238 / 259
第6章
第6章22幕 解散<dissolution>
しおりを挟む
「その名も、【ギフト】です」
白河美華夏がその名を出すと、会場が静まり返り、ホログラムで【ギフト】の文字が浮かび上がります。
「詳しく説明させていただきます。【ギフト】システムは【称号】や武器による差別化をより明確にするものです。まずはこちらをご覧いただきましょう」
するとホログラムが形を変え、大きな説明文が浮かび上がります。
『各プレイヤーが一つのみ獲得、設定できるステータス』
『キャラクターに蓄積された経験によって得られる、完全固有のもの』
そう表示されます。
「いまご覧いただいている説明では分かりにくいと思います。なので実際テスターである社員のステータスをご覧ください」
そう言って次に画面に映し出されたのはプレイヤーのステータス画面でした。
詳しく見てみると、オーソドックスな剣士の様で、【称号】や武器も剣士系でした。
「ではこちら【ギフト】を授けます」
すると画面が変わり、ステータス画面の下に【ギフト】と書かれた項目が追加されています。
「【ギフト:ソードプロテクト】が追加されています。効果は、剣系統の武器耐久度の減少を無効化する。となっています」
これを見るとさほど強い効果とは思えません。
「皆様も、あまり強い効果ではないと感じていると思います。ゲームバランスを著しく損なうような【ギフト】はありません」
多少の落胆の声が会場にこだまします。
「そして完全に固有であるが故、似た効果のものはあっても強弱に差が出る場合もございます」
なるほど。ではもし【ギフト:移動加速】などのようなものがあった際、加速の上限に差が出る、というわけですね。
「こちらは来週のアップデートで追加となりますが、当懇親会にお越しの皆様は先行体験者として、次回ログイン時に適応されます」
おお。一足先に体験できるというわけですね。
「細かい質問などはございますでしょうか」
白河美華夏がそう言い、会場を見回すと、一人の男性が手をあげています。
「どうぞ」
「ありがとうございます。確認したいのは【ギフト】のリセットは可能かどうかです」
「【ギフト】のリセットは原則できません。しかし、大規模イベントや、『二大勢力戦』の報酬で獲得可能に設定する予定です」
もし、本当に要らない能力を引てしまったら救済措置はある、ということですか。これは少し助かります。私はあまり運がいい方ではないので。
他にもいくつか質問が上がりましたが、特に有益な情報は得られませんでした。
白河美華夏による説明が終わると、今度はいつの間にか降りていた最上賢治が壇上に登ります。
「新システムについては諸君たちの感想をぜひともお聞きしたい。協力をお願いする」
そういって最上賢治と白河美華夏は頭を下げました。
「では懇親会での重大発表及びメインイベントは終了したわけだが、すぐ解散というのは味気ないだろう? というわけで私達社員を含めて、この会場を夕刻17時まで開放する。この際に他人と交流するもよし、帰宅し、早速【ギフト】を確かめるもよし。好きなようにしていってくれ」
そう言うと再びお辞儀をして最上賢治と白河美華夏が降壇しました。
「みんなどうする?」
私がそう聞くと、皆も決めかねていたようで、エルマ以外がうーんと唸ります。
「あたし的には、もう出てもいいんじゃないかと思う。長居するとキャラがばれそうだしね」
そういってエルマは辺りを見回す仕草をします。
「そうだな。長居はしなくていいだろう。懇親会というよりはただの新システム発表会のような感じだったと言わざるを得ないね」
サツキがそう言って立ち上がると、続いてマオも立ち上がります。
「なんやなんや。どこいくん?」
「帰るんだよ」
一番最後に立ち上がった私がそうもこちねるに伝えると、もこちねるもすっと立ち上がり、ついてきます。
「一応いまチームやろー? 置いて行こうとするなんて酷くないかー?」
そう言いながらサツキに付きまとっていると後ろから声がかかります。
「あのっ!」
一斉に全員が振り返るとそこには一人の可愛らしい女性と爽やかな男性が立っていました。
「なんだろうか?」
先頭を歩いていたサツキが私達をかき分け、二人の前に立ちます。
「人違いだったらごめんなさい。そちらの女性はチェリーさんでしょうか?」
私はその声を聞いてビクリと身体が跳ねてしまいます。
「いや? 別人だが?」
サツキがとっさにそう返してました。
「そうですか。人違いしました! ごめんなさい!」
そう言って私の横を抜ける際、女性は私にだけ聞こえる声で言いました。
「【ギフト】じゃ、差は埋まらないよ」
そう一言だけ告げて去っていきました。
「チェリーどうしたんだ?」
本社を出て、永谷の運転する車に乗り込んだあと、サツキが私の顔を見ながらそう言います。
「ううん。なんでもない。久々に現実で人がたくさんいると頃に来ちゃったから少し酔ったかも」
そう伝えると、エルマがすぐに膝の上をぽんぽんと叩き、言います。
「いいよ! お姉さんの膝、開いてるよ!」
「大丈夫」
私がそう返すと少ししょげていましたが、エルマはすぐに話を行先へと変えました。
「そんなこと言ってるとこれから行くところでチェリーだけ置いてけぼりにしちゃうからね!」
「そんでどこいくんや?」
ちゃっかりついてくることになったもこちねるは一切分かっていないのでそうエルマに聞きます。
「うちの別荘!」
「えっ?」
その返事を聞いて、私はエルマの別荘を思い出します。
「チェリー。正解! あそこだよーん」
「…………」
私が言葉を失い黙っていると、サツキが「そんなにすごいところなのか?」と目線で聞いてきたので、コクリと頷きます。
「うっそやろ」
永谷が運転する車から降りたもこちねるが驚きの声を上げます。
そしてそれは、ステイシー、マオ、サツキも同様でした。
「相変わらずすごい」
私だけは別の感想になってしまいました。
「みんなお部屋に案内して」
「かしこまりました」
実家の方の使用人が少ないとは思っていたのですが、もしかしたらこちらに大半が来ていたのかもしれません。
私達ひとりひとりを各自部屋まで案内してくれます。
当初来る予定ではなかったもこちねるの分まで用意していたのは永谷が連絡を入れたからでしょうか。
流石の手腕に私も驚いています。
to be continued...
白河美華夏がその名を出すと、会場が静まり返り、ホログラムで【ギフト】の文字が浮かび上がります。
「詳しく説明させていただきます。【ギフト】システムは【称号】や武器による差別化をより明確にするものです。まずはこちらをご覧いただきましょう」
するとホログラムが形を変え、大きな説明文が浮かび上がります。
『各プレイヤーが一つのみ獲得、設定できるステータス』
『キャラクターに蓄積された経験によって得られる、完全固有のもの』
そう表示されます。
「いまご覧いただいている説明では分かりにくいと思います。なので実際テスターである社員のステータスをご覧ください」
そう言って次に画面に映し出されたのはプレイヤーのステータス画面でした。
詳しく見てみると、オーソドックスな剣士の様で、【称号】や武器も剣士系でした。
「ではこちら【ギフト】を授けます」
すると画面が変わり、ステータス画面の下に【ギフト】と書かれた項目が追加されています。
「【ギフト:ソードプロテクト】が追加されています。効果は、剣系統の武器耐久度の減少を無効化する。となっています」
これを見るとさほど強い効果とは思えません。
「皆様も、あまり強い効果ではないと感じていると思います。ゲームバランスを著しく損なうような【ギフト】はありません」
多少の落胆の声が会場にこだまします。
「そして完全に固有であるが故、似た効果のものはあっても強弱に差が出る場合もございます」
なるほど。ではもし【ギフト:移動加速】などのようなものがあった際、加速の上限に差が出る、というわけですね。
「こちらは来週のアップデートで追加となりますが、当懇親会にお越しの皆様は先行体験者として、次回ログイン時に適応されます」
おお。一足先に体験できるというわけですね。
「細かい質問などはございますでしょうか」
白河美華夏がそう言い、会場を見回すと、一人の男性が手をあげています。
「どうぞ」
「ありがとうございます。確認したいのは【ギフト】のリセットは可能かどうかです」
「【ギフト】のリセットは原則できません。しかし、大規模イベントや、『二大勢力戦』の報酬で獲得可能に設定する予定です」
もし、本当に要らない能力を引てしまったら救済措置はある、ということですか。これは少し助かります。私はあまり運がいい方ではないので。
他にもいくつか質問が上がりましたが、特に有益な情報は得られませんでした。
白河美華夏による説明が終わると、今度はいつの間にか降りていた最上賢治が壇上に登ります。
「新システムについては諸君たちの感想をぜひともお聞きしたい。協力をお願いする」
そういって最上賢治と白河美華夏は頭を下げました。
「では懇親会での重大発表及びメインイベントは終了したわけだが、すぐ解散というのは味気ないだろう? というわけで私達社員を含めて、この会場を夕刻17時まで開放する。この際に他人と交流するもよし、帰宅し、早速【ギフト】を確かめるもよし。好きなようにしていってくれ」
そう言うと再びお辞儀をして最上賢治と白河美華夏が降壇しました。
「みんなどうする?」
私がそう聞くと、皆も決めかねていたようで、エルマ以外がうーんと唸ります。
「あたし的には、もう出てもいいんじゃないかと思う。長居するとキャラがばれそうだしね」
そういってエルマは辺りを見回す仕草をします。
「そうだな。長居はしなくていいだろう。懇親会というよりはただの新システム発表会のような感じだったと言わざるを得ないね」
サツキがそう言って立ち上がると、続いてマオも立ち上がります。
「なんやなんや。どこいくん?」
「帰るんだよ」
一番最後に立ち上がった私がそうもこちねるに伝えると、もこちねるもすっと立ち上がり、ついてきます。
「一応いまチームやろー? 置いて行こうとするなんて酷くないかー?」
そう言いながらサツキに付きまとっていると後ろから声がかかります。
「あのっ!」
一斉に全員が振り返るとそこには一人の可愛らしい女性と爽やかな男性が立っていました。
「なんだろうか?」
先頭を歩いていたサツキが私達をかき分け、二人の前に立ちます。
「人違いだったらごめんなさい。そちらの女性はチェリーさんでしょうか?」
私はその声を聞いてビクリと身体が跳ねてしまいます。
「いや? 別人だが?」
サツキがとっさにそう返してました。
「そうですか。人違いしました! ごめんなさい!」
そう言って私の横を抜ける際、女性は私にだけ聞こえる声で言いました。
「【ギフト】じゃ、差は埋まらないよ」
そう一言だけ告げて去っていきました。
「チェリーどうしたんだ?」
本社を出て、永谷の運転する車に乗り込んだあと、サツキが私の顔を見ながらそう言います。
「ううん。なんでもない。久々に現実で人がたくさんいると頃に来ちゃったから少し酔ったかも」
そう伝えると、エルマがすぐに膝の上をぽんぽんと叩き、言います。
「いいよ! お姉さんの膝、開いてるよ!」
「大丈夫」
私がそう返すと少ししょげていましたが、エルマはすぐに話を行先へと変えました。
「そんなこと言ってるとこれから行くところでチェリーだけ置いてけぼりにしちゃうからね!」
「そんでどこいくんや?」
ちゃっかりついてくることになったもこちねるは一切分かっていないのでそうエルマに聞きます。
「うちの別荘!」
「えっ?」
その返事を聞いて、私はエルマの別荘を思い出します。
「チェリー。正解! あそこだよーん」
「…………」
私が言葉を失い黙っていると、サツキが「そんなにすごいところなのか?」と目線で聞いてきたので、コクリと頷きます。
「うっそやろ」
永谷が運転する車から降りたもこちねるが驚きの声を上げます。
そしてそれは、ステイシー、マオ、サツキも同様でした。
「相変わらずすごい」
私だけは別の感想になってしまいました。
「みんなお部屋に案内して」
「かしこまりました」
実家の方の使用人が少ないとは思っていたのですが、もしかしたらこちらに大半が来ていたのかもしれません。
私達ひとりひとりを各自部屋まで案内してくれます。
当初来る予定ではなかったもこちねるの分まで用意していたのは永谷が連絡を入れたからでしょうか。
流石の手腕に私も驚いています。
to be continued...
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
無表情ドールマスター
けんはる
ファンタジー
無表情少女香月 ゆずが姉に誘われて始めたVRMMO〈Only Fantasy〉で十天聖の一人に選ばれてしまうが
そんなことは関係なく自由に行動していく物語
良ければ
誤字・脱字があれば指摘してください
感想もあれば嬉しいです
小説を書こうでも書いてます
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます
水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。
勇者、聖女、剣聖――
華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。
【戦術構築サポートAI】
【アンドロイド工廠】
【兵器保管庫】
【兵站生成モジュール】
【拠点構築システム】
【個体強化カスタマイズ】
王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。
だが――
この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。
最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。
識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。
「今日からお前はレイナだ」
これは、勇者ではない男が、
メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。
屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、
趣味全開で異世界を生きていく。
魔王とはいずれ戦うことになるだろう。
だが今は――
まずは冒険者登録からだ。
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる