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第二章
part.9 雷雲
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今日は確か、二人とも一緒のシフトだったはずだから、声を掛けて一緒に行こうかとも思ったのだが。
ヨハネは一人ではなかった。ヨハネの反対側には男がもう一人いて、顔をこちらに向けていた。
(……うわー、嘘だろ……)
相手は、ヨハネより大分年上のようだ。シュウウは、その容姿に舌を巻いた、というより絶句した。
カジュアルなヨハネに対して、男は濃色のスーツを着用している。高身長のヨハネやシュウウよりも、社長よりも、背が高い。驚くほど脚が長い。そして顔が小さい。あからさまにスラっとした体躯は、辺りから浮くくらいに目立っている。モデルと言われても納得するくらいだ。
しかも、その小さい顔の中身は、雑誌の中にいるモデルよりもはるかに整った顔立ちに見えた。少し斜めに分けた前髪に、濃くはなくスッとした凛々しい眉。クッキリと際立つ目元。高い鼻。その黒々とした瞳は、真剣な表情でヨハネを見詰めていた。
(……ん?)
見詰めているだけではない。どうやら彼は、イラついているように見えた。時折身体の重心を左右に替えては、ポケットに手を入れたり、ヨハネに身振りをしたりして話している。
(怒っている……のか?)
ヨハネも、相手の美男子に対して、時折身体を揺らしては真剣に答えているようだ。シュウウが見ていると、そのうち、相手の男がヨハネの肩をガッと勢いよく掴んだ。ヨハネの上半身が、それに少し揺らいだ。
「あ」
その様子につい、シュウウが声を漏らした。慌てて口を塞いだが、もう遅い。話をしていた二人は、こちらを振り向き、シュウウの存在に気付いたようだった。
ヨハネは一人ではなかった。ヨハネの反対側には男がもう一人いて、顔をこちらに向けていた。
(……うわー、嘘だろ……)
相手は、ヨハネより大分年上のようだ。シュウウは、その容姿に舌を巻いた、というより絶句した。
カジュアルなヨハネに対して、男は濃色のスーツを着用している。高身長のヨハネやシュウウよりも、社長よりも、背が高い。驚くほど脚が長い。そして顔が小さい。あからさまにスラっとした体躯は、辺りから浮くくらいに目立っている。モデルと言われても納得するくらいだ。
しかも、その小さい顔の中身は、雑誌の中にいるモデルよりもはるかに整った顔立ちに見えた。少し斜めに分けた前髪に、濃くはなくスッとした凛々しい眉。クッキリと際立つ目元。高い鼻。その黒々とした瞳は、真剣な表情でヨハネを見詰めていた。
(……ん?)
見詰めているだけではない。どうやら彼は、イラついているように見えた。時折身体の重心を左右に替えては、ポケットに手を入れたり、ヨハネに身振りをしたりして話している。
(怒っている……のか?)
ヨハネも、相手の美男子に対して、時折身体を揺らしては真剣に答えているようだ。シュウウが見ていると、そのうち、相手の男がヨハネの肩をガッと勢いよく掴んだ。ヨハネの上半身が、それに少し揺らいだ。
「あ」
その様子につい、シュウウが声を漏らした。慌てて口を塞いだが、もう遅い。話をしていた二人は、こちらを振り向き、シュウウの存在に気付いたようだった。
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