用している店の前に来たのだが……。
「ダルム、今はまずいわ。一旦帰りましょう!」
「なぜだ!? まさか緊張しているのか? 馬鹿だな。いいから来い。休む前にたっぷりと愛を育もうではないか」
ダルムとは気持ち悪いから遠慮したい。
そういうことではない。
今行くのは本当にまずい。
「見つけたぞ!!」
あーだから言ったのに……。
「逃げるわよ!」
「お、おい!」
私一人で走ったが、一緒にいたダルムはあっさりと警備兵に捕らえられ、私もすぐに追いつかれて捕まってしまった。
「フェンフェンで間違いないな。理由は分かっているな?」
「く……もうおしまいだわ」
「フェンフェン! 何がどうなっている!?」
私には金というものが全くない。
だから食いつなぐために数日間だけだが男を獲物にして持っている全財産を奪って逃げていたのだ。
まさかこんなに早くバレてしまうなんて……。
「ダルム、もう私たちの作戦はおしまいよ。素直に捕まりましょう」
「はぁ!?」
こうなったら二人で罪を背負っていこうではないか。
一人より二人で一つの罪を被っておけば、罰が半減するような気がするし。
道連れにしてやるわ!
そもそもこのバカのせいでこういう事態になってしまったんだし。
「貴様もグルか!」
「違う! おいフェンフェン! ちゃんと説明しろ!」
「だから、ダルムが私をこういう行為にさせるきっかけを作ったんだから説明も何もないでしょう?」
「ふざけんなーーー!!」
バカで助かった。
もういいじゃない。
どうせ捕まっていれば食事くらい出してくれるでしょう。
それぞれ十億もの慰謝料払っているよりよっぽどマシじゃないの。
そうよ!
私はダルムを窮地から救ったヒーローなのよ。
このことを後で監獄所の中でダルムにコッソリと伝えた。
「そうか、お前はそうやってわざと捕まり、俺と共に楽な道を選んでくれたんだな。感謝する」
「あ……当たり前じゃないの。だって、幼馴染だもの」
「フェンフェン……」
よし、これで一緒に罪を背負ってもらえるだろう。
ちょろいわね。
♢
「判決を言い渡す!! 其方ら借金を多大に抱えている上に異性を騙す行為! 許せることではない。双方処刑とする!!」
「「は!?」」
なんで……。
あ、そういえばこの国って囚人といえど強制労働で給料って出るんだっけ。
それで罪を償う代償の額が無期でも支払えない状態の場合って確か……。
なんということだ!!
借金まみれのダルムを道連れにしてしまったせいで余計に罪が重くなってしまった!
「話が違うじゃないかフェンフェン!!」
「待って!! ダルムとはなんの関係もないの! だから私だけの犯行で……」
「お互いに認めていたではないか。仮に裁判で嘘をついていたというのならばそれも処刑に値する。つまりどちらにせよ処刑となる」
私もダルムも生きている心地がしない。
警備兵に引っ張られているが歩いていることすらよく分かっていないのだ。
処刑台に立たされる前、私はストレスと恐怖で本当の病気にかかってしまったが、もはや誰も信じてくれない……。
完全に終わった……。
----------
【後書き】
最後までお付き合いありがとうございました。
一度、小説の完結を主人公以外のキャラでやってみたかったので、ざまぁキャラで終わりにしてみました。
今回やっと1万文字程度にまとめることができました。
最後に、7月第三作目の新作お知らせです。
『聖女なのに国を追い出されたので、崩壊寸前の隣国へ来ました~力を解放したので国が平和になってきましたが元の国まで加護は届きませんよ~』
応援宜しくお願い致します。
24
お気に入りに追加
503
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(10件)
あなたにおすすめの小説
勝手にしなさいよ
棗
恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……
相手不在で進んでいく婚約解消物語
キムラましゅろう
恋愛
自分の目で確かめるなんて言わなければよかった。
噂が真実かなんて、そんなこと他の誰かに確認して貰えばよかった。
今、わたしの目の前にある光景が、それが単なる噂では無かったと物語る……。
王都で近衛騎士として働く婚約者に恋人が出来たという噂を確かめるべく単身王都へ乗り込んだリリーが見たものは、婚約者のグレインが恋人と噂される女性の肩を抱いて歩く姿だった……。
噂が真実と確信したリリーは領地に戻り、居候先の家族を巻き込んで婚約解消へと向けて動き出す。
婚約者は遠く離れている為に不在だけど……☆
これは婚約者の心変わりを知った直後から、幸せになれる道を模索して突き進むリリーの数日間の物語である。
果たしてリリーは幸せになれるのか。
5〜7話くらいで完結を予定しているど短編です。
完全ご都合主義、完全ノーリアリティでラストまで作者も突き進みます。
作中に現代的な言葉が出て来ても気にしてはいけません。
全て大らかな心で受け止めて下さい。
小説家になろうサンでも投稿します。
R15は念のため……。
彼の過ちと彼女の選択
浅海 景
恋愛
伯爵令嬢として育てられていたアンナだが、両親の死によって伯爵家を継いだ伯父家族に虐げられる日々を送っていた。義兄となったクロードはかつて優しい従兄だったが、アンナに対して冷淡な態度を取るようになる。
そんな中16歳の誕生日を迎えたアンナには縁談の話が持ち上がると、クロードは突然アンナとの婚約を宣言する。何を考えているか分からないクロードの言動に不安を募らせるアンナは、クロードのある一言をきっかけにパニックに陥りベランダから転落。
一方、トラックに衝突したはずの杏奈が目を覚ますと見知らぬ男性が傍にいた。同じ名前の少女と中身が入れ替わってしまったと悟る。正直に話せば追い出されるか病院行きだと考えた杏奈は記憶喪失の振りをするが……。
(完)なにも死ぬことないでしょう?
青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。
悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。
若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。
『亭主、元気で留守がいい』ということを。
だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。
ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。
昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。
むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。
緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」
そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。
私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。
ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。
その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。
「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」
お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。
「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」
二人ともに愛している? ふざけているのですか?
ふまさ
恋愛
「きみに、是非とも紹介したい人がいるんだ」
婚約者のデレクにそう言われ、エセルが連れてこられたのは、王都にある街外れ。
馬車の中。エセルの向かい側に座るデレクと、身なりからして平民であろう女性が、そのデレクの横に座る。
「はじめまして。あたしは、ルイザと申します」
「彼女は、小さいころに父親を亡くしていてね。母親も、つい最近亡くなられたそうなんだ。むろん、暮らしに余裕なんかなくて、カフェだけでなく、夜は酒屋でも働いていて」
「それは……大変ですね」
気の毒だとは思う。だが、エセルはまるで話に入り込めずにいた。デレクはこの女性を自分に紹介して、どうしたいのだろう。そこが解決しなければ、いつまで経っても気持ちが追い付けない。
エセルは意を決し、話を断ち切るように口火を切った。
「あの、デレク。わたしに紹介したい人とは、この方なのですよね?」
「そうだよ」
「どうしてわたしに会わせようと思ったのですか?」
うん。
デレクは、姿勢をぴんと正した。
「ぼくときみは、半年後には王立学園を卒業する。それと同時に、結婚することになっているよね?」
「はい」
「結婚すれば、ぼくときみは一緒に暮らすことになる。そこに、彼女を迎えいれたいと思っているんだ」
エセルは「……え?」と、目をまん丸にした。
「迎えいれる、とは……使用人として雇うということですか?」
違うよ。
デレクは笑った。
「いわゆる、愛人として迎えいれたいと思っているんだ」
一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。
木山楽斗
恋愛
「君とは一年後に離婚するつもりだ」
結婚して早々、私は夫であるマグナスからそんなことを告げられた。
彼曰く、これは親に言われて仕方なくした結婚であり、義理を果たした後は自由な独り身に戻りたいらしい。
身勝手な要求ではあったが、その気持ちが理解できない訳ではなかった。私もまた、親に言われて結婚したからだ。
こうして私は、一年間の期限付きで夫婦生活を送ることになった。
マグナスは紳士的な人物であり、最初に言ってきた要求以外は良き夫であった。故に私は、それなりに楽しい生活を送ることができた。
「もう少し様子を見たいと思っている。流石に一年では両親も納得しそうにない」
一年が経った後、マグナスはそんなことを言ってきた。
それに関しては、私も納得した。彼の言う通り、流石に離婚までが早すぎると思ったからだ。
それから一年後も、マグナスは離婚の話をしなかった。まだ様子を見たいということなのだろう。
夫がいつ離婚を切り出してくるのか、そんなことを思いながら私は日々を過ごしている。今の所、その気配はまったくないのだが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
こんな女に、そして、こんな男に引っかかったのが悪い(笑)。自業自得(笑)。元奥さん、幸せになってね😭。
場所が割れている家を譲渡されるのは正直困るし、本来はやめた方が良い案件。
復縁凸されたり、ストーカーされたり、逆恨みによる報復凸されたりする可能性があるからです。
身の安全の為にはお金だけもらって、遠く離れた地に移住するのが良い。
あと、「旦那様のお世話を破棄」とありますが、破棄ではなく放棄ではないでしょうか?
盛大な墓穴を掘った阿呆な夫。
フェンフェンはお前の妻じゃないから不倫にはならんよ。
不倫は一般的には既婚者の浮気の事を指し、愛人・恋人なら精々浮気だ。
言葉まで間違いまくっている。
夫の頭の中で、フェンフェンは既に第2夫人に昇格していたのかしら?(笑)