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10 触手の行方

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 倒れ込んだ私を誰かが抱き上げて運んでくれている。温かさと力強さを感じると同時に安心感を得る。
しばらくすると、ふわっと硬いマットの上に降ろされる感覚でそっと目を開けた。

 「大丈夫? ここは緑丸の接骨院だから安心して」

 赤斗さんが心配そうな目で私を覗き込む。実際に大丈夫とは言えない。身体の奥からなにかむず痒いような、くすぐったいような熱いような変な感覚がうごめいていて辛い。身体にも力が入らない。

 「あ、の、のど、み、み、ず」

 喉もカラカラで声が出ない。相変わらず目の前はぼんやりとしていて何となく分かる程度だ。

 「水だ」

 赤斗さんの指示で「よし」と白亜さんがコップを持ってきた。私は身体を赤斗さんに起こされて「桃、飲める?」と白亜さんにコップを差し出される。

 「う、あ、は、い、みず」

 水を有難うございますと言い、受け取ろうと腕をあげたがコップを持つことが出来なかった。そしてまた身体が熱くなってくる。

 「あ、あつ、い、う、み、ず」

 私の尋常じゃない様子にメンバーはガヤガヤ騒ぎ始める。音はちゃんと聞こえる。

 「だめだ。口移しじゃないと」

そう言って白亜さんは水を口に含み、私の唇にそっと押し当てる。私は驚いてどうしようと思ったが、抗えるわけもなく、また私を助けようとしてくれている行為に感謝するだけだった。

 「んっ、お、い、し……」
 「もっと、欲しいか?」
 「ほし、い」

 何度も口移しで水を飲み、少し落ち着いたが、やはり身体の熱は収まらず、更には身体の中からムズムズする感覚が増えてくる。

 「これ、さっきの怪人に何かされたのかな」
 「緑丸。どうだ?」
 「身体は大丈夫だが、この様子だと……」

 緑丸さんが私の脈を測っている。

 「なんだよ」
 「催淫剤を使われている」
 「え? 催淫?」
 「うん。これじゃあ病院に行ってもだめだ。効果が切れるのを待つしかない」
 「いつ切れるんだ?」
 「わからない。今、緩和するような漢方を煎じてくる」
 「ああ、頼む」

さっきスライミー怪人ジュニアの触手が消えてしまったのは、実は私の身体に入ってしまったのだろうか?それにしても身体が熱くて胸の方がくすぐったいようなかゆいような、かきむしりたい衝動が湧き上がり、私は力の入らない手で両胸をさする。

 「う、う、んっ」

 少しもやもやがおさまり始めるが足りない。うまくできない。荒い息をしながら胸をさすっていると「胸が辛いのか」とクールな青音さんの声が聞こえた。
 私が軽く頷くと青音さんはわき腹のファスナーを下ろし、バトルスーツを上半身だけ脱がせた。

 「ん? ブラジャーをつけていたのか」

シームレスだからいいじゃないですかと言いたいが言えない。それよりも私の胸をどうにかしてほしい。

 「おい、青音どうするつもりだ」
 「このままだと桃香がおかしくなってしまうかもしれない」
 「うーん」

 青音さんがブラジャーを取ってしまった。小さい胸が見られて恥ずかしいと思う反面、早く触ってほしいと願う。骨ばった長く冷たい指先が、私の両胸を円を描くように揉み始めた。

 「あ、は、あっ、ん」
 「気持ちいいのか?」
 「あ、は、い……」

どうしよう。すごく気持ちいい。でも足りない。もっともっと触って欲しい。

 「煎じてきた。これを飲ませよう」

 緑丸さんが何か怪しい匂いのする飲み物を持ってきた。白亜さんがまた口に含み、私に口移しで飲ませる。

 「ん……」
 「うっ、桃、舌を入れてくるな」
 「あ、う、ぅ」
 「どんどんひどくなっている。しょうがない。スーツを全部脱がして検査する」
 「そうだな。これを町の人たちにされると対処のしようがない」

スーツを脱がせた赤斗さんが「あっ」と小さな声を上げる。

 「どうした?」
 「桃ちゃん……」

 端正な綺麗な顔をしている黄雅さんが唖然としている。どうしたんだろう。
 青音さんも私の胸をマッサージしながら眉をひそめている。

 「下着も脱がすしかない」

え? なぜ下着まで? 

 「こんなに濡らしてしまって……」

 濡れている? 下着が?

