日記のキメラ
日記体小説。登場人物たちの日記を小説として読んでいくような構成となっている。最初は単調な毎日が続くが、だんだんとそれぞれの視点が混ざっていく。
日記は行動としてみれば、ただの1日の「記録」ですが、人によっては自身の感情を整理するために必要な「プロセス」だったり、何か忘れたくない想いを形として残すための方法だったりします。今回の作品では、「日記」というプロセスが、「記録」という存在から、メモ、証拠など、どんどん形を、それが持つ「意味」を変えていきます。
登場人物たちの思考が、文章が、視点が、文字が、ごちゃごちゃに構成されている「キメラ」。物語が進むにつれて、「日記」というひとつの媒体に、さまざまな「意味」が重なり、複合され、成り上がった「キメラ」。2つの意図を込めて、「日記のキメラ」というタイトルをつけました。
最初の計画では、ただ小説の紙片を混ぜ、それを記録するというものでした。しかし、第3章を制作している際、実際に手作業で文章を切り貼りしたことで、第4章のストーリーを思いつき、こうして執筆するにあたりました。第3章までを、文字がもたらす「体験」として受け手に楽しんでもらうだけでなく、この物語の構造を作品として意味があるものにしたい、と思い、叙述トリックを扱った小説作品として完成させました。新鮮な「読む感覚」と、少し奇妙ながら物悲しい読後感を楽しんでいただけたのなら、本当に嬉しいです。
日記は行動としてみれば、ただの1日の「記録」ですが、人によっては自身の感情を整理するために必要な「プロセス」だったり、何か忘れたくない想いを形として残すための方法だったりします。今回の作品では、「日記」というプロセスが、「記録」という存在から、メモ、証拠など、どんどん形を、それが持つ「意味」を変えていきます。
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