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完結編
12 紳士と淑女
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桃香は目の前が滲み、身体の快感に溺れそうになりながらも、自分で解決するのだと最後の理性が戦っている。目の前の黒彦に助けを求めることはしなかった。
黒彦も彼女が自分で何とかしようとしていることが分かり、その意志を尊重すべく手助けを考える。
悶えながら桃香は自分自身の手によって一回目の快感の波を得た。
「あ、あ、は、はぁ、はぁ……」
黒彦と同様に自慰行為で興奮を抑えたが、やはり一度では無理のようだ。黒彦は以前、緑丸から渡されたアイテムを思い出した。
「う、あ、うう、ま、また――!」
興奮と疼きが再び桃香を襲っている。
「待ってて、鈴木さん!」
あらゆる災害から中身を守れる特殊な素材でできた、メタリックなアタッシュケースから手のひらサイズの瓶を取り出す。
「よし。これだ!」
中にはゼリー状の蠢く触手が入っていた。そっと中身を取り出し、黒彦はちぎってビー玉サイズにし桃香に渡す。
「これを局部に!」
「あ、こ、これ、ですかあ?」
桃香は受け取り乳首の先に乗せる。もちろん黒彦は彼女の尊厳を守るべく、なるべく見ないように顔を背けている。桃香はブルブル震えるゼリーを両乳首に乗せてみる。するとどうだろう。体温によってスイッチが入るようで、もっと細かく強く振動を始める。
「ひっ! あ、こ、これっ、あ、ああんっ!」
「もう一つ、大事なところへ!」
「あ、んんっ、店長、あり、がとう、ございます」
身体をひくひくさせながら豆粒台のブルブルゼリーを受け取り桃香はそっと両足を開き、花芽に置く。やはり体温を感じ振動を始める。
「だ、だめ、な、なにこれっ、や、やだ、も、もうっ」
すぐにも絶頂を迎えそうな桃香の声を聞き、紳士の黒彦は目を閉じ耳をふさぎ、心の中で早く彼女が楽になるようにと祈った。
「やああぁあっん!」
悲鳴のような嬌声をあげて桃香は達し、しばらく虚ろな様子で横たわる。黒彦はバスタオルを持ってきて彼女にそっとかけた。
「まだ、辛い?」
「た、たぶんこれでもう平気、みたいです」
二回の絶頂で治まったらしく桃香は身体を起こした。
「よかった……」
「あの、ありがとうございました」
「いや、礼を言うのはこちらだ。迷惑をかけてしまった、本当にすまない」
「店長、謝らないでください。あの、店長がすごく、紳士的で私うれしいです」
「鈴木さんこそ、自分で何とかしてしてしまうとは……。自立した今どきの淑女の鏡だと思う」
「淑女だなんて、そんな」
桃香は無意識の中で、以前の状況と同じことになることを避けