子供の頃の冒険

お舐め

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子供の頃の冒険

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ーー子供の頃の冒険ー
「健ちゃんあそぼ!」
爺ちゃん「おい、友達が来とるぞ。」
健「はあ~い」
爺「遅くならんように帰っておいで。」
健「うん」
外に出ると仲良しの吉井君が来てる。
吉「お、健ちゃん、もうすぐ家の庭にいちごができるんだ。摘みに来ない?」
健「いいね。いちご美味しそう。甘いの?」
吉「うん。」
二人は、南の方へ歩き出した。
健「誰か他に呼ばないの?」
吉「だって、これは二人のひみつの場所だからね。」
健「よっし。わかった!」
すると突然、目の前に同級生の浜と山崎が現れてとうせんぼした。
吉「なんやねんおまえら?」
浜「おう、これからどこ行くねん?」
吉「関係ないやろ。どけや」
山崎「おまえ、20円持ってるか?」
吉「そんなもんあるか!」
浜「べったん(めんこ)買おうと思ってな。持ってたら寄こせや。」
吉「お断りだ!な、(と健に目配せするが、健は何かおずおずとしている。びびってるのかな?)」
浜「おう、健、おまえんとこやったら金あるやろ?爺ちゃんからおこずかい貰ってるやろうしな。よこせよ。」
健「いや、、僕は、、、もってないよ。。。」
山「嘘つけ。身体検査するぞ。」
吉「やめとけや。俺らはいちごを摘み取りにうちに来るだけだ。どけ、邪魔だ!」
吉井はそうして健の手を引っ張って前に進んだ。
浜「今度は用意しとけよ。待ってるからな。」
こうしてその二人は消えた。
健と吉井は何もなかったかのように普通に歩き出した。
吉「おい、あんな奴ら怖がることないぞ。」
健「う、うん。。。」
吉「健よ、それがあかんねん。あんな奴ら、ほっとくから付けあがるんよ。もっとはっきり物言えや。」
そうやって歩いてると、南から、秀才の高畑君が歩いてきた。さっきの二人とは大違いの頭いい子だ。
健「よう、高畑君(さっきの二人と違ってこっちは、品の良い子だ)、どこ行くの?」
高「うん、橋のこっち側に塾があるんだ。そこに通ってるんだ。」
吉「あ、それじゃ消防の近くだね、半鐘がある。。」
高「そうだよ。親が通わせてるんだ。面白いよ。健ちゃんだって近くの音楽教室に通ってるじゃないか。楽しいかい?」
健「うん。すごく楽しいよ。オルガン弾いて練習するんだ。上手く弾いたら、先生が二重丸をくれるんよ。」
高「うらやましいねえ。僕も頑張るよ!じゃ。」
吉「じゃあな。」
二人は田んぼ道を歩いた。
健「お、殿様ガエルだ。」
健が指さした先を大きなカエルが跳んでいる。ピョンピョン。
吉「取って食べよか?」
健「ええわ。苦手や。」

前から女の子が一人で歩いて来る。
ちゃんと幼稚園の帽子を被っているところは
育ちの良さを感じる。
吉「あ、宮本さんや。」
健「ホントだ。可愛いね(笑)」
吉「え?何だって?」
健「いや、、、何も。。。」
宮「こんにちは。」
向こうから二人に挨拶してきた。
吉「こんにちは。」
健は、照れ臭いのか、声が出せない。
そうなんだ、可愛い女の子には声がかけられないんだ。逆にもっと男っぽい女の子の方が気兼ねなく話せるもんだ。
吉「健、何か話せよ。」
健「いや、あの、どうも。。。」
吉「ハハハハハ、こいつ照れてるんですよ。」
宮「健ちゃんは、いつもはにかみ屋ね。(笑)」
健「う、うん。」
宮「これあげる。」
健「何それ?」
宮「そこで取った蓮華草よ。綺麗でしょ。」
健「そうだね。あ、ありがとう、宮本さん。」
こういう時大人だったら、「綺麗だね、まるで君のようだ。」って返すのに、はにかみ屋の子供には到底できないんだ。
宮「じゃあ、私行くわ。またね。」
吉「うん、またね。元気でね。」
健「さよなら」
吉井が前に進もうとすると、健が付いてこない。宮本さんの後ろ姿に見とれてる。ぼーっと
向こうを見つめてるんだ。
吉「おい健、、、健!!」
健「え、何?」
吉「お前何見てるんだ?」
健「あ?、、いやあ。行こうか?」
春の田んぼ道は長閑だ。
やっとのことで吉井の家に着いた。
健「それで、いちごはどこに実ってるの?」
吉「これだよ。」
吉井は、庭に実ってるいちごを見せた。
健「小さいね。スーパーに売ってるのと違うな。」
吉「でも味はいいんだぜ、これ摘んで食べてみなよ。」
健は一つ、摘んでみた。食べてみる。
健「うーん、甘いね!」
吉「そうだろ?これはここ吉井家でしか食べられない味だよ。」
健「うん、いい味だよ。こんな甘いいちごを食べると、(さっき会った宮本さんみたいにスイートだな。一緒に食べたいな。)と一人思いに耽って、ぼーっとしてしまった。
吉「おい、どうした。何考えてるんだ?」
健「い、いや。美味しくて頬っぺたが落ちそうなんだ。」
吉「ええ?」
二人は笑った。
こんな町中でも自然を味わえるなんていいよね。

おしまい
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