20 / 28
【外伝】文鳥の日常
しおりを挟む
――バシャバシャバシャ。
『ギュルルルルルルルウゥゥゥッ♪』
ニルの部屋にも簡易水浴び場がある。
私は、文鳥のナツメちゃんを手に乗せたままここで水浴びをさせていた。
横目でニルが私のことをじーっと羨ましそうに眺めている。
「なぜだ……。私はそのような水浴びをさせようとしても拒否されていたのだが……普段は勝手に水浴びをしていて……」
「そんなに激しくしたら私の顔にも水がかかっちゃうよー。冷たいよう」
「はは……、ルリナは相当気に入られているようだな」
私の友達だった小鳥たちを水浴びさせるときは両手で水を集めてその上で水浴び……というのが日課だった。
たまらなく幸せなひとときを味わえる時間である。
「ニルの上にだって乗っかると思いますよ」
「私にはそこまで懐いてこない……」
「うーん、交代してみましょう。ほら、やってみてくださいよ」
「うむ……」
一旦水浴びを中断して、手に乗っているナツメちゃんをニルに手渡そうとしたのだが……。
『ビィーーーーーーーーーーッ!!!!』
「明らかな拒否だ。こらこら、飼い主をつつくでない」
「あららら……。ナツメちゃんは気まぐれなんですね。……よしよし」
片手に居座っているため、もう片方の手でニルを撫でて慰める。
すると、ニルは恥ずかしそうにしながらも笑みを浮かべてくれていた。
その笑みに惹かれてか、ナツメちゃんもようやくニルの頭の上にパタパタと飛んでいく。
「ほう、ようやく私にも止まるようになったか。嬉しいぞ」
「今までどうやって飼っていたのですか?」
「私にはなかなか触れさせてくれないのでな……。私はただ餌を与えたり水の交換をしたり小屋の掃除をするだけだった」
「もしかして、ニコニコしたら止まるのでは?」
「うーむ、言われてみれば今までなかなか懐いてくれなかったからジロリと見るようなことばかり……」
ニルが手を差し伸べると、ナツメちゃんはジャンプして彼の手の上に乗った。
『ピッピッピ~♪』
「おお……ナツメちゃんよ。私の手のひらにも乗ってくれるのか!」
ニルがとても嬉しそうな顔をしている。本当に文鳥が好きなんだなぁと思い、見ていて気持ちが良い。
「その調子で水浴びをしてみては?」
「うむ。やってみよう」
バシャバシャと水浴びを楽しんでいそうなナツメちゃん。
その姿を見ているニルは幸せそうだった。
「ルリナよ、ありがとう。おかげでようやくナツメちゃんが私にも懐くようになった気がする」
「ふふ、良かったですね」
「あぁ。ルリナが文鳥を発見してくれてからというもの、非常に良いことばかりだ」
水浴びを終えたナツメちゃんはブルブルっと身体についた水を払ったあと、再びニルの頭の上に乗っかった。
「ははは、私の頭が止まり木にでもなったか」
――ぽとっ。
ナツメちゃんは身体にため込んでいたものを悪気もなく平然と放出したのだった。
ニルの頭の上にそれが乗っかっている。
ナツメちゃんはスッキリした表情で再び私の手の上に乗っかってきた。
「あれ……また私のところから離れない」
「私はナツメちゃんにとってのトイレだったのか……」
「そ、そんなことは……」
これ以上、私はなにも言うことができなかった。
このあと、私の手のひらからナツメちゃんが離れることはなかった。
『ギュルルルルルルルウゥゥゥッ♪』
ニルの部屋にも簡易水浴び場がある。
私は、文鳥のナツメちゃんを手に乗せたままここで水浴びをさせていた。
横目でニルが私のことをじーっと羨ましそうに眺めている。
「なぜだ……。私はそのような水浴びをさせようとしても拒否されていたのだが……普段は勝手に水浴びをしていて……」
「そんなに激しくしたら私の顔にも水がかかっちゃうよー。冷たいよう」
「はは……、ルリナは相当気に入られているようだな」
私の友達だった小鳥たちを水浴びさせるときは両手で水を集めてその上で水浴び……というのが日課だった。
たまらなく幸せなひとときを味わえる時間である。
「ニルの上にだって乗っかると思いますよ」
「私にはそこまで懐いてこない……」
「うーん、交代してみましょう。ほら、やってみてくださいよ」
「うむ……」
一旦水浴びを中断して、手に乗っているナツメちゃんをニルに手渡そうとしたのだが……。
『ビィーーーーーーーーーーッ!!!!』
「明らかな拒否だ。こらこら、飼い主をつつくでない」
「あららら……。ナツメちゃんは気まぐれなんですね。……よしよし」
片手に居座っているため、もう片方の手でニルを撫でて慰める。
すると、ニルは恥ずかしそうにしながらも笑みを浮かべてくれていた。
その笑みに惹かれてか、ナツメちゃんもようやくニルの頭の上にパタパタと飛んでいく。
「ほう、ようやく私にも止まるようになったか。嬉しいぞ」
「今までどうやって飼っていたのですか?」
「私にはなかなか触れさせてくれないのでな……。私はただ餌を与えたり水の交換をしたり小屋の掃除をするだけだった」
「もしかして、ニコニコしたら止まるのでは?」
「うーむ、言われてみれば今までなかなか懐いてくれなかったからジロリと見るようなことばかり……」
ニルが手を差し伸べると、ナツメちゃんはジャンプして彼の手の上に乗った。
『ピッピッピ~♪』
「おお……ナツメちゃんよ。私の手のひらにも乗ってくれるのか!」
ニルがとても嬉しそうな顔をしている。本当に文鳥が好きなんだなぁと思い、見ていて気持ちが良い。
「その調子で水浴びをしてみては?」
「うむ。やってみよう」
バシャバシャと水浴びを楽しんでいそうなナツメちゃん。
その姿を見ているニルは幸せそうだった。
「ルリナよ、ありがとう。おかげでようやくナツメちゃんが私にも懐くようになった気がする」
「ふふ、良かったですね」
「あぁ。ルリナが文鳥を発見してくれてからというもの、非常に良いことばかりだ」
水浴びを終えたナツメちゃんはブルブルっと身体についた水を払ったあと、再びニルの頭の上に乗っかった。
「ははは、私の頭が止まり木にでもなったか」
――ぽとっ。
ナツメちゃんは身体にため込んでいたものを悪気もなく平然と放出したのだった。
ニルの頭の上にそれが乗っかっている。
ナツメちゃんはスッキリした表情で再び私の手の上に乗っかってきた。
「あれ……また私のところから離れない」
「私はナツメちゃんにとってのトイレだったのか……」
「そ、そんなことは……」
これ以上、私はなにも言うことができなかった。
このあと、私の手のひらからナツメちゃんが離れることはなかった。
11
お気に入りに追加
1,375
あなたにおすすめの小説

