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第一章
part.3 社長の噂話
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「社長って30代後半なのよ」
「えっ、そうなんですか。若いですね」
パソコンに向かいながら、シュウウは二人の事務員とお喋りをした。話は時々社長の話になった。
「このパチンコ店も何店舗かあるけど、今度、もうちょっと駅近に、アジア料理の居酒屋を作んのよ」
「えっ、そうなの?」
タカハシの話に、ヨシダが顔を上げて聞いた。
「本当。私、その契約をしている時に、上の社長室にお茶出しに行ったんだもの」
「えー……何か、色々すごいですね」
主婦の噂話を聞く分には、社長はシュウウが思う以上のやり手のようだった。
「見た目も格好いいのに、すごいよね」
「……結構、服とか、派手ですよね」
シュウウが正直に言うと、笑ったのはヨシダという30代の若い方の女性の事務員だ。
「ちょっと派手だよね。イタリア製とかの高いやつなのよ」
「やっぱり……」
シュウウは、ヨシダの言葉に頷いた。タカハシがその話に付け加えた。
「その方が若く見えるし、やっぱり風俗店とか飲食となると、暗いよりは多少明るい方がいいんじゃない。
社長は大学卒業後にアメリカに行って、勉強だけじゃなく働いてもいたみたいよ。
奥さんもね、すごい綺麗な人。まあ、結局お金持ちだしね。何度かここに来た時は、きれいな身なりして来るのよ」
「へえ~」
「お子さんはいないみたいなんだけどね。まあ、そこは事情があるのかもね」
そこまで聞いて、話が途切れたところでちょうどよく部屋のドアが開いた。
入って来たのは噂の社長で、今日は白いシャツの上に、レモンイエローのセーターを重ねている。
その後ろには、もう一人、若い男が連れられていた。
「皆、紹介する。もう一人、事務所の方にアルバイトに入ってもらう、与羽根君だ」
そう言って頭を下げたのは、ちょうどシュウウくらいの齢の男だった。
「どうぞよろしくお願いします」
もう一人の急な加入だったが、人手不足なのだろうとシュウウは思った。
ヨハネという名の男は、艶のある黒髪をしていて、社長と同じくらい背が高かった。シュウウと同じ学生のような雰囲気だった。
「シュウウ君と同じ、午後のシフトに入ってもらう予定日だ。シュウウ君、二人で助け合いながらやって欲しい」
「はい」
シュウウは従順に頷いた。
「えっ、そうなんですか。若いですね」
パソコンに向かいながら、シュウウは二人の事務員とお喋りをした。話は時々社長の話になった。
「このパチンコ店も何店舗かあるけど、今度、もうちょっと駅近に、アジア料理の居酒屋を作んのよ」
「えっ、そうなの?」
タカハシの話に、ヨシダが顔を上げて聞いた。
「本当。私、その契約をしている時に、上の社長室にお茶出しに行ったんだもの」
「えー……何か、色々すごいですね」
主婦の噂話を聞く分には、社長はシュウウが思う以上のやり手のようだった。
「見た目も格好いいのに、すごいよね」
「……結構、服とか、派手ですよね」
シュウウが正直に言うと、笑ったのはヨシダという30代の若い方の女性の事務員だ。
「ちょっと派手だよね。イタリア製とかの高いやつなのよ」
「やっぱり……」
シュウウは、ヨシダの言葉に頷いた。タカハシがその話に付け加えた。
「その方が若く見えるし、やっぱり風俗店とか飲食となると、暗いよりは多少明るい方がいいんじゃない。
社長は大学卒業後にアメリカに行って、勉強だけじゃなく働いてもいたみたいよ。
奥さんもね、すごい綺麗な人。まあ、結局お金持ちだしね。何度かここに来た時は、きれいな身なりして来るのよ」
「へえ~」
「お子さんはいないみたいなんだけどね。まあ、そこは事情があるのかもね」
そこまで聞いて、話が途切れたところでちょうどよく部屋のドアが開いた。
入って来たのは噂の社長で、今日は白いシャツの上に、レモンイエローのセーターを重ねている。
その後ろには、もう一人、若い男が連れられていた。
「皆、紹介する。もう一人、事務所の方にアルバイトに入ってもらう、与羽根君だ」
そう言って頭を下げたのは、ちょうどシュウウくらいの齢の男だった。
「どうぞよろしくお願いします」
もう一人の急な加入だったが、人手不足なのだろうとシュウウは思った。
ヨハネという名の男は、艶のある黒髪をしていて、社長と同じくらい背が高かった。シュウウと同じ学生のような雰囲気だった。
「シュウウ君と同じ、午後のシフトに入ってもらう予定日だ。シュウウ君、二人で助け合いながらやって欲しい」
「はい」
シュウウは従順に頷いた。
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