12 / 28
ルリナは文字を覚える
しおりを挟む
「ふぁぁああああ、朝かぁ~」
おなかがいっぱい、お風呂でごくらく、快適な睡眠、ニルからの私育成計画。
私は悠々自適な一晩を過ごせた。
……いくら愛鳥を見つけたとはいえ、待遇良過ぎなんじゃないだろうか。
なにかお礼をしたいのだけど、残念ながら私の所持品は木の実しかない。
特技もなければなんの取り柄もない。
お金もない。
ないない状態だ。
それなのに、どうしてこんなにもてなしてくれるのか不思議である。
「ルリナよ、朝食の時間だ」
「あ、ニルだぁ。おはようございます」
「う……うむ。おはよう」
ニルは寝起きはボーッとしているのだろうか。
私が挨拶をしたら、顔を赤らめながら頬を掻いて目線をそらしてきた。
「あれ……? ツバキさんはどこに」
「あぁ、ツバキは別の用事があって今日は不在なのだよ」
「忙しいのですね」
「彼女はルリナの家庭……こほん! ルリナがより楽しく過ごせるよう動いている」
優し過ぎだろう……。
私は飛び跳ねたいくらい嬉しすぎる状態ではある。
「ところで、今日はなにかしたいことはあるか?」
「したいこと……ですか?」
「うむ。今日は私は特に仕事もないし、望みがあるのなら聞きたい」
本音としてはやってみたいことはたくさんある。
とはいえ、ニルの手をわずらわすのも気が引けてしまう。
「先に言っておくが、遠慮はいらぬ。私としては、むしろ望みを聞けたほうが嬉しい」
「そうなのですか……? では遠慮なく望みを言ってしまいますが……うーーーん……」
どれを言おうか……。
公爵邸から離れてからなんでもやってみたい、覚えてみたい気持ちがあり過ぎて困る。
せっかく教えてもらえるのならば、後に自分で調べたりできるようなことがいいのかもしれない。
「文字の読み書きができるようになりたいです」
「ほう。お安い御用だ。では、今日はここに文字を覚えるための簡単な本をいくつか持ってこよう」
「やったー! ありがとうございます」
「なぁに、ルリナの前向きな姿勢に心打たれたよ。私も頑張らねばな。では、食事のあと本を持ってくるから待っててくれたまえ」
「昨日の夜あんなたくさんご飯もらったのに、今日の朝もご飯があるのですか?」
「当然だろう。すまぬが今日は兄上たちと会議を兼ねての食事になるから、ここで一人で食べてもらうことになるが……」
うーん、一緒に食べれないのはちょっと残念。
でも、ご飯を与えてくれるだけとても嬉しい。
昨日教えてもらったフォークやナイフの使い方の復習をしっかりしておこう。
♢
朝ごはんというボリュームではなかったな……。
お腹が満腹になってもまだ食べ物が残ってしまったため、またあとで食べることにした。
だが、ツバキさんではない別のメイドさんが片付けてしまった……。
またあとで残った食べ物食べさせてくれるよね?
しばらくベッドの上でくつろいでいると、ニルが入ってきた。
「待たせてすまない……」
「どうしましたか? なにか表情が不機嫌なような気が……」
「あ、いや。なんでもない。少々兄上たちとトラブルがあっただけだがいつものことだ。むしろ顔に出てしまっていてすまない」
王子同士になると、なにか意見のぶつかり合いが多かったりするのかな。
私にはわからないことだから、深く聞くのはやめておく。
「文字は見たことはあるか?」
「ほとんどありません」
「なるほど。ならばこの本でまずは一字一字覚えられるようにするところからだな」
私のすぐ真横にニルが座った。
「へ……平気か?」
「え? なにがですか?」
「ルリナのような可愛い子のすぐ横に私が座っていることに抵抗はないのか?」
「別にないですよ。だって、文字を教えてくれるからここに座ってくれているのでしょう?」
「はぁ……。まぁそうと言えばそうなのだが……」
ニルはまたしてもガッカリとしたような表情をして深くため息をはいた。
どうやら、兄弟同士のトラブルがよほど堪えているのかもしれない。
私は、ニルの背中に手をあててよしよしと撫でてみた。
「ルリナ……!? どどどどどどうしたのだ!?」
「元気出してくださいねぇ~」
よしよし。
よしよし。
なでなでしていたら、ニルの顔がさらに赤くなってきてしまった。
