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4話【姉妹Side】
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「こんなことなら、もっと早くフィレーネを追放するべきだったわね」
「そうですね。これでやっとサーラお姉様と二人きりで過ごせますわ」
フィレーネを家から追い出した日の夜。
さっそくサーラとエマの二人で祝福のパーティーを開いていた。
収穫したての茶葉を使い紅茶をエマが煎れ、店で使う食材をふんだんに使った料理をサーラが作った。
「今在庫にある茶葉や豆が少なくなってから、従業員を雇おうと思うの」
「サーラお姉様の聖なる力があれば、あっという間に育ちますものね。収穫だけ誰かにやってもらえれば良いのでしょう?」
「えぇ。私が祈れば一瞬で収穫できるまでに茶葉や豆が育つことがわかったもの」
「さすがサーラお姉様ですわ。聖女としては、お母様はフィレーネのことばかりでしたものね」
「母上も見る目がなかったということでしょう。私もエマも裏庭で祈りは続けていた……。おそらくフィレーネは無力だから、母上は自信をつけさせるために嘘をついてまであいつを褒めまくっていたのよ」
実のところ、フィレーネが幼少期のころ、サーラとエマはとても可愛がっていた。
自分たちのほうが聖女としての実力が上であって、フィレーネを可愛がりながら指導したり教えたりできると思っていたからだった。
だが、フィレーネが成長していくにつれ、母親は一番聖なる力をもっていて将来に期待を寄せていたのはフィレーネだったのだ。
プライドの高いサーラは恨みを抱くようになり、サーラのことを大好きなエマは自然と同意するようになった。
両親を失ってからは、フィレーネを家から追い出す準備をしていたのである。
「前に王宮の人たちが来店されましたよね。あのとき、小耳に挟んだのですよ。どうやらレリック殿下がやたらと気に入ってくれたようで、『収穫が気になる、機会があれば見てみたいのだよ』などと仰っていました」
「私は立場が明らかに上の人は苦手よ……。でも、殿下を利用しない手はないわね。彼もしくは彼の下僕に収穫をしてもらい、この店の素晴らしさをより伝えてもらって、行列が絶えないような店にしてしまいましょう!」
「そうしたら、わたくしたちの仕事も大変になってしまうのでは?」
「平気よ。殿下ご用達の店だと知れば、ここで働いてみたいって人がわんさか来るもの。その人たちに任せてしまえば、私たちは庭でただ祈りをするだけで食っていけるのよ」
エマは少しだけ躊躇いつつも、サーラの考えに同意した。
(サーラお姉様と、二人きりで営業してのびのびと過ごしても良いと思っていましたが……。まぁ大儲けしたあとで、のびのびと二人きりで過ごすのも悪くありませんわね。……そうですわ! 良いことをひらめきましたわ)
「ここで働くと言っても、住み込みになりますわよね? どうせなら、この近くに住み込み用の家を建ててしまうのはどうです?」
「悪く無い案だわ。お父様たちの残してくれた財産も全部使うことになるかもしれないけれど、今後もっと儲かるから先行投資ということで、やってしまいましょう!」
エマは、これで邪魔者が完全に消え、夜はサーラと二人きりの生活だと思うとワクワクしていた。
サーラも、ストレスになるフィレーネがいなくなったことで浮かれていたのだ。
「今後は二人で姉妹カフェとして営業していくのよ。紅茶やコーヒーの素材は二人で協力して祈っていけば余裕ね」
「はい! 今までも、二人だけで祈って育てていたようなものですし」
「そうね。明日までは店をお休みして存分に楽しみましょう!」
「はいっ! サーラお姉様♡」
二人は気がついていなかった。
主にフィレーネの聖なる力によって紅茶やコーヒーの原材料となる茶葉や豆を育てていられたことを。さらに、フィレーネの力で本来の味を引き立て、特殊な効果を出していたからこそ三姉妹カフェは大盛況だったのだ。
また、レリック王子がどうして三姉妹カフェを気に入っていたのかなど、二人には知る術もない。
二日後に姉妹カフェとして開店してから、徐々に営業が傾いていくことなど知らず、二人はひとときの幸福を満喫していたのだった。
「そうですね。これでやっとサーラお姉様と二人きりで過ごせますわ」
フィレーネを家から追い出した日の夜。
さっそくサーラとエマの二人で祝福のパーティーを開いていた。
収穫したての茶葉を使い紅茶をエマが煎れ、店で使う食材をふんだんに使った料理をサーラが作った。
「今在庫にある茶葉や豆が少なくなってから、従業員を雇おうと思うの」
「サーラお姉様の聖なる力があれば、あっという間に育ちますものね。収穫だけ誰かにやってもらえれば良いのでしょう?」
「えぇ。私が祈れば一瞬で収穫できるまでに茶葉や豆が育つことがわかったもの」
「さすがサーラお姉様ですわ。聖女としては、お母様はフィレーネのことばかりでしたものね」
「母上も見る目がなかったということでしょう。私もエマも裏庭で祈りは続けていた……。おそらくフィレーネは無力だから、母上は自信をつけさせるために嘘をついてまであいつを褒めまくっていたのよ」
実のところ、フィレーネが幼少期のころ、サーラとエマはとても可愛がっていた。
自分たちのほうが聖女としての実力が上であって、フィレーネを可愛がりながら指導したり教えたりできると思っていたからだった。
だが、フィレーネが成長していくにつれ、母親は一番聖なる力をもっていて将来に期待を寄せていたのはフィレーネだったのだ。
プライドの高いサーラは恨みを抱くようになり、サーラのことを大好きなエマは自然と同意するようになった。
両親を失ってからは、フィレーネを家から追い出す準備をしていたのである。
「前に王宮の人たちが来店されましたよね。あのとき、小耳に挟んだのですよ。どうやらレリック殿下がやたらと気に入ってくれたようで、『収穫が気になる、機会があれば見てみたいのだよ』などと仰っていました」
「私は立場が明らかに上の人は苦手よ……。でも、殿下を利用しない手はないわね。彼もしくは彼の下僕に収穫をしてもらい、この店の素晴らしさをより伝えてもらって、行列が絶えないような店にしてしまいましょう!」
「そうしたら、わたくしたちの仕事も大変になってしまうのでは?」
「平気よ。殿下ご用達の店だと知れば、ここで働いてみたいって人がわんさか来るもの。その人たちに任せてしまえば、私たちは庭でただ祈りをするだけで食っていけるのよ」
エマは少しだけ躊躇いつつも、サーラの考えに同意した。
(サーラお姉様と、二人きりで営業してのびのびと過ごしても良いと思っていましたが……。まぁ大儲けしたあとで、のびのびと二人きりで過ごすのも悪くありませんわね。……そうですわ! 良いことをひらめきましたわ)
「ここで働くと言っても、住み込みになりますわよね? どうせなら、この近くに住み込み用の家を建ててしまうのはどうです?」
「悪く無い案だわ。お父様たちの残してくれた財産も全部使うことになるかもしれないけれど、今後もっと儲かるから先行投資ということで、やってしまいましょう!」
エマは、これで邪魔者が完全に消え、夜はサーラと二人きりの生活だと思うとワクワクしていた。
サーラも、ストレスになるフィレーネがいなくなったことで浮かれていたのだ。
「今後は二人で姉妹カフェとして営業していくのよ。紅茶やコーヒーの素材は二人で協力して祈っていけば余裕ね」
「はい! 今までも、二人だけで祈って育てていたようなものですし」
「そうね。明日までは店をお休みして存分に楽しみましょう!」
「はいっ! サーラお姉様♡」
二人は気がついていなかった。
主にフィレーネの聖なる力によって紅茶やコーヒーの原材料となる茶葉や豆を育てていられたことを。さらに、フィレーネの力で本来の味を引き立て、特殊な効果を出していたからこそ三姉妹カフェは大盛況だったのだ。
また、レリック王子がどうして三姉妹カフェを気に入っていたのかなど、二人には知る術もない。
二日後に姉妹カフェとして開店してから、徐々に営業が傾いていくことなど知らず、二人はひとときの幸福を満喫していたのだった。
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