どうしてこんな拍手喝采

ソラ

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俺と政宗さんが出会うことを、もし叔父さんが造り上げていたなら、叔父さんにおれは感謝すべきかもしれない。
この世界には優しい暴力があると、あのいけ好かない外国人は言っていた。この世には優しい暴力がある。優しい手だった。だからそこから生まれる暴力もきっと優しかったのだ。

思い出せば、叔父さんはいったいどんな顔でおれを見ていただろう。おれを殴るとき叔父さんはどんな思いを持っていたのだろう。

嫌い?本当に?きたない?本当に?
死んで欲しいと思った?本当にそう思った?


「俺が育てる、俺の子として育てるから…俺の子だ…俺の子だ!!!」

薄く見える視界は真っ白な天井。聞き慣れた人の声と叔父の声が交流している。
おれはここにくるまでなにをしていたんだろう。かすかな疑問が浮かんだ。

「あなたの手元に置いたらすぐにバレる!あの男がどれだけ執着心を、狂気を持ってるか分かってるだろう!?」

ふたりともがなきそうなこえでいいあっている。

「だけどこの子は俺が育てる!!!!この子に!!この子が!!幸せで安心して守られるような環境を…、人を、見つけるまで、男でも女でもどっちでもいい関係ない!年齢も職業も人種も!!!関係ない!この子を冰澄を!助けられるやつが見つかるまで!!!俺が恨まれたって!嫌われたって!絶対に俺から離さねぇ!!!!」

真っ赤な波に飲まれて忘れていた記憶が俺の中にはまだまだあるけれど、もうこの記憶と言葉だけでいい。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら叔父が俺の
“ “にすがりつく。

「ごめんな、冰澄、あともう少しだ、辻間のオヤジのとこにな、狼みたいなやつは入った、まだ若いから任せられねぇけど、あともう少し、大人になったらあれは、お前を任せられる男になる、なぁ、ヤクザのくせして正義感抜けきってない、でも冷たい、それでも俺のバカみたいな勘が言うんだ、あいつは、ぜったい、冰澄のこと、すきになるんだ。だからごめんな、あともう少し、殴ってごめんなぁいたいよなぁ、ごめんなぁ、愛したらダメなんだ。愛したらお前は、あの子の子供だってバレちまう。ごめんなぁ。」

部屋の隅で、隠れるように寝ていても、朝起きたら必ず毛布がかかってて、俺に見つけられるようにお金は置いてあって。いつも俺が寝たあと、いつも、おれに懺悔をする。
おれがねたとかくにんしたらいつも、かならず
手紙を書く。
俺本当はちょっと起きてた。

俺への手紙を書く、俺への。


「頼むよ、辻間会長、俺の最後のお願いだ。
なぁ、東政宗に預けたいんだ。俺の、大事な」


揺蕩う意識の中、叔父さんは電話の向こう側の人に、泣きそうな声でそう呟いた。

あの日、あのいけ好かない外国人が俺に手紙を渡した。何百通もの手紙の中に、本当は見つけていた。一行読んで、俺は怖くて、震えて、何か思い出していない憎悪が俺に読ませるのをやめた。それ以来その手紙とたくさんの文字たちは箱にしまってある。政宗さんはなにも言わなかった。見たかもしれないけど何も言わなかった。俺に読むことを強制もしなかった。

こんな一言から始まる、文字たち。


私のことを嫌いになりましたか?憎んでいますか?愛せませんよね。私のことなんて。私は憎まれる存在で、それでも私はいいと思っていたのですけれど、ダメですね。君に、全部教えるために、今筆を取りました。


帰ったら、読まなくてはいけない。もう読まなくてはいけない。叔父さんが戦ってくれたのに俺は逃げるだけなど、14年前と同じだ。
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