「まったく……。ルリナは本当に可愛げがあるというのに……」
「え……えぇと、やめておいたほうがいいですか?」
「いや、私は全然構わぬ。むしろうれ……うれしい」
「よかったー。元気になってくれたんですね!」
「まぁ……そうだな。だが、一つだけ約束して欲しいことがある」
「なんですか?」
「私以外の者に対してはそのような行為はしないでいただきたい……」
ニルがやたらと真剣な顔になったから、これは真面目なことなのだろう。
どちらにしてもニル以外だとツバキさんくらいしか仲良くできていないし、当面このような状況になることはないと思う。
でも、もし今後誰かと仲良くなれたとしてもやってはいけないらしい。
「ニルにはやってもいいんですか?」
「まぁ……。そうだな。私としては嬉しい……」
「はーい。また元気がなかったらよしよししますね!」
「ふ……。本当にルリナは無邪気で可愛い」
「ひょえ!?」
今度はニルが私の頭をそっとなでなでしてきた。
その瞬間、私の顔から沸騰したかのような湯気が出ているような感覚になってしまう。
心臓の鼓動も激しくなって、耳で心臓の音が聞こえてくるほどだった。
ニルが私になにかしてきたのだろうか。
「そろそろ文字の読み書きをはじめようか」
「あ……そうだった。よろしくお願いします」
気持ちを切り替えて、しっかりと覚えることに集中した。
ニルのおかげで、文字の読み書き、そして簡単な本ならなんとか読めるくらいまではできるようにはなったかな。
おなかがいっぱい、お風呂でごくらく、快適な睡眠、ニルからの私育成計画。
私は悠々自適な一晩を過ごせた。
……いくら愛鳥を見つけたとはいえ、待遇良過ぎなんじゃないだろうか。
なにかお礼をしたいのだけど、残念ながら私の所持品は木の実しかない。
特技もなければなんの取り柄もない。
お金もない。
ないない状態だ。
それなのに、どうしてこんなにもてなしてくれるのか不思議である。
「ルリナよ、朝食の時間だ」
「あ、ニルだぁ。おはようございます」
「う……うむ。おはよう」
ニルは寝起きはボーッとしているのだろうか。
私が挨拶をしたら、顔を赤らめながら頬を掻いて目線をそらしてきた。
「あれ……? ツバキさんはどこに」
「あぁ、ツバキは別の用事があって今日は不在なのだよ」
「忙しいのですね」
「彼女はルリナの家庭……こほん! ルリナがより楽しく過ごせるよう動いている」
優し過ぎだろう……。
私は飛び跳ねたいくらい嬉しすぎる状態ではある。
「ところで、今日はなにかしたいことはあるか?」
「したいこと……ですか?」
「うむ。今日は私は特に仕事もないし、望みがあるのなら聞きたい」
本音としてはやってみたいことはたくさんある。
とはいえ、ニルの手をわずらわすのも気が引けてしまう。
「先に言っておくが、遠慮はいらぬ。私としては、むしろ望みを聞けたほうが嬉しい」
「そうなのですか……? では遠慮なく望みを言ってしまいますが……うーーーん……」
どれを言おうか……。
公爵邸から離れてからなんでもやってみたい、覚えてみたい気持ちがあり過ぎて困る。
せっかく教えてもらえるのならば、後に自分で調べたりできるようなことがいいのかもしれない。
「文字の読み書きができるようになりたいです」
「ほう。お安い御用だ。では、今日はここに文字を覚えるための簡単な本をいくつか持ってこよう」
「やったー! ありがとうございます」
「なぁに、ルリナの前向きな姿勢に心打たれたよ。私も頑張らねばな。では、食事のあと本を持ってくるから待っててくれたまえ」
「昨日の夜あんなたくさんご飯もらったのに、今日の朝もご飯があるのですか?」
「当然だろう。すまぬが今日は兄上たちと会議を兼ねての食事になるから、ここで一人で食べてもらうことになるが……」
うーん、一緒に食べれないのはちょっと残念。
でも、ご飯を与えてくれるだけとても嬉しい。
昨日教えてもらったフォークやナイフの使い方の復習をしっかりしておこう。
♢
朝ごはんというボリュームではなかったな……。
お腹が満腹になってもまだ食べ物が残ってしまったため、またあとで食べることにした。
だが、ツバキさんではない別のメイドさんが片付けてしまった……。
またあとで残った食べ物食べさせてくれるよね?
