兎詩 『林檎飴』

喧騒の中、初恋破れてただ一人。不味くなった林檎飴。

「食わないなら貰うぞ」

悪友に袖を引っ張られ、逃げ込んだのは秘密基地。微睡みの後で見えた空白に、彼が彼女だと気付かされる。
日焼け跡がくっきりと浮かんだ、未熟な身体と身体。溶け合う二人。

初めて聴いた彼女の鳴き声を、強く口で塞ぐ。舌と舌を合わせて、甘い林檎飴を舐め合った。

2人ぼっちの世界。
遠く向こうの空、花火が鳴いていた。
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