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クミンと初体験
しおりを挟むヒロはバイト先で一緒のクミンとは、すっかり意気投合するようになった。大手デパートの地下食品売り場だったのでとても忙しかった。
バレンタインの時なんか、ヒロの妹がすぐそばに買いに来てたのに全く気付かない程だった。
本当に目の回る様な忙しさだ。
ピークが過ぎてお客さんが少なくなると、店の裏に隠れてみんなで世間話したりしてお菓子を食べていた。
千尋ちゃん「ショーケース指さして『これっ』てい言ってすぐ下向いて財布見るおばさんいるやん。あれ困るわ。何が欲しいんかわからない。」
ヒロ「ああいう時は、ショーケースに手を突いて『はあ?どれですかぁ??』て言ってジャンプするよ。
どらみ「やめときや、あんた。社長が見張ってるねんで。」どらみはお店の副店長だ。
キタ「まあこんだけ忙しかったんやし、少し休憩しても大丈夫や。」
クミンが裏に入って来る。
千尋「あ、クちゃんお疲れ。外は暇そう。」
ク「うん。」
ヒロ「あ、僕らだけ休憩してすみません。」
ク「え?ああ、、。」って何となく不機嫌そうだ。ヒロは少し気になってしばらくして、お店の表に出た。そして下向いてるクミンに
ヒ「すみません、僕らばっかり休憩して。」
そう言うとクミンは下向いてシクシクと泣き出した。でも帳面はちゃんと書いてる。
裏から千尋ちゃんが出てきた。
ヒロ「なあなあ、クミちゃん泣いてるよ。」
千尋「ええ?クちゃんどうしたん?」
クミンは涙をぬぐいながらやっぱり泣き笑いだ。
千尋「ヒロ、あんたが泣かせたんやろ?」
ヒロ「ちゃうて!なあ、クちゃん、何とか言ってよー。帰られへんやんかー!」
でもやはりクミンは泣いてた。
つぎにバイト一緒になった時、ヒロが意を決して「クちゃん、こないだの事、話せえへん?」
ク「うん、いいよ。」すっかり機嫌は治ってる。
2人は休憩時間を取って、同じく地下の喫茶店で話しあった。
ヒ「なあ、クちゃん、なんでこないだ泣いたん?」
ク「みんなが仲良く話してるのに、何か私だけ除け者にされてるみたいで寂しくなってん。」
ヒ「あ、それ分かるわ・・・」
そうするとまたクミンが泣きだした。シクシクと。
ヒ「(クミンに手を伸ばして)なあ、クちゃん、仲良くなろう!友達になろうよ。」
クミンはなきながらも「うん、うん」と頷いた。
これがきっかけで二人は仲良しになった。バイトも夜まで一緒に残ってするようになった。
帰りのバスも一緒。
ふと、ヒロはクミンをみつめた。
左のほっぺがまんまるく、つるりとしている。
見てるとしきりにキスしたくなった。
ヒ「なあ、クちゃん、頬っぺたにキスしていい?」
ク「ウフフフフフフフ、、、今度な。」
二人、笑った。
でもクミンは冗談半分だったのだ。
でもヒロは大真面目、本気の本気!
ヒ「明日、キッスできるぞーー!」
翌日も仕事終わったが、バスにはなかなか乗らない。商店街を二人で散歩する。
ヒ「ちょっとおなか減ったな。マクドナルド行って何か食べへん?」
ク「ええよ。わたし、ホットアップルパイが食べたい!」
ヒ「よっし、じゃあおいらはフィレオフィッシュだ。」
店員「いらっしゃいませ。こちらでお召し上がりですか?2階へどうぞ。」
二人は商品を持って、2階に上がった。すると東南アジアの船員ら10人ほどが、クミンの顔をじっと見ている。なんか「目で犯してる」て感じで凝視している。
ク「ちょっと、何この視線???」
ヒ「船乗りみたいやな。肌の色黒いやん。」
二人はその所為もあってか、食べ物を素早くたいらげた。
さあ、いよいよバスに乗った。
ヒ「なんでー、クちゃん、今度キスするって言ったやん。」
ク「ほだってー・・・」
バスから降りた二人は誰も通らない裏道を歩いた。
ヒ「な、キスしていい?」
ク「・・ええよ。。」
ヒロはクミンの右頬にブチューっとキスした。
しばらく歩いてまたヒロが「もう一回いい?」
ク「・・ええよ。」
またもやブチューーーとキスした。
クミンはそれを強く感じて、うっとりして、頭をヒロにもたげた。
とてもロマンティックだ。ヒロは思わず、
「クちゃん、好きだよ。そこの護国神社で休もう。」そう言って神社のベンチに並んで座った。
ヒロ「幸せだなあ、、僕は君といる時が一番幸せなんだ。僕は死ぬまで君を話さないぞ!いいだろ?」
ク「なに加山雄三の真似してんのよ(笑)」
ヒロ「このムード。頬っぺただけじゃ物足りない。口と口でキスしよう。」
ようし、ということで二人は身体を抱き寄せて唇を重ねた。ふと彼女の歯がヒロの唇に当たる。少し痛い。「もうちょっと唇を突き出して。」うん、これでいい。唇を上下左右に動かすと、感触で身体が疼く。
ヒ「ああなんだかとてもいい気分になってきた。ホテルいこっか―?」
ク「ラブホテル?私行ったことないねん。行こう。」
ヒ「よし、この北側にいっぱいあるから、その中で選ぼう。安いとこがいいな。」
ク「面白そうね。遊べるのが楽しみ。」
夜も大分更けてきたが、これからが大人の時間だ。
二人は両手を繋いで北の方に歩いて行った。
初恋ってこんな感じで進んでいくのね。
おしまい
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