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ルリナはニリワームから食べかたを教えてもらう

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 お風呂を終えて戻ると、部屋の前でニルが待っていた。

「見違えたな……」
「あ、ニル。聞いてください聞いてくださいっ!! ベッドがふっかふかで、お風呂はポカポカしていて快適で、ツバキの頭ゴシゴシは全身の力が抜けていくような気持ち良さで、でも身体の掃除はくすぐったくて……」

 私は今日の感想をベラベラと永遠と語ってしまった。
 ニルは戸惑って苦笑いをしながらも最後まで聞いてくれた。

「楽しめたようでなによりだ。さて、楽しんだところで夕食にしようと思うのだが……。今日は一緒に食事をしないか?」
「ご飯を誰かと一緒に食べるのは初めてで嬉しいのですが……」

 私は交流会で食べ方に問題があることを知った。
 だが、なにがいけないのかがわかっていない。
 そのような状況で食事をしてしまえば、せっかくニルとは仲良くさせてもらえていても幻滅してしまうんじゃないかと思った。

「話は概ね聞いている。食べ方も今は気にせずともよい。好きなように食べてくれて構わんよ」
「いいのですか? 交流会では散々馬鹿にされてしまっていて……」
「では聞くが、食べ方の知識を誰かから教わったことはあるのか? 今まで何も知らずに食事をしてきたのではないかと私は推測するが……」
「そうですが……」

 申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
 だが、どういうわけかニルは優しく私の頭をよしよしと撫でてくれた。

「もう心配はいらない。私がしっかりと食べ方も教える。もう二度と誰にも笑われたりしないようにしよう」
「どうしてそんなに私に優しくしてくださるのですか……?」
「う……ん……。それはだな……、ほら、ナツメちゃんを救ってくれたからだ」

 それなら納得した。
 私も、行方不明の小鳥を誰かが見つけてくれたらできる限りの感謝をすると思う。
 ニルがナツメちゃんという白文鳥のことを溺愛しているんだなということがもの凄く伝わってきた。

「じゃあ……遠慮なく」
「…………、言っておいてすまぬが……。本当にきみはナツメちゃんのことになると、いや、なんでもない」
「大丈夫ですよ。ニルの気持ちはよーくわかりますから」
「ふっ……。まぁ今はそういうことにしておこうか。食事は一緒にしてくれるかい?」
「はいっ! むしろありがとうございます!!」

 私が使わせてもらっている部屋にご飯が運ばれてきた。
 交流会のときに並んでいたようなごちそうがズラリ。
 これ全部食べれる気がしない。
 おそらく三日間分くらいの量をまとめて準備してくれているのだろう。

「さて、まずは状況を把握したいからな。今回に関しては好きなように食べてもらって構わない。決して幻滅しないことは誓おう」
「その前に、そこに凶器が……」
「ナイフとフォークのことか?」

「まさか、これで動物を殺傷してご飯を追加するのですか!? 私はここに並んであるご飯だけでも十分ですよ……」
「ふむ……。これだけは先に教えておこうか。このフォークとナイフ、そしてスプーンというものを使って食べ物を口の中に入れるのだよ」

「ほへぇ~……。食事も命がけなのですね」
「いや、変な使い方をしなければ基本は怪我はしないから大丈夫だ。好きなように食べて良いとは言ったが、せっかくだからフォークとスプーンくらいは使えるようにしてみるか?」
「はいっ!」

 覚えられることはすぐにでも覚えたい。
 ニルが教えてくれるというのなら尚更だ。
 早くまともな食べ方をして、ニルに褒めてもらいたいなぁと……。
 あれ……どうして私、ニルに褒めてもらいたいなって思ったのだろう。
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