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第二章
(後編)壇上と国王
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ウイガルとガブネス王子の会話が流れ始める。更にヨハネスを毒殺するためにスプリンという手下との会話。
そして今度はガブネス王子がアーロン皇国と繋がりがあり、戦争をしてもらうように依頼しに行く会話。
決めつけは、ヨハネスが捕まっていた時に録音した会話だった。
『兄上、なぜこのようなことをするのです?』
『どうせヨハネスは死ぬんだし死に土産に教えてあげるんだネ。ボクが国王になりたかったんだネ。その為にはヨハネスが邪魔だったんだネ。ボクの邪魔をするレイス君たちも許せないんだネ。だからレイス君達がここに現れたらまずはアイツらを殺す、絶望になった顔を堪能したらヨハネスもボクが殺すんだネ。その後はダイン王子もフリザス王子も殺してボクが自動的に次期国王なんだネ』
これを聞いてガブネス王子は顔が真っ青になった。
「い……いつのまに盗聴などしたんだネ!? ボクとウイガルの……あ!!」
民衆もガブネス王子の発言に黙り込んでしまった。
「兄上、ウイガル君の聴覚のことは私も知っていました。よって、ザガル伯爵や兄上に利用されると推測していたので、ウイガル君には常に魔道具を絶対に気が付かれない場所に忍ばせておいたのです」
「ネ!?」
「ただ、これだけは驚きでした。自らここで悪事を喋ってしまうのは想定外ですね……」
「う……うるさいんだネ! うるさいんだネ!! どうせヨハネスが国王になったって下で騒いでいる馬鹿な民衆からは支持されないんだネ!」
壇上の上で損得考えず気が狂ったかのようにバンバン発言するガブネス王子に、民衆も言葉が出ないようだ。
この波乱騒ぎに、オルダニネス国王が壇上に上がる。
「我が愛する民衆の皆、此度の出来事、豊穣祭において茶番になってしまい申し訳なく思っておる。まずはそこの縛られている者を連行するのだ」
縛られながらもアタフタと暴れようとして騒いでいるガブネス王子は兵士達によって連行されていった。
「さて、此度の一件含め、私からは最後の国務として皆に伝えることがある」
暫く沈黙してからその発言に俺は驚いてしまった。
「レイス君、此方へ来たまえ」
俺はオルダニネス国王に指名され壇上に上がる。俺がこのような場所に出てしまって良いのだろうか。
「何故あのような者が壇上に!?」
「おい! あいつの目よく見ろ!!」
「な……なんと恐ろしい!!」
「今回のガブネス第二王子が行った数々の悪事、ここにいるレイス君、およびフィリム公爵令嬢、剣聖クレアが解決してくれたのだ。レイス君、此度は大義であった」
俺はオルダニネス国王の前で跪く。
「こ……これでは更に魔眼を認めてしまう国家になってしまうではないか……」
「なんと恐ろしい……」
民衆がガヤガヤと騒ぐ中、更に国王は発言を続けた。
「ガブネス王子の裁きは次期国王に任せることにする。私がヨハネスを次期国王に任命した理由も民衆の皆、考えてくれたまえ」
「な……何故陛下はあの魔眼の人間を讃えるのだ!? 理解ができん」
「し……しかしこのままでは本当に第四王子が次期国王に」
俺は国王に一礼をして壇上から降りた。
「皆の者、これから新しい時代の幕開けの儀式を行う。只今をもってヨハネス第四王子を国王として正式に継承する」
民衆が歓声とどよめきが混ざる中、ヨハネスがこの時国王に就任し、波乱の豊穣際は終了した。
♢
「フッ……ここまでは予定通りだ……」
そして今度はガブネス王子がアーロン皇国と繋がりがあり、戦争をしてもらうように依頼しに行く会話。
決めつけは、ヨハネスが捕まっていた時に録音した会話だった。
『兄上、なぜこのようなことをするのです?』
『どうせヨハネスは死ぬんだし死に土産に教えてあげるんだネ。ボクが国王になりたかったんだネ。その為にはヨハネスが邪魔だったんだネ。ボクの邪魔をするレイス君たちも許せないんだネ。だからレイス君達がここに現れたらまずはアイツらを殺す、絶望になった顔を堪能したらヨハネスもボクが殺すんだネ。その後はダイン王子もフリザス王子も殺してボクが自動的に次期国王なんだネ』
これを聞いてガブネス王子は顔が真っ青になった。
「い……いつのまに盗聴などしたんだネ!? ボクとウイガルの……あ!!」
民衆もガブネス王子の発言に黙り込んでしまった。
「兄上、ウイガル君の聴覚のことは私も知っていました。よって、ザガル伯爵や兄上に利用されると推測していたので、ウイガル君には常に魔道具を絶対に気が付かれない場所に忍ばせておいたのです」
「ネ!?」
「ただ、これだけは驚きでした。自らここで悪事を喋ってしまうのは想定外ですね……」
「う……うるさいんだネ! うるさいんだネ!! どうせヨハネスが国王になったって下で騒いでいる馬鹿な民衆からは支持されないんだネ!」
壇上の上で損得考えず気が狂ったかのようにバンバン発言するガブネス王子に、民衆も言葉が出ないようだ。
この波乱騒ぎに、オルダニネス国王が壇上に上がる。
「我が愛する民衆の皆、此度の出来事、豊穣祭において茶番になってしまい申し訳なく思っておる。まずはそこの縛られている者を連行するのだ」
縛られながらもアタフタと暴れようとして騒いでいるガブネス王子は兵士達によって連行されていった。
「さて、此度の一件含め、私からは最後の国務として皆に伝えることがある」
暫く沈黙してからその発言に俺は驚いてしまった。
「レイス君、此方へ来たまえ」
俺はオルダニネス国王に指名され壇上に上がる。俺がこのような場所に出てしまって良いのだろうか。
「何故あのような者が壇上に!?」
「おい! あいつの目よく見ろ!!」
「な……なんと恐ろしい!!」
「今回のガブネス第二王子が行った数々の悪事、ここにいるレイス君、およびフィリム公爵令嬢、剣聖クレアが解決してくれたのだ。レイス君、此度は大義であった」
俺はオルダニネス国王の前で跪く。
「こ……これでは更に魔眼を認めてしまう国家になってしまうではないか……」
「なんと恐ろしい……」
民衆がガヤガヤと騒ぐ中、更に国王は発言を続けた。
「ガブネス王子の裁きは次期国王に任せることにする。私がヨハネスを次期国王に任命した理由も民衆の皆、考えてくれたまえ」
「な……何故陛下はあの魔眼の人間を讃えるのだ!? 理解ができん」
「し……しかしこのままでは本当に第四王子が次期国王に」
俺は国王に一礼をして壇上から降りた。
「皆の者、これから新しい時代の幕開けの儀式を行う。只今をもってヨハネス第四王子を国王として正式に継承する」
民衆が歓声とどよめきが混ざる中、ヨハネスがこの時国王に就任し、波乱の豊穣際は終了した。
♢
「フッ……ここまでは予定通りだ……」
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