しばらくベッドの上でくつろいでいると、ニルが入ってきた。
「待たせてすまない……」
「どうしましたか? なにか表情が不機嫌なような気が……」
「あ、いや。なんでもない。少々兄上たちとトラブルがあっただけだがいつものことだ。むしろ顔に出てしまっていてすまない」
王子同士になると、なにか意見のぶつかり合いが多かったりするのかな。
私にはわからないことだから、深く聞くのはやめておく。
「文字は見たことはあるか?」
「ほとんどありません」
「なるほど。ならばこの本でまずは一字一字覚えられるようにするところからだな」
私のすぐ真横にニルが座った。
「へ……平気か?」
「え? なにがですか?」
「ルリナのような可愛い子のすぐ横に私が座っていることに抵抗はないのか?」
「別にないですよ。だって、文字を教えてくれるからここに座ってくれているのでしょう?」
「はぁ……。まぁそうと言えばそうなのだが……」
ニルはまたしてもガッカリとしたような表情をして深くため息をはいた。
どうやら、兄弟同士のトラブルがよほど堪えているのかもしれない。
私は、ニルの背中に手をあててよしよしと撫でてみた。
「ルリナ……!? どどどどどどうしたのだ!?」
「元気出してくださいねぇ~」
よしよし。
よしよし。
なでなでしていたら、ニルの顔がさらに赤くなってきてしまった。
「まったく……。ルリナは本当に可愛げがあるというのに……」
「え……えぇと、やめておいたほうがいいですか?」
「いや、私は全然構わぬ。むしろうれ……うれしい」
「よかったー。元気になってくれたんですね!」
「まぁ……そうだな。だが、一つだけ約束して欲しいことがある」
「なんですか?」
「私以外の者に対してはそのような行為はしないでいただきたい……」
ニルがやたらと真剣な顔になったから、これは真面目なことなのだろう。
どちらにしてもニル以外だとツバキさんくらいしか仲良くできていないし、当面このような状況になることはないと思う。
でも、もし今後誰かと仲良くなれたとしてもやってはいけないらしい。
「ニルにはやってもいいんですか?」
「まぁ……。そうだな。私としては嬉しい……」
「はーい。また元気がなかったらよしよししますね!」
「ふ……。本当にルリナは無邪気で可愛い」
「ひょえ!?」
今度はニルが私の頭をそっとなでなでしてきた。
その瞬間、私の顔から沸騰したかのような湯気が出ているような感覚になってしまう。
心臓の鼓動も激しくなって、耳で心臓の音が聞こえてくるほどだった。
ニルが私になにかしてきたのだろうか。
「そろそろ文字の読み書きをはじめようか」
「あ……そうだった。よろしくお願いします」
気持ちを切り替えて、しっかりと覚えることに集中した。
ニルのおかげで、文字の読み書き、そして簡単な本ならなんとか読めるくらいまではできるようにはなったかな。
11
お気に入りに追加
1,363
あなたにおすすめの小説
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャららA12・山もり
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
〖完結〗聖女の力を隠して生きて来たのに、妹に利用されました。このまま利用されたくないので、家を出て楽しく暮らします。
藍川みいな
恋愛
公爵令嬢のサンドラは、生まれた時から王太子であるエヴァンの婚約者だった。
サンドラの母は、魔力が強いとされる小国の王族で、サンドラを生んですぐに亡くなった。
サンドラの父はその後再婚し、妹のアンナが生まれた。
魔力が強い事を前提に、エヴァンの婚約者になったサンドラだったが、6歳までほとんど魔力がなかった。
父親からは役立たずと言われ、婚約者には見た目が気味悪いと言われ続けていたある日、聖女の力が覚醒する。だが、婚約者を好きになれず、国の道具になりたくなかったサンドラは、力を隠して生きていた。
力を隠して8年が経ったある日、妹のアンナが聖女だという噂が流れた。 そして、エヴァンから婚約を破棄すると言われ……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
ストックを全部出してしまったので、次からは1日1話投稿になります。
【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。
氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。
聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。
でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。
「婚約してほしい」
「いえ、責任を取らせるわけには」
守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。
元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。
小説家になろう様にも、投稿しています。
【完結】「私が彼から離れた七つの理由」
まほりろ
恋愛
私とコニーの両親は仲良しで、コニーとは赤ちゃんの時から縁。
初めて読んだ絵本も、初めて乗った馬も、初めてお絵描きを習った先生も、初めてピアノを習った先生も、一緒。
コニーは一番のお友達で、大人になっても一緒だと思っていた。
だけど学園に入学してからコニーの様子がおかしくて……。
※初恋、失恋、ライバル、片思い、切ない、自分磨きの旅、地味→美少女、上位互換ゲット、ざまぁ。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿しています。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうで2022年11月19日昼日間ランキング総合7位まで上がった作品です!
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。
木山楽斗
恋愛
エルドー王国の聖女ミレイナは、予知夢で王国が龍に襲われるという事実を知った。
それを国の人々に伝えるものの、誰にも信じられず、それ所か虚言癖と避難されることになってしまう。
誰にも信じてもらえず、罵倒される。
そんな状況に疲弊した彼女は、国から出て行くことを決意した。
実はミレイナはエルドー王国で生まれ育ったという訳ではなかった。
彼女は、精霊の森という森で生まれ育ったのである。
故郷に戻った彼女は、兄弟のような関係の狼シャルピードと再会した。
彼はミレイナを快く受け入れてくれた。
こうして、彼女はシャルピードを含む森の獣達と平和に暮らすようになった。
そんな彼女の元に、ある時知らせが入ってくる。エルドー王国が、予知夢の通りに龍に襲われていると。
しかし、彼女は王国を助けようという気にはならなかった。
むしろ、散々忠告したのに、何も準備をしていなかった王国への失望が、強まるばかりだったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる