僕はHOLMES

くるみ最中

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第五章

part.22 Who are you

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「俺が、片棒担いでるわけないだろ!」
「よくシュウウ君のこと、知ればね。そう思うよ。でも、俺が入った時から、サメジマのシュウウ君を見る時の目つきったらなかったよ。舐め回して、ネットリと背後から執着してるみたいな」
「……ええ~? 心外なんだけど……」
「本当にニブすぎるよ、シュウウ君」
 ヨハネはそう言って、顔をしかめた。
 本当にそうだったのだろうか。確かに、サメジマは以前からシュウウのことを狙っていたとあの倉庫で言っていたが、シュウウは全く気が付かなかった。
 
 ヨハネはしかめた顔のままで続けた。
「――俺はね、最初からサメジマは怪しいと思ってたの。俺のバイトの面接の時も、ジロジロと人のことを見る目つきが、絶対こいつ品定めしていると……」
「……そうなの?」
 サメジマは、根っからの若い男好きだったのだろうか。
「そしたら、入ってみれば同い年位の男の子がサメジマの近くにいるじゃない。しかも、話を聞いてみれば、シュウウ君はサメジマに目をかけられて、店から事務に移ったっていうじゃない。これは怪しいでしょ。シュウウ君がサメジマの愛人で、犯罪に加担している可能性はおおいにある」
「……う~ん」
「だから、社長がカッコイイとか何とか口実を付けて、シュウウ君を探ってみたんだけど……。ま、話してみたら、違うのかなって思ったんだけどね」

 ヨハネは、あともう少しでランチの皿が空になりそうだ。皿の隅の方をフォークで突いている。
 シュウウは、聞きながら不思議に思ったことがある。

「……じゃあヨハネはさ、どうしてそんな、怪しいサメジマのところにわざわざバイトに入った訳」

 ヨハネはそう聞かれると、ぎくりと肩を上げたように見えた。再び目が泳いで、答えを詰まらせている。

「……あ~、それは……」
「お邪魔する」

 突然通る声がして、シュウウはファミレスの入り口の方を見た。遅れて、客の入りを知らせるチャイムが鳴っている。いらっしゃいませ~、という店員の声がする。
 だが、客の姿を見て誰もが躊躇するようだった。勿論、シュウウもだ。入って来た客は、恐ろしく背が高い。そして顔が小さい。眉が通っている。鼻が高い。顎が細い。体つきはシュッとしていて、スーツ姿がよく似合う。そして脚が死ぬほど長い。

 シュウウをサメジマから救出してくれた、刑事だった。

「――あ」
「……あ~~……」

 男に気付いたシュウウが首を伸ばすと、ヨハネは振り返り、呻き声を上げて頭を抱えた。
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