ペット女の愛され方

miyu.

文字の大きさ
上 下
3 / 24

出会いの乾杯

しおりを挟む
「うっし、乾杯しよーぜー!」


あれから二人、肩を並べて歩きながら
お互いに軽い自己紹介をしつつ、ここの居酒屋までやってきた。

丸山 ひろみつさん
今年で33歳。
とてもじゃないけど見えないくらい
若く見えるし、背は低めだけどそれが似合っちゃうくらいの可愛さを持ち合わせてるお顔。
今日振られたばかり。
浮気してる自覚がないっていう
結構なチャラさというか適当さ。
(これはさっき私が感じた情報)


「ていうか、何に乾杯ですか?」

ビールジョッキをカチン、と当てる寸前で止めてそう聞くと
一瞬目を大きな黒目をキョロっとさせて考えた。

「失恋記念に」 

「ええ?!それ全然おめでたくな、
「かんぱーい!」

「か、かんぱーい……、」


私の言葉をかき消して勢いで乾杯を済ませちゃうと
ぷはーっ!ってそれはそれはおいしそうにアルコールを流し込む。


「うんっま!」

「私もいただきまーす。」


すっかり色々あって酔いが冷め気味だったし
私も負けずにアルコールを喉に流し込んだ。


「っはぁ~、おいしいっ」

「なぁなぁ、何か頼もうぜっ」

「ご飯食べてないんですか?」

「うん、食ってない。ミキは?食った?」


ペラペラーってメニューを開きながら
もの凄くナチュラルに名前を呼び捨てにしたよ、この人。

・・いやまぁ、別に駄目とかじゃないけど。


「さっきちょこっと食べました」

「へぇ、そっか。じゃあ適当に頼んでい?」

「うん、どうぞ~」


またおいしそうにビールをたいらげてから
店員さんを呼んで
ビールのおかわりと、料理を何品か頼む彼を眺めながら
私もちびちびとアルコールを口にした。


「大丈夫ですか?」

「ん?なにが?」


お待たせしましたー、ってビールが届いて
ありがと、ってさり気なく店員さんにお礼を告げるとこ。

やっぱちょっとチャラいけどいい人そうだよな~、なんて思いながら
左頬を指さした。


「ほっぺた、赤くなってますよ?」


さっきまでは暗い夜道だったから気付かなかったけど
こうして店の中でよくよく見てみると
ほんのり赤くなってるほっぺた。


「あぁ、平気平気。酒で痛み鈍るから」

「えぇ?お酒で痛み紛らわすとか駄目ですよ」

「てかそんな痛くもねぇし」


でも痛そう。
本人は平然としてるけど
さっきの光景を思い出すと、こっちが痛くなる。


「これでちょっと冷やしましょ!少しはマシになるかも!」


テーブルに置いてある冷たいおしぼりを手に取って
少し身を乗り出し、向かい側に座る彼の頬に押し当てた。
おしぼり越しに感じたほっぺたの柔らかさに
可愛いな~、とか思ったり。


「つめてぇ~…」

「でしょ?これでとりあえず赤みは引くと思います」


ビンタされた経験はないけど
ちっちゃい頃によく腕とかぶつけた時にお母さんにしてもらった技が役立った!
と、ドヤしていると

「っふ、」

吹き出すように笑うから
赤い頬から目元へと視線をうつした。


「え?」

「いや、なんかいいな」

「……なにがですか?」


そんなにいいの?
赤くなった頬を冷やすのが
そんなにいい技か…?


「いや、まぁいいや」

「え?!ちょっ、自己完結させないで?!」

「まぁまぁ、飲め飲め」


後は俺が押さえとくからいいよ、って
おしぼりを押し当ててる私の手を包み込んでくる彼の手のひらに
慌てて腕を引っこめた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。

猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。 『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』 一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。

調教専門学校の奴隷…

ノノ
恋愛
調教師を育てるこの学校で、教材の奴隷として売られ、調教師訓練生徒に調教されていくお話

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【R18】幼馴染な陛下と、甘々な毎日になりました💕

月極まろん
恋愛
 幼なじみの陛下に、気持ちだけでも伝えたくて。いい思い出にしたくて告白したのに、執務室のソファに座らせられて、なぜかこんなえっちな日々になりました。

どうしようもない幼馴染が可愛いお話

下菊みこと
恋愛
可愛いけどどうしようもない幼馴染に嫉妬され、誤解を解いたと思ったらなんだかんだでそのまま捕まるお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

ヤンデレ幼馴染が帰ってきたので大人しく溺愛されます

下菊みこと
恋愛
私はブーゼ・ターフェルルンデ。侯爵令嬢。公爵令息で幼馴染、婚約者のベゼッセンハイト・ザンクトゥアーリウムにうっとおしいほど溺愛されています。ここ数年はハイトが留学に行ってくれていたのでやっと離れられて落ち着いていたのですが、とうとうハイトが帰ってきてしまいました。まあ、仕方がないので大人しく溺愛されておきます。

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

官能令嬢小説 大公妃は初夜で初恋夫と護衛騎士に乱される

絵夢子
恋愛
憧れの大公と大聖堂で挙式し大公妃となったローズ。大公は護衛騎士を初夜の寝室に招き入れる。 大公のためだけに守ってきたローズの柔肌は、護衛騎士の前で暴かれ、 大公は護衛騎士に自身の新妻への奉仕を命じる。 護衛騎士の目前で処女を奪われながらも、大公の言葉や行為に自分への情を感じ取るローズ。 大公カーライルの妻ローズへの思いとは。 恥辱の初夜から始まった夫婦の行先は? ~連載始めました~ 【R-18】藤堂課長は逃げる地味女子を溺愛したい。~地味女子は推しを拒みたい。 ~連載中~ 【R-18有】皇太子の執着と義兄の献身

処理中です...