 「あの触手まさかここに入り込んだんじゃ……」
 「うーん。それは厄介だ」

なんだか大変なことになっていそうだけど私に思考力はもうなく、もっと身体中触って欲しと願うばかりだった。緑丸さんが煎じてくれた漢方のおかげか少し話せるようになり、私は希望を伝える。

 「あ、あの、胸、も、っと、さわって……」
 「桃香……」

 青音さんは悲しそうな表情を見せ、私の胸を強く揉み、乳首に舌を這わせた。

 「あんっ!」

 衝撃的な気持ち良さに私はびっくりして声を上げる。
 緑丸さんが「その方法しかないか……」とため息をついた。

 「どうすればいい?」
 「とりあえず桃香さんから催淫剤の効き目を減らすために、身体の中から溶けた成分を出させるしかない」
 「ほかには?」
 「催淫剤には催淫。毒をもって制すしかないな」
 「なるほど」
 「観察データと桃香さんの体液を残しておいて解毒剤も後で作らないとな」
 「俺が観察データを取ろう」

 乳首を舐めまわしていた青音さんが唇を離し、パソコンに向かった。

 「あ、や、だ、やめないで」
 「黄雅頼む」
 「ん」

 黄雅さんが私の髪を優しく撫で「大丈夫だからね」と言い、胸を優しく撫で乳輪を舐めまわし始めた。

 「あんっ、あぅうんっ」

 終わらなくて良かった。気持ちいい。

 「赤斗、このペトリ皿に桃香さんの体液を集めてくれ」
 「ああ。どうやって集める? ピペットで吸うのか?」
 「そうだなあ」
 「赤斗、指ですくった方がきっとうまくいくと思うよ。とろとろしててコンディショナーみたいだからね」
 「そうか。じゃゴム手袋をして集める」

 赤斗さんがゴム手袋を探しに行っている間に、白亜さんが指先から手首、腕と下からマッサージを始める。

 「血行を良くして早く追い出さないとな」

 白亜さんにシャンプーをしてもらった気持ち良さを思い出し、私はまたゾクゾクと内側から湧いてくる快感を覚える。

 「あんっ、あんっ」

うっとりしていると下半身がとても気持ちいいことに気づく。

 「んんっ!」
 「ごめんね。桃香ちゃん、すぐ終わらせるからね」

 赤斗さんが私のぬるぬる濡らした秘所にそっと指を埋めてくる。

 「あああっんっ」

 長い指が出し入れされ、だんだんと胸から気持ち良さが下半身に移行する。中に指を入れられ、ぐるっと回転され、出されることを何度かされた頃にはもう下半身が溶けそうになっていた。

 「も、もっと、おね、がい」

おねだりをしても赤斗さんは、もうゴム手袋を脱いで次の作業を始めている。
 「これをプレパラートに」
 「わかった」
 「白亜、もう一回桃香さんに漢方飲ませてくれ」
 「うん」

 口移しで飲まされながら、白亜さんは今度舌を絡ませてきた。二人で舌先を絡め合うと、また黄雅さんに愛撫されている胸が気持ち良くなってくる。

 「なかなかおさまらないな」
 「ツボを押すから、赤斗。今度はそこを愛撫してあげてくれ」
 「わかった。桃香ちゃん、今度こそ気持ち良くしてあげるからね」
 「う、れしぃ」

 赤斗さんの明るいひまわりのような笑顔を見るととても安心しホッとする。が、すぐに快感に身を投じることになる。

 「こんなにとがらせて……」

 恥ずかしいところを舐めまわされ始める。小さな突起が痛いくらいに硬くなっているのが自分でもわかった。
 「ああっ、そ、こっ、きもちっ、い、んっ」

 大きく喘ぐ私の声に青音さんが興味を持ったように近づいてきて「なるほど。桃香はそこがとても感じるんだな」と頷いて眼鏡を直す。
 恥ずかしい気持ちが蘇ってきたが、それよりも快感を貪りたい気持ちの方がやはり大きい。
 舐められ、中に指を入れて出し入れされる頃にはすっかり身体がとろけたようになり痺れは消えていた。
そこへ強い絶頂感が私を襲う。

 「あっ、だ、だめっ、なん、かっ、や、いっ」
 「我慢しないで」
 「いきな、桃」
 「ほらもっと腰を振って」
 「あ、あ、ああああっ、あんんっ」

 目の前が真っ白になる。みんなの声援と一緒に私は絶頂を迎えた。
 荒い息をしていると白亜さんが優しく身体を撫で「がんばったね」と囁く。
 虚ろな私の目の中を緑丸さんは覗き込み、脈を測る。

 「もう少し抜けきっていない」

その一言でみんながまた騒めく。

 「なんて強力なんだ」
 「このまま休ませてもいいんだが、もう二回はエクスタシーを与えたほうがいいだろう。後、もっと中に舌を入れて、吸い出してくれ」
パソコンの画面を見ながら青音さんが言う。
 後二回? 舌を入れる? 私はまだぼんやりする頭のままシャドウファイブのみんなが私を必死で助けようとしてくれていることに感謝した。
かわるがわるに愛撫され、三度目の絶頂を得ると、ぎゅっと緑丸さんが抱きしめてくれ「よく耐えたな」と労われた。疲労困憊で私はその瞬間に眠りについた。
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