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僕はドラキュラ 第三話(完結)
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見薬さんは、僕に無理やり行為を強いることはなかった。
僕に見薬さんのものを入れることはなかった。……僕は、それでも良かったんだけれど。
見薬さんは、僕のいく姿を見てすごく興奮したみたいで、ギンギンだったので、僕は見薬さんも出してしまうことをすすめた。
僕の手でも、そっと触ってみると、見薬さんはその上から手を重ねて、見薬さんのを擦った。
とても大きく膨らんで、固くて、触っていても興奮する。じっと見惚れてしまう。
「あっ、く……っ!」
見薬さんは先ほどの濡れたタオルを取って、先端に被せたあとで、いった。
だから、見薬さんのがいったところは、見れなかった。
きっと僕のほどは飛ばなかっただろうと思ったけれど、自分がすごく飛ばしたのを思い出し、僕はまた頬が熱くなった。
同時に、見薬さんの飛ばすのも、ちょっと見たかったなと思ってしまった。
そんなことを思うと、僕の股間は何度でも熱くなる。
最初からえらく好きものだと思われても、変態だと思われるだけだと思うので、隠しておくことにした。
僕たちが少し休んでいると、見薬さんが言った。
「……晶人くん。男の人と付き合ったことある?」
「ないです……」
女の子とは、高校時代に告白されて付き合ったけど、本当に三か月くらいで別れてしまった。
キスくらいはしたけど、セックスは本当に全くしなかった。ムラムラしなかったのだ。
「じゃ、俺と付き合ってくれる?」
見薬さんは言う。ベッドで、僕の隣で仰向けになりながら。僕のことを、見詰めている。
僕は嬉しい。けれど、先ほど、エッチなことをする前にあった1割の不安が、今度は9割ほどに膨らんだ。
僕にはある理由があるのだ。
「……見薬さん。それ、僕、無理かもしれなくて……」
「え……、何で?」
「僕、実は病気があるんです。」
そう言うと、見薬さんは、僕のことを怪訝な顔で見た。
性病、というわけではない。僕はそれを黙って行為に及ぶほど、卑劣なやつじゃない。
僕は思い切って言う。
「僕、実は日光アレルギーなんです。昼間、紫外線を浴びると肌が痒くなるんです」
そう、僕の秘密はこれだった。
仕事が夜からなのも、このせいだった。
専門学校を卒業して、会社に勤めたこともあったのだけれど、職場の理解が難しかったのと、昼間にあまり日光に当たると、自分の体調が思わしくなかったのだ。
何とか乗り切ろうと思ったのだが、いつも気にしている自分が辛くて、1年ほどで退職してしまった。
その後も、いくつか仕事をしてみようと思ったのだが、シフトが朝や昼間もやって欲しいというところが多くて、今の職場に落ち着くまで結構悩んだのだ。
今の現場は、シフトが夜だけでいいと言ってくれているので、助かっているのだ。
そうして僕は、あのディスカウントストアで働いている。
「……日焼け止めも、塗るんですけど。やっぱり強い時はきつくて。体調もすぐれなくなるし。
だから、付き合っても昼間とか、会えなくなると思うんです」
「そうなんだ……」
「だから、見薬さんの思うような付き合いができるかは……」
僕はそう言って、ベッドの上で起き上がり、毛布で身体をきゅっと丸めた。
――身体だけでもいい。
僕は、そう思っている。
見薬さんとのセックスは、気持ち良さそうだ。今日みたいなことも、その先ももっと、してもいい。
だから、会うのは夜だけで。
そうすれば、見薬さんもしたいことは出来るし、僕だって体調も、……心も楽かもしれない。
……肌が赤くなったり、ぶつぶつになったり、醜くなった時に、見薬さんに見られなくて済む。
僕がそう思っていると、見薬さんが起き上がって言った。
「それでも、いいよ」
「え」
僕は思いがけない言葉を聞いて、彼の顔を見る。
見薬さんは、とても優しい表情をしている。焦げ茶色の瞳は透き通って、髪の毛はふわふわして、温かそうだ。
僕の黒い髪とはえらく違う。
きっと、染めてるんだろうけど。
最初、ちょっとチャラいのかも、もしかして、遊んでる中年なのかと思ったのは、内緒だ。
イヤラしいオジさんかもしれない、なんて思ったのも、内緒だ。
だって、僕と付き合いたいと言うのだ。
見薬さんは、僕をぎゅっと抱き締めて、言った。
「君が良ければ、付き合って欲しい。……どうかな。俺、晶人よりは大分年上だけど……」
ちょうど10、上だ。
「年寄りだと思わなければ、付き合って……」
そう、お願いごとのように言うので、僕は、また、数回こくこくと頷いた。
「嬉しい!」
そうすると、見薬さんはぎゅうと僕のことを抱き締める力を、強めた。
その後で、僕の肌を撫でる。それは優しく。
「……こんなに白い肌なのに、可哀想だな」
「……昔からだから、別に」
可哀想がられるのは、嫌だったけれど、見薬さんの言うことだと、すっと入って来る。
僕は見薬さんの腕の中で、何だかほっとしていた。
「大事にさせて。……夜しか会えなくても、いいよ」
そうかなあ。それでいいのかなあ。
きっと、物足りなくなるよ。
僕はそう心の中で彼を非難していたけれど、反面、とても嬉しかったのだ。
ドラキュラの僕を、好きになってくれる人がいた。
だからだ。
END
僕に見薬さんのものを入れることはなかった。……僕は、それでも良かったんだけれど。
見薬さんは、僕のいく姿を見てすごく興奮したみたいで、ギンギンだったので、僕は見薬さんも出してしまうことをすすめた。
僕の手でも、そっと触ってみると、見薬さんはその上から手を重ねて、見薬さんのを擦った。
とても大きく膨らんで、固くて、触っていても興奮する。じっと見惚れてしまう。
「あっ、く……っ!」
見薬さんは先ほどの濡れたタオルを取って、先端に被せたあとで、いった。
だから、見薬さんのがいったところは、見れなかった。
きっと僕のほどは飛ばなかっただろうと思ったけれど、自分がすごく飛ばしたのを思い出し、僕はまた頬が熱くなった。
同時に、見薬さんの飛ばすのも、ちょっと見たかったなと思ってしまった。
そんなことを思うと、僕の股間は何度でも熱くなる。
最初からえらく好きものだと思われても、変態だと思われるだけだと思うので、隠しておくことにした。
僕たちが少し休んでいると、見薬さんが言った。
「……晶人くん。男の人と付き合ったことある?」
「ないです……」
女の子とは、高校時代に告白されて付き合ったけど、本当に三か月くらいで別れてしまった。
キスくらいはしたけど、セックスは本当に全くしなかった。ムラムラしなかったのだ。
「じゃ、俺と付き合ってくれる?」
見薬さんは言う。ベッドで、僕の隣で仰向けになりながら。僕のことを、見詰めている。
僕は嬉しい。けれど、先ほど、エッチなことをする前にあった1割の不安が、今度は9割ほどに膨らんだ。
僕にはある理由があるのだ。
「……見薬さん。それ、僕、無理かもしれなくて……」
「え……、何で?」
「僕、実は病気があるんです。」
そう言うと、見薬さんは、僕のことを怪訝な顔で見た。
性病、というわけではない。僕はそれを黙って行為に及ぶほど、卑劣なやつじゃない。
僕は思い切って言う。
「僕、実は日光アレルギーなんです。昼間、紫外線を浴びると肌が痒くなるんです」
そう、僕の秘密はこれだった。
仕事が夜からなのも、このせいだった。
専門学校を卒業して、会社に勤めたこともあったのだけれど、職場の理解が難しかったのと、昼間にあまり日光に当たると、自分の体調が思わしくなかったのだ。
何とか乗り切ろうと思ったのだが、いつも気にしている自分が辛くて、1年ほどで退職してしまった。
その後も、いくつか仕事をしてみようと思ったのだが、シフトが朝や昼間もやって欲しいというところが多くて、今の職場に落ち着くまで結構悩んだのだ。
今の現場は、シフトが夜だけでいいと言ってくれているので、助かっているのだ。
そうして僕は、あのディスカウントストアで働いている。
「……日焼け止めも、塗るんですけど。やっぱり強い時はきつくて。体調もすぐれなくなるし。
だから、付き合っても昼間とか、会えなくなると思うんです」
「そうなんだ……」
「だから、見薬さんの思うような付き合いができるかは……」
僕はそう言って、ベッドの上で起き上がり、毛布で身体をきゅっと丸めた。
――身体だけでもいい。
僕は、そう思っている。
見薬さんとのセックスは、気持ち良さそうだ。今日みたいなことも、その先ももっと、してもいい。
だから、会うのは夜だけで。
そうすれば、見薬さんもしたいことは出来るし、僕だって体調も、……心も楽かもしれない。
……肌が赤くなったり、ぶつぶつになったり、醜くなった時に、見薬さんに見られなくて済む。
僕がそう思っていると、見薬さんが起き上がって言った。
「それでも、いいよ」
「え」
僕は思いがけない言葉を聞いて、彼の顔を見る。
見薬さんは、とても優しい表情をしている。焦げ茶色の瞳は透き通って、髪の毛はふわふわして、温かそうだ。
僕の黒い髪とはえらく違う。
きっと、染めてるんだろうけど。
最初、ちょっとチャラいのかも、もしかして、遊んでる中年なのかと思ったのは、内緒だ。
イヤラしいオジさんかもしれない、なんて思ったのも、内緒だ。
だって、僕と付き合いたいと言うのだ。
見薬さんは、僕をぎゅっと抱き締めて、言った。
「君が良ければ、付き合って欲しい。……どうかな。俺、晶人よりは大分年上だけど……」
ちょうど10、上だ。
「年寄りだと思わなければ、付き合って……」
そう、お願いごとのように言うので、僕は、また、数回こくこくと頷いた。
「嬉しい!」
そうすると、見薬さんはぎゅうと僕のことを抱き締める力を、強めた。
その後で、僕の肌を撫でる。それは優しく。
「……こんなに白い肌なのに、可哀想だな」
「……昔からだから、別に」
可哀想がられるのは、嫌だったけれど、見薬さんの言うことだと、すっと入って来る。
僕は見薬さんの腕の中で、何だかほっとしていた。
「大事にさせて。……夜しか会えなくても、いいよ」
そうかなあ。それでいいのかなあ。
きっと、物足りなくなるよ。
僕はそう心の中で彼を非難していたけれど、反面、とても嬉しかったのだ。
ドラキュラの僕を、好きになってくれる人がいた。
だからだ。
END
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