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第一章
part.2 新しい職場
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シュウウはこうして、パチンコ店のホールから事務のバイトに替わった。
パチンコ店の裏手にある、古びた小さいビルの2階が仕事場だ。1階はロビーと物置で、最上階の3階は社長室になっている。
「男子大学生だなんて、カっワイイねぇ~!!」
「若くって、お肌なんてプリップリ」
「プリップリだわーアハハハハ~!」
「あはは……(苦笑)」
シュウウに紹介されたのは、女性の職員が二人。二人ともパートで、いかにもオバサンの高笑いをしたのはタカハシという50代くらいの女性。もう一人は、ヨシダという30代くらいの女性だった。どちらも主婦らしい。
ヨシダという方の事務員が言った。
「私たちは主婦で、夕方には帰っちゃうから、ちょうどいいよね。結構夜に電話来ることもあるし、昼から夜くらいのシフトに入ってくれるなら」
「そうなんだ」
ヨシダの台詞に頷いたのは社長だった。今日は、黒のチェックのシャツの上に、同じく黒のカーディガンを着ている。色こそ地味だが、素材がどう見ても学生が着るものとは違う。風合いがよく見えて、高価なものではないだろうかとシュウウは予想した。
「何かあったら、タカハシさんやヨシダさんに聞いてね。僕は不在が多いから、事務所の方は信頼している人たちにしっかり頼みたいんだ」
「そうですか」
社長の名は鮫島という。サメジマ社長は、シュウウの肩にぽんと手を置き、言った。
「若い子の力も必要だから。よろしく頼むよ」
「――はい、わかりました!」
シュウウも、頼りにされているように言われれば、嫌な気はしない。社長もいくつも店舗があって忙しいのに、わざわざ来てそう言ってくれるのにシュウウは感謝した。旅行の資金を稼ぐためにも、頑張るつもりだ。
こじんまりとした職場だ。シュウウが見るに、仕事の環境は悪くなさそうに感じた。
パチンコ店の裏手にある、古びた小さいビルの2階が仕事場だ。1階はロビーと物置で、最上階の3階は社長室になっている。
「男子大学生だなんて、カっワイイねぇ~!!」
「若くって、お肌なんてプリップリ」
「プリップリだわーアハハハハ~!」
「あはは……(苦笑)」
シュウウに紹介されたのは、女性の職員が二人。二人ともパートで、いかにもオバサンの高笑いをしたのはタカハシという50代くらいの女性。もう一人は、ヨシダという30代くらいの女性だった。どちらも主婦らしい。
ヨシダという方の事務員が言った。
「私たちは主婦で、夕方には帰っちゃうから、ちょうどいいよね。結構夜に電話来ることもあるし、昼から夜くらいのシフトに入ってくれるなら」
「そうなんだ」
ヨシダの台詞に頷いたのは社長だった。今日は、黒のチェックのシャツの上に、同じく黒のカーディガンを着ている。色こそ地味だが、素材がどう見ても学生が着るものとは違う。風合いがよく見えて、高価なものではないだろうかとシュウウは予想した。
「何かあったら、タカハシさんやヨシダさんに聞いてね。僕は不在が多いから、事務所の方は信頼している人たちにしっかり頼みたいんだ」
「そうですか」
社長の名は鮫島という。サメジマ社長は、シュウウの肩にぽんと手を置き、言った。
「若い子の力も必要だから。よろしく頼むよ」
「――はい、わかりました!」
シュウウも、頼りにされているように言われれば、嫌な気はしない。社長もいくつも店舗があって忙しいのに、わざわざ来てそう言ってくれるのにシュウウは感謝した。旅行の資金を稼ぐためにも、頑張るつもりだ。
こじんまりとした職場だ。シュウウが見るに、仕事の環境は悪くなさそうに感じた。
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