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2 幼馴染の体調
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何故ダルムの幼馴染かつ彼の元恋人のために、私が年俸ウン百万ゴールドという大金を払わなければならないのだろうか。
「これは決定事項だが勘違いしないでほしい。夫婦で相談することは良いことだし、あくまで勝手に連れてくるわけではないということを理解してほしいのだ。それに元カノとはいえ今は体の関係もない」
当たり前だ! あったら困るだろう。
なぜそのような当然のことを言うのかが理解できない。
「それに……フェンフェンはずっと一人暮らしだし、最近病気になってしまったらしい。だから看病してやりたいのだよ。それに使用人二人がいるんだし変なことに発展するわけないだろ!?」
「それは……まぁそうですけど……」
ファーラーとレーシーは二人とも完璧と言えるほどの家事をこなす。
それが監視とイコールで直結するかどうかはわからないが、二人が同じ家にいるのに変なことをするかといえば考えにくい。
本当に病気なのだとすれば、これはダルムの優しさと捉えるべきかもしれない。
しかし、病気を抱えているのに使用人として家の仕事をこなせるのだろうか。
いや、知り合いがいて家で無理せず働けるならアリなのかな……。
「はぁ……どうせいくら断っても無駄でしょうね。わかりましたよ。その代わり、お金を払うんですから無理のない範囲で良いので、キッチリと仕事をしてもらいますよ?」
「助かる。では今すぐ連れてくる」
普段はぐーたらになってしまったダルムなのに、どこからこんな行動力が出るのだろうか……。
元カノだからか。
いや、今はあまり深く問い詰めるのはやめておこう。
本来ならば家で働かせるなどあり得ないが、あえて許可した理由が二つある。
もしも本当に病気なら過去の関係は置いといて、ここにいて治るなら治してあげたい。
私とてフェンフェンとは関わりがあったのだから。
そしてもう一つは……
できればダルムの善意で連れてくるという前者の理由であってほしいと願う。
♢
「お久しぶりですねジューリア先輩。またお世話になります」
礼儀正しくお辞儀をしてきた。ギルドのときから、なぜか私のことを『先輩』と呼んでくる。
彼女の見た目に関しては以前と変わらず、すらっとした身体なのに胸だけは目立つといったところか。
羨ましい!
……と言っている場合ではない。
フェンフェンの顔色がとても青ざめていて明らかに正常ではないのだ。
「ちょっと……大丈夫!? とにかく寝室使っていいから休みなさい!」
「来て早々申し訳ないです……」
持ってきた荷物はファーラーに任せて、レーシーには冷たいタオルを用意してもらう。
私は彼女を抱えて寝室へ連れて行く。
そしてガルムは何もしてくれなかった。
「これは決定事項だが勘違いしないでほしい。夫婦で相談することは良いことだし、あくまで勝手に連れてくるわけではないということを理解してほしいのだ。それに元カノとはいえ今は体の関係もない」
当たり前だ! あったら困るだろう。
なぜそのような当然のことを言うのかが理解できない。
「それに……フェンフェンはずっと一人暮らしだし、最近病気になってしまったらしい。だから看病してやりたいのだよ。それに使用人二人がいるんだし変なことに発展するわけないだろ!?」
「それは……まぁそうですけど……」
ファーラーとレーシーは二人とも完璧と言えるほどの家事をこなす。
それが監視とイコールで直結するかどうかはわからないが、二人が同じ家にいるのに変なことをするかといえば考えにくい。
本当に病気なのだとすれば、これはダルムの優しさと捉えるべきかもしれない。
しかし、病気を抱えているのに使用人として家の仕事をこなせるのだろうか。
いや、知り合いがいて家で無理せず働けるならアリなのかな……。
「はぁ……どうせいくら断っても無駄でしょうね。わかりましたよ。その代わり、お金を払うんですから無理のない範囲で良いので、キッチリと仕事をしてもらいますよ?」
「助かる。では今すぐ連れてくる」
普段はぐーたらになってしまったダルムなのに、どこからこんな行動力が出るのだろうか……。
元カノだからか。
いや、今はあまり深く問い詰めるのはやめておこう。
本来ならば家で働かせるなどあり得ないが、あえて許可した理由が二つある。
もしも本当に病気なら過去の関係は置いといて、ここにいて治るなら治してあげたい。
私とてフェンフェンとは関わりがあったのだから。
そしてもう一つは……
できればダルムの善意で連れてくるという前者の理由であってほしいと願う。
♢
「お久しぶりですねジューリア先輩。またお世話になります」
礼儀正しくお辞儀をしてきた。ギルドのときから、なぜか私のことを『先輩』と呼んでくる。
彼女の見た目に関しては以前と変わらず、すらっとした身体なのに胸だけは目立つといったところか。
羨ましい!
……と言っている場合ではない。
フェンフェンの顔色がとても青ざめていて明らかに正常ではないのだ。
「ちょっと……大丈夫!? とにかく寝室使っていいから休みなさい!」
「来て早々申し訳ないです……」
持ってきた荷物はファーラーに任せて、レーシーには冷たいタオルを用意してもらう。
私は彼女を抱えて寝室へ連れて行く。
そしてガルムは何もしてくれなかった。
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