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第一章
part.6 新しい仲間3
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ヨハネは平然と続けた。
「社長、格好良くないっすか。たくさんの店舗や会社やってる上に、めっちゃイケメンだし」
「ふ、ふーん……」
「きっと頭もすごく良いんだろうと思って」
「うーん? ……俺あんまり社長と話したことないから、よくわかんない。ゴメン」
「そうなんすか?」
「ん?」
ヨハネは意外な様子でシュウウを見た。シュウウが何のことか全く理解できないでいると、ヨハネがキョトンとして言った。
「俺、センパイと社長、もうとっくにデキてんのかと思ってました」
今度こそ、シュウウはピタリと足を止めた。
「……はあ?」
「二人ともイケメンだし、お似合いかな~って……」
「……ああ?」
目の前のヨハネは悪びれもせず、何でもない顔でシュウウをパチクリと見詰めている。シュウウは呆れて溜め息を一つ吐いた後、再び歩き出した。
「ヘンな奴」
「えー……ダメっすか?」
「ダメってダメだろ」
「何がダメ?」
ヨハネはシュウウに早歩きで追いついた。横並びでシュウウを覗いてくる。
(――くっそ、こいつ足速え! 脚が長ーのか!)
追いつかれて面白くないシュウウは、歩きながら答える。
「あのな、人の趣味をとやかく言う権利はないけど、お前ってそっちの趣味なわけ!?」
「それがダメってことですか?」
(うおーー……直球……!)
その返しは、シュウウの言ったことを否定しないことになる。それがダメじゃないってことは、ヨハネはヘテロな恋愛傾向ではないということか。
シュウウはためらいながらも、ヨハネの言ったことに答える。なるべく失礼に当たらないように、且つ自分の考えになるべく間違いがないように。
「――お前の趣味は関係ないよ! ただ、人が誰と付き合ってるとかお似合いとか、見た目だけでよく知りもしないのに想像されたとしたら嫌な気持ちがするってこと!」
「あっ……それはそうかも……」
シュウウの言ったことが予想外に的を得ていたのか、ヨハネはシュウウの言葉を聞くと、ピタリと足を止めた。それを見て、シュウウも急ぐ足を止めた。
「……そーですね。勝手に想像してたら、失礼ですよね。不快な気持ちしますよね。ごめんなさい。失礼でした」
そう言って、ヨハネは深々と頭を下げた。シュウウは調子が狂いながらも、返事をする。
「……わ、わかればいいよ。別に」
「すみませんでした、センパイ。つい俺、気になったから、好奇心で……」
謝ると、ヨハネは再びシュウウと共に歩き出した。
「……でもセンパイ、本当に社長とは何でもないの?」
「何でもないって言ってんだろ」
「えー……本当に?」
「ありえねー。想像力が逞しすぎるんじゃないの……」
「そんで、俺の趣味は関係ない?」
「何言ってんだまた。関係ないって言ってんだろ」
「えーそうなの……?」
俺には関係ねえし。そう、ブツブツとシュウウは自分に言い聞かせて早歩きで駅まで向かった。
それを知ってか知らずか、ヨハネは困った顔をしながら、シュウウの後ろを時折小走りで追っている。
「社長、格好良くないっすか。たくさんの店舗や会社やってる上に、めっちゃイケメンだし」
「ふ、ふーん……」
「きっと頭もすごく良いんだろうと思って」
「うーん? ……俺あんまり社長と話したことないから、よくわかんない。ゴメン」
「そうなんすか?」
「ん?」
ヨハネは意外な様子でシュウウを見た。シュウウが何のことか全く理解できないでいると、ヨハネがキョトンとして言った。
「俺、センパイと社長、もうとっくにデキてんのかと思ってました」
今度こそ、シュウウはピタリと足を止めた。
「……はあ?」
「二人ともイケメンだし、お似合いかな~って……」
「……ああ?」
目の前のヨハネは悪びれもせず、何でもない顔でシュウウをパチクリと見詰めている。シュウウは呆れて溜め息を一つ吐いた後、再び歩き出した。
「ヘンな奴」
「えー……ダメっすか?」
「ダメってダメだろ」
「何がダメ?」
ヨハネはシュウウに早歩きで追いついた。横並びでシュウウを覗いてくる。
(――くっそ、こいつ足速え! 脚が長ーのか!)
追いつかれて面白くないシュウウは、歩きながら答える。
「あのな、人の趣味をとやかく言う権利はないけど、お前ってそっちの趣味なわけ!?」
「それがダメってことですか?」
(うおーー……直球……!)
その返しは、シュウウの言ったことを否定しないことになる。それがダメじゃないってことは、ヨハネはヘテロな恋愛傾向ではないということか。
シュウウはためらいながらも、ヨハネの言ったことに答える。なるべく失礼に当たらないように、且つ自分の考えになるべく間違いがないように。
「――お前の趣味は関係ないよ! ただ、人が誰と付き合ってるとかお似合いとか、見た目だけでよく知りもしないのに想像されたとしたら嫌な気持ちがするってこと!」
「あっ……それはそうかも……」
シュウウの言ったことが予想外に的を得ていたのか、ヨハネはシュウウの言葉を聞くと、ピタリと足を止めた。それを見て、シュウウも急ぐ足を止めた。
「……そーですね。勝手に想像してたら、失礼ですよね。不快な気持ちしますよね。ごめんなさい。失礼でした」
そう言って、ヨハネは深々と頭を下げた。シュウウは調子が狂いながらも、返事をする。
「……わ、わかればいいよ。別に」
「すみませんでした、センパイ。つい俺、気になったから、好奇心で……」
謝ると、ヨハネは再びシュウウと共に歩き出した。
「……でもセンパイ、本当に社長とは何でもないの?」
「何でもないって言ってんだろ」
「えー……本当に?」
「ありえねー。想像力が逞しすぎるんじゃないの……」
「そんで、俺の趣味は関係ない?」
「何言ってんだまた。関係ないって言ってんだろ」
「えーそうなの……?」
俺には関係ねえし。そう、ブツブツとシュウウは自分に言い聞かせて早歩きで駅まで向かった。
それを知ってか知らずか、ヨハネは困った顔をしながら、シュウウの後ろを時折小走りで追っている。
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