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第四章
part.17 切り裂かれたTシャツ
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「どうしようかな……薬を入れてあげようか? それとも自然なままがいいかな」
サメジマは、壁際の埃が軽く被った戸棚を開け、中を探りながらシュウウをニコニコと見詰めていた。
薬があるのか。何の薬だ? 考えるだに恐ろしい。シュウウは恐怖に目を見開いた。
サメジマはその反応にまた気をよくしたらしく、微笑んだままで戸棚を閉めた。
「ーーいつでも入れてあげられるからね。まずは、君のありのままを楽しもうか。一回入れると、本来の君じゃなくなってしまうから」
そう言うと、じりじりとシュウウの方に近づいて来た。
知りたくないが、同じ男だから解る。サメジマは相当興奮している。シュウウは、思わず股間に目がいってしまって嫌だった。
近寄ると、サメジマの付けている香水が香る。彼が湿った手でシュウウの顔に両手を触れる。シュウウはイヤイヤと顔を犬のように振って逃げようとするが、あまり動くと縛られている手首のところが擦れて痛い。膝立ちをするくらいでやっとだ。
シュウウが動くと、サメジマが喜んだ。
「おいおい、元気がいいのも暴れるのも好きだ。でも、暴れすぎるなら薬を打つからね。観念したまえ」
そう言うと、両手で顔を捕まえ、シュウウが猿ぐつわをしている上から、顔を舐めて来た。
(うわっ……嫌……!)
舌のザラザラとした感触が頬の産毛を逆立てるのを、現実だと思いたくなかった。でも、現実だ。サメジマは、ベロベロと何回も、シュウウの顔を往復する。
(サイ……テー……)
それから、シュウウの身体の形を確かめるように、Tシャツの上からシュウウの身体を触って来た。初めは腰の横のくびれから。ゆっくりと脇の下に。それから前に回り、掌でシュウウの筋肉を揉みしだく。
はあ、はあというサメジマの息遣いが顔にかかる。
「む、むぐ」
「――君は、男とは経験があるのかなあ。きっと無いよね? 無いといいなあ。女の子とは、あるのかな? ――女なんて、言うことを聞くのは最初だけ。全部フリさ。あんなえげつない生き物とは関わらない方がいい」
そう言った時のサメジマの顔は狂気じみている。気を取り直すように、シュウウのデニムのボタンに手をかけた。シュウウの目からは、悔しいけど涙が一筋零れた。
「後で、声も聞きたいから、タオルも外してあげるね」
そう言いながら、サメジマは近くに手を伸ばし、ハサミを取り出した。事務でシュウウも使っている、大きくはないが、ステンレス製のよく切れるハサミだ。
「動くと肌が切れるよ」
それで、シュウウの着ている白のTシャツの裾に切り込みを入れた。ちょうど、へその下の辺りだ。
それから、ピーッ……と上に繊維をゆっくりと切り裂く。やがて丸首の部分まで到達した。
サメジマが、襟の縫い際の部分を切り落とそうとしたその時。
バァン! という音がして、部屋のドアが破られたのだった。
「サメジマミツル、拉致監禁、暴行の現行犯で逮捕する!!」
そう言って、何人かの警察官らしき人たちがわらわらと部屋に突入した。
シュウウは、数本の強力な懐中電灯の光が部屋を照らす中、もしかして自分は助かったのかと、期待を持ったのだった。
サメジマは、壁際の埃が軽く被った戸棚を開け、中を探りながらシュウウをニコニコと見詰めていた。
薬があるのか。何の薬だ? 考えるだに恐ろしい。シュウウは恐怖に目を見開いた。
サメジマはその反応にまた気をよくしたらしく、微笑んだままで戸棚を閉めた。
「ーーいつでも入れてあげられるからね。まずは、君のありのままを楽しもうか。一回入れると、本来の君じゃなくなってしまうから」
そう言うと、じりじりとシュウウの方に近づいて来た。
知りたくないが、同じ男だから解る。サメジマは相当興奮している。シュウウは、思わず股間に目がいってしまって嫌だった。
近寄ると、サメジマの付けている香水が香る。彼が湿った手でシュウウの顔に両手を触れる。シュウウはイヤイヤと顔を犬のように振って逃げようとするが、あまり動くと縛られている手首のところが擦れて痛い。膝立ちをするくらいでやっとだ。
シュウウが動くと、サメジマが喜んだ。
「おいおい、元気がいいのも暴れるのも好きだ。でも、暴れすぎるなら薬を打つからね。観念したまえ」
そう言うと、両手で顔を捕まえ、シュウウが猿ぐつわをしている上から、顔を舐めて来た。
(うわっ……嫌……!)
舌のザラザラとした感触が頬の産毛を逆立てるのを、現実だと思いたくなかった。でも、現実だ。サメジマは、ベロベロと何回も、シュウウの顔を往復する。
(サイ……テー……)
それから、シュウウの身体の形を確かめるように、Tシャツの上からシュウウの身体を触って来た。初めは腰の横のくびれから。ゆっくりと脇の下に。それから前に回り、掌でシュウウの筋肉を揉みしだく。
はあ、はあというサメジマの息遣いが顔にかかる。
「む、むぐ」
「――君は、男とは経験があるのかなあ。きっと無いよね? 無いといいなあ。女の子とは、あるのかな? ――女なんて、言うことを聞くのは最初だけ。全部フリさ。あんなえげつない生き物とは関わらない方がいい」
そう言った時のサメジマの顔は狂気じみている。気を取り直すように、シュウウのデニムのボタンに手をかけた。シュウウの目からは、悔しいけど涙が一筋零れた。
「後で、声も聞きたいから、タオルも外してあげるね」
そう言いながら、サメジマは近くに手を伸ばし、ハサミを取り出した。事務でシュウウも使っている、大きくはないが、ステンレス製のよく切れるハサミだ。
「動くと肌が切れるよ」
それで、シュウウの着ている白のTシャツの裾に切り込みを入れた。ちょうど、へその下の辺りだ。
それから、ピーッ……と上に繊維をゆっくりと切り裂く。やがて丸首の部分まで到達した。
サメジマが、襟の縫い際の部分を切り落とそうとしたその時。
バァン! という音がして、部屋のドアが破られたのだった。
「サメジマミツル、拉致監禁、暴行の現行犯で逮捕する!!」
そう言って、何人かの警察官らしき人たちがわらわらと部屋に突入した。
シュウウは、数本の強力な懐中電灯の光が部屋を照らす中、もしかして自分は助かったのかと、期待を持ったのだった。
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