スカーレットオーク

はぎわら歓

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風の住処(番外編)

19 欲求

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 早朝、目が覚めた早苗は颯介の逞しい腕の中にいた。
 (私とあまり背の高さが変わらないのに、やっぱり男の人なんだなあ)
 少し下腹部に違和感を覚える。

 夜の営みを思い出す。

  颯介はとても優しかった。
 痛みを覚悟していたが、最初少しだけ鈍い痛みが合っただけで、後半は快感が押し寄せてきていた。
 顔が上気してくる。

  ため息をこぼしていると颯介も目を覚ました。
 「ん。おはよ」
  颯介は早苗を抱きしめておでこにキスをする。

 「おはよ」
  まだ目を閉じている颯介を、早苗は不思議な愛しさが湧いてくるままに見つめた。

 「身体平気?」
 「うん」
  颯介のいたわりが嬉しかった。
そして結婚のことも思い出した。
 (結婚するのかな……)

  颯介と知り合ってから、何もかもいっぺんに押し寄せてくる気がする。
 怖いような嬉しいような不安と期待が混じり合って、今までの生活が大きな変化をしそうだ。

  早苗は考えることよりも目の前の颯介を感じようとした。
 初めて自分の意思以外にゆだねることに不思議な安堵感を覚える。


  颯介は自分の部屋に戻ってぼんやり回想した。

  慶子が倒れて両親の和解があった日から、輝彦は遊び歩かなくなり家にいることが多くなった。
いきなり一家団欒が始まり、直樹と二人で妙な家族ドラマに巻き込まれたようで変な気分だ。

  それでも殺伐とした夫婦関係を見るよりは、うんざりしながらでも仲の良い二人を見る方がまだましだった。
 直樹も心なしか落ち着いてきている気がする。

  早苗との一夜を思い出す。
しっかりしたボリュームの身体が初々しく小刻みに震えて、颯介を必死に受け入れていた。
 普段はてきぱきと物事を進め頼りになる姐御肌の早苗は、すべてを颯介にゆだねたようにしがみついてくる。

 (早苗……)
  颯介こそ早苗しか知らないみたいに、頭も心も身体も早苗でいっぱいになっていた。
 避けていたはずなのになんだか無性に結婚がしたい。
 (今度もっと具体的な話をしよう)
 颯介は心に決めて、また早苗のことを回想はじめた。 
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