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4 フェンフェンがまたダウンした
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「ジューリア先輩。用事があるので今日は外出してきて良いですか?」
「別に構わないけど、体調は大丈夫なの?」
「はい! おかげさまですっかり治りました」
フェンフェンには三日ほど休んでもらった。顔色は良くなって回復傾向だとは思う。
彼女が何の病気になっているのか喋ろうとはしないが、無理に問うのも悪い気がするのであえて聞かなかった。
とはいえ、まだ何かの病気の病み上がりなのだから無理はしないでほしい。
「絶対に無理はしないでね」
「ありがとうございます。明日からは使用人として働かせていただこうかと」
ダルムは居候だと言い張ったが、そこはきっちりとケジメをつけて欲しかったので、私からしっかりと話した。
その結果、フェンフェンはここで住込で働くと言ってくれたので、私はフェンフェンを受け入れることにしたのだ。
「働くのは病気が完治してからで良いんだけどね」
「いえ、お金にも困っていたので働かせてください。出来れば日当で!」
「え……まぁ別に支払い方法はそれでも良いんだけど……」
支払い方法に関しては特に気にはならなかったのだが……。
今までのイメージでは極々普通に生活しているものだと認識していた。
だが、病気が原因でここまで苦しい状況になってしまったのだろう。
なるべく彼女の意見を尊重してあげようと思うのだった。
私もギルドで仕事があるので、一緒に家を出てそれぞれの目的地へ向かっていった。
♢
夕方、仕事を終えた私が先に帰宅して、その少し後にフェンフェンが帰ってきた。
「ただいま戻りました……」
顔色がかなり悪い。
まるでこの家に来た日と同じような表情になってしまっている。
おまけに疲れきっているようでヘトヘトだ。
こんなになるまで何をしていたのか疑問だ。
「どうしたの!? 大丈夫!?」
倒れる寸前だったので、慌ててフェンフェンを捕まえた。
レーシーとファーラーにも手伝ってもらって寝室へ連れて行く。
「やっぱり治っていなかったのね……。明日は働いちゃダメ。ゆっくり休んでて!」
「でも……どうしてもお金が必要なんです! だから使用人やらせてください」
「ダメ! ギルドでも何度も言ってきたでしょう? 無理して働くのは厳禁って」
「うぅ……どうしよう……」
そんなにお金に困っているのだろうか。
今にも泣き出しそうな表情をしているので、私の悪い癖で甘やかしてしまった。
「じゃあ……明日は働いてもらいます。フェンフェンの仕事は、ゆっくりここで病気が治るまで休むこと。これだったらしっかりできる?」
「ありがとうございます! ですが……外に行かなければならない用事もあるんですが……」
住込とは言っても彼女のプライベートにまで首を突っ込むことはできない。
ただ、無理はして欲しくないのだ。
「今日みたいにならないようにしてほしい」
「努力してみます」
フェンフェンの発言と行動には謎が多い。
まぁこれも一緒に住んでいけば徐々に知っていけるだろう。
ゆっくり休ませるために、私は寝室から出ていった。
「別に構わないけど、体調は大丈夫なの?」
「はい! おかげさまですっかり治りました」
フェンフェンには三日ほど休んでもらった。顔色は良くなって回復傾向だとは思う。
彼女が何の病気になっているのか喋ろうとはしないが、無理に問うのも悪い気がするのであえて聞かなかった。
とはいえ、まだ何かの病気の病み上がりなのだから無理はしないでほしい。
「絶対に無理はしないでね」
「ありがとうございます。明日からは使用人として働かせていただこうかと」
ダルムは居候だと言い張ったが、そこはきっちりとケジメをつけて欲しかったので、私からしっかりと話した。
その結果、フェンフェンはここで住込で働くと言ってくれたので、私はフェンフェンを受け入れることにしたのだ。
「働くのは病気が完治してからで良いんだけどね」
「いえ、お金にも困っていたので働かせてください。出来れば日当で!」
「え……まぁ別に支払い方法はそれでも良いんだけど……」
支払い方法に関しては特に気にはならなかったのだが……。
今までのイメージでは極々普通に生活しているものだと認識していた。
だが、病気が原因でここまで苦しい状況になってしまったのだろう。
なるべく彼女の意見を尊重してあげようと思うのだった。
私もギルドで仕事があるので、一緒に家を出てそれぞれの目的地へ向かっていった。
♢
夕方、仕事を終えた私が先に帰宅して、その少し後にフェンフェンが帰ってきた。
「ただいま戻りました……」
顔色がかなり悪い。
まるでこの家に来た日と同じような表情になってしまっている。
おまけに疲れきっているようでヘトヘトだ。
こんなになるまで何をしていたのか疑問だ。
「どうしたの!? 大丈夫!?」
倒れる寸前だったので、慌ててフェンフェンを捕まえた。
レーシーとファーラーにも手伝ってもらって寝室へ連れて行く。
「やっぱり治っていなかったのね……。明日は働いちゃダメ。ゆっくり休んでて!」
「でも……どうしてもお金が必要なんです! だから使用人やらせてください」
「ダメ! ギルドでも何度も言ってきたでしょう? 無理して働くのは厳禁って」
「うぅ……どうしよう……」
そんなにお金に困っているのだろうか。
今にも泣き出しそうな表情をしているので、私の悪い癖で甘やかしてしまった。
「じゃあ……明日は働いてもらいます。フェンフェンの仕事は、ゆっくりここで病気が治るまで休むこと。これだったらしっかりできる?」
「ありがとうございます! ですが……外に行かなければならない用事もあるんですが……」
住込とは言っても彼女のプライベートにまで首を突っ込むことはできない。
ただ、無理はして欲しくないのだ。
「今日みたいにならないようにしてほしい」
「努力してみます」
フェンフェンの発言と行動には謎が多い。
まぁこれも一緒に住んでいけば徐々に知っていけるだろう。
ゆっくり休ませるために、私は寝室から出ていった。
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