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ふたたび王宮へ
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「お姉さま~! 今日はお越しくださり感謝です」
「私もシャーリャ様にお礼を言いたかったので。お招きありがとうございます」
「ふっふー……。今日は他に二人ここに呼んでいるんですよ」
「誰ですか?」
「来てからのお楽しみということで。一人はお姉さまの知っている人です。もう一人は、是非お姉さまに紹介したいなと思っていたお方なんです」
シャーリャ王女がウキウキとしながら言っていて、なんだか楽しそうに見える。
私も、聞いていて嬉しくなってきた。
「人付き合いを大事にって言ったことを、もう実行しているのですね」
「はい。もうすぐ正式に発表されるかと思いますが、思い切って貴族界に激震が走るくらいの政策が決まりましたので、私自身も自由になれます」
「そういえば、私のお父様が悲鳴をあげていましたね。平等にするとか」
「お姉さまのおかげで勇気を出すことができたんですよ」
「へ!?」
いや、今回は私は本当に無関係だったはずだ。
シャーリャ王女に政策を変えるような発言をした覚えはないし、そもそもこれは王女の力で変えたようなものだろう。
「お姉さまのことは前々から堂々としていて憧れていたんですよ。先日、実際にお姉さまの堂々とした発言を聞いていて、私もしっかりと堂々としていなきゃと思えたんです」
「は……はぁ。でも、この前はどうやったらレインハルト様のことを……、あ。すみません」
「良いんですよー。その件も無事に解決できました。お姉さまの言っていたとおり、私の場合はレイハルに依存しすぎていて、そのうえ男性との交流が全くと言って良いほどなかったからだとわかりました」
これは私にとってはかなりマズい展開になってしまったんじゃないかと心の中でヒヤヒヤしていた。
そのとき、王女専用部屋の扉が開いた。
「待たせた」
「レイハル、来るの遅いですよ」
やってきたのはレインハルト様だった。
シャーリャ王女の意図がすぐに読めた。
今の彼女はなんでも行動に起こせる、いわば無敵モードに入っている。
シャーリャ王女の口からレインハルト様の本音を聞き出そうとしているに違いない。
「レインハルト様も呼ばれていたのですね」
「あぁ、シャーリャが大事な用事があるというものでな」
「はい。今日はお二人に話さなければいけないことがあるので。ひとまず座ってください」
私はシャーリャ王女の正面のソファーに腰掛けた。
レインハルト様はシャーリャ王女側に座るだろうと思っていた。
だが私の真横、それも密着するような位置でべったりとくっついてきている。
三人以上は余裕で座れるくらいのソファーなのに。
「あ、あのう、レインハルト様?」
「ん? なにか問題か?」
「いえ……別になんでもありません」
まるで当たり前のように密着してきている。
二人でデートしているときですら、滅多になかった。
いや、むしろレインハルト様が本当に好きな相手がシャーリャ王女だと知って、私が婚約を終わらせようと動き出してから様子が変わってきたような気がする。
「シャーリャよ、本題を聞かせてくれるか?」
「はい。お二人に謝らなければいけないことがあります」
さすが覚醒したシャーリャ王女は堂々としている。
この流れで『婚約を終わりにして私にくれ』とでも言うのだろう。
だが……、全く想定外のことをシャーリャ王女は言うのだった。
「私もシャーリャ様にお礼を言いたかったので。お招きありがとうございます」
「ふっふー……。今日は他に二人ここに呼んでいるんですよ」
「誰ですか?」
「来てからのお楽しみということで。一人はお姉さまの知っている人です。もう一人は、是非お姉さまに紹介したいなと思っていたお方なんです」
シャーリャ王女がウキウキとしながら言っていて、なんだか楽しそうに見える。
私も、聞いていて嬉しくなってきた。
「人付き合いを大事にって言ったことを、もう実行しているのですね」
「はい。もうすぐ正式に発表されるかと思いますが、思い切って貴族界に激震が走るくらいの政策が決まりましたので、私自身も自由になれます」
「そういえば、私のお父様が悲鳴をあげていましたね。平等にするとか」
「お姉さまのおかげで勇気を出すことができたんですよ」
「へ!?」
いや、今回は私は本当に無関係だったはずだ。
シャーリャ王女に政策を変えるような発言をした覚えはないし、そもそもこれは王女の力で変えたようなものだろう。
「お姉さまのことは前々から堂々としていて憧れていたんですよ。先日、実際にお姉さまの堂々とした発言を聞いていて、私もしっかりと堂々としていなきゃと思えたんです」
「は……はぁ。でも、この前はどうやったらレインハルト様のことを……、あ。すみません」
「良いんですよー。その件も無事に解決できました。お姉さまの言っていたとおり、私の場合はレイハルに依存しすぎていて、そのうえ男性との交流が全くと言って良いほどなかったからだとわかりました」
これは私にとってはかなりマズい展開になってしまったんじゃないかと心の中でヒヤヒヤしていた。
そのとき、王女専用部屋の扉が開いた。
「待たせた」
「レイハル、来るの遅いですよ」
やってきたのはレインハルト様だった。
シャーリャ王女の意図がすぐに読めた。
今の彼女はなんでも行動に起こせる、いわば無敵モードに入っている。
シャーリャ王女の口からレインハルト様の本音を聞き出そうとしているに違いない。
「レインハルト様も呼ばれていたのですね」
「あぁ、シャーリャが大事な用事があるというものでな」
「はい。今日はお二人に話さなければいけないことがあるので。ひとまず座ってください」
私はシャーリャ王女の正面のソファーに腰掛けた。
レインハルト様はシャーリャ王女側に座るだろうと思っていた。
だが私の真横、それも密着するような位置でべったりとくっついてきている。
三人以上は余裕で座れるくらいのソファーなのに。
「あ、あのう、レインハルト様?」
「ん? なにか問題か?」
「いえ……別になんでもありません」
まるで当たり前のように密着してきている。
二人でデートしているときですら、滅多になかった。
いや、むしろレインハルト様が本当に好きな相手がシャーリャ王女だと知って、私が婚約を終わらせようと動き出してから様子が変わってきたような気がする。
「シャーリャよ、本題を聞かせてくれるか?」
「はい。お二人に謝らなければいけないことがあります」
さすが覚醒したシャーリャ王女は堂々としている。
この流れで『婚約を終わりにして私にくれ』とでも言うのだろう。
だが……、全く想定外のことをシャーリャ王女は言うのだった。
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