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

召喚から外れたら、もふもふになりました?
みん
恋愛
私の名前は望月杏子。家が隣だと言う事で幼馴染みの梶原陽真とは腐れ縁で、高校も同じ。しかも、モテる。そんな陽真と仲が良い?と言うだけで目をつけられた私。
今日も女子達に嫌味を言われながら一緒に帰る事に。
すると、帰り道の途中で、私達の足下が光り出し、慌てる陽真に名前を呼ばれたが、間に居た子に突き飛ばされて─。
気が付いたら、1人、どこかの森の中に居た。しかも──もふもふになっていた!?
他視点による話もあります。
❋今作品も、ゆるふわ設定となっております。独自の設定もあります。
メンタルも豆腐並みなので、軽い気持ちで読んで下さい❋

辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~
サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――

《完結》国を追放された【聖女】は、隣国で天才【錬金術師】として暮らしていくようです
黄舞
恋愛
精霊に愛された少女は聖女として崇められる。私の住む国で古くからある習わしだ。
驚いたことに私も聖女だと、村の皆の期待を背に王都マーベラに迎えられた。
それなのに……。
「この者が聖女なはずはない! 穢らわしい!」
私よりも何年も前から聖女として称えられているローザ様の一言で、私は国を追放されることになってしまった。
「もし良かったら同行してくれないか?」
隣国に向かう途中で命を救ったやり手の商人アベルに色々と助けてもらうことに。
その隣国では精霊の力を利用する技術を使う者は【錬金術師】と呼ばれていて……。
第五元素エーテルの精霊に愛された私は、生まれた国を追放されたけれど、隣国で天才錬金術師として暮らしていくようです!!
この物語は、国を追放された聖女と、助けたやり手商人との恋愛話です。
追放ものなので、最初の方で3話毎にざまぁ描写があります。
薬の効果を示すためにたまに人が怪我をしますがグロ描写はありません。
作者が化学好きなので、少し趣味が出ますがファンタジー風味を壊すことは無いように気を使っています。
他サイトでも投稿しています。

(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?
みおな
ファンタジー
私の妹は、聖女と呼ばれている。
妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。
聖女は一世代にひとりしか現れない。
だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。
「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」
あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら?
それに妹フロラリアはシスコンですわよ?
この国、滅びないとよろしいわね?
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる