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第一章

結末と加入

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 捕らえたギルド上層職員の下半身だけの石化は、時間が経つと上半身にも悪影響が出てくるらしい。

「アンタ、正直に全てを吐かないとこのまま石化は治さないわよ。放っておいたら上半身に上手く血液が流れないし、死ぬわよ?」
「ひぃーー!? しゃ……しゃべる! 何でも喋るので命だけは……」

 王宮で尋問を始めると、あっさりと白状し始めた。ギルド上層職員の証言で、色々とギルドガブリエルの悪事がわかった。

 各ギルド共通で、本来は王宮や貴族からの依頼をした場合、依頼者がギルドに支払った8割は冒険者や任務遂行者に支払われる。
 2割がギルドの仲介手数料になる。
 しかし、ギルドガブリエルでは、色々な諸手当だと言い張り、6割しか支払っていなかったのだ。
 つまり貴族の依頼でギルドに金貨を10枚支払った依頼であれば、冒険者は任務を遂行すれば金貨が8枚手に入る。しかし、ギルドガブリエルでは6枚の金貨しか支払われずにいた。
 本当に正当な理由があるならばそれでも良いらしいが、浮いたお金はギルド上層部や更に上の者の遊び金になっていた。

 クレアに関しては、本来の1%にも満たない報酬額だけを支払っていて、クレアが孤児院への寄付と言っていた金額の殆どが職員の懐に入っていったらしい。

 セバスさんがギルドに対して違和感を持ち始めていたころからずっと続いていた。

 他にも、ギルドに関しては、悪用性がない者ならば魔眼持ちでも本来は公平に冒険者として登録が出来た。しかし、上の者がそれを毛嫌いし、勝手に魔眼持ちはギルドガブリエルの建物に入ることすら不法侵入というルール付けを勝手にしたのだという。

 この証言も取調べも、魔道具を使って王都全体の住民にまで公表した。
 報酬額の不正さには住民、特にギルド冒険者は怒りを露にし、ギルドガブリエルに対しての不信や抗議が殺到。
 ついにはギルド管理局のトップまで責任を問わせることに成功した。

 その後の調べで、ガブネス第二王子も絡んでいたことがわかった。
 更にザガルとバルスの亡骸を調べた結果、間抜けにも程がある。
 バルスの着用していた裏ポケットからはザガルに対する悪事を暴露する文、更にガブネス王子に渡す予定だったと思われる感謝の手紙が出てきた。
 ザガルの着用していた裏ポケットからはバルスとルーラの行動記録、そしてガブネス王子からの計画書をご丁寧に所持していた。

 明確な証拠としてはまだ不十分だが、これでガブネス王子を追い詰める材料にはなったため、ヨハネスが国王陛下に就任したら直ぐに牢獄へ連れて行けるだろう。

 ガブネス王子が絡んでいたその後のギルドガブリエルは、次期国王のヨハネスの管理元に切り替わり、今までのギルド職員や警備も殆どが一旦一斉解雇。

 ただし、ヨハネスの【真贋鑑定】によって、命じられて仕方なく動いていたギルド職員だけは解雇せずに残し、更に新たなギルド職員を雇った。
 最初は魔眼に対しての文句や忌み嫌いも絶えなかったが、ヨハネスの丁重かつ丁寧な指導によって、僅かな時間でギルドガブリエルはヨハネスを良く思う一派になった。
 ヨハネスを慕う理由の一つに、ヨハネスの美しい外見で女性職員を虜にしたというのはヨハネスは知らないようだが。

 しかし、ここまでしてもギルドを今まで管理していたというガブネス第二王子に責任が問われるところまではいかなかった。

 大臣達や裏手の者達が抵抗してなんとか揉み消そうと必死になっている。
 ガブネス王子に罪が回るのもヨハネスが国王に就任するまでの時間の問題だろう。

 今回の事件でギルドガブリエルが今後素晴らしいギルドに生まれ変わるはずだ。

 ♢

「私はクレア=フォン=ヴェルヴェッド。ヨハネス第四王子様のお力になれるよう誠心誠意全力で挑みます」

 クレアが跪いてヨハネスに挨拶をした。ついにクレアがヨハネスの元で一緒に世界を変えていく仲間になった。

「クレア、私は其方を迎え入れることができて光栄に思う。今後の働き、期待している。レイスもフィリムも感謝する。まさかギルド問題まで解決に導くとは想定以上だ」
「まさかアンタの口から想定以上って言葉が聞けるなんてね」
「あぁ、想定以上だ。特にレイス。世界樹を守るための魔眼を発動したことで此処まで進めたのだろう。今後も大変な任務があるかもしれないが、宜しく頼む」

 どんなに大変でもなんとかなるだろう。
 俺だけじゃない。
 今はヨハネスもフィリムもクレアも一緒なのだから。

 ♦︎

「かっかっか!! そろそろ頃合いか……」

 王宮内のどこからか新たな企みを計画している者が、ついに動き始めようとしていた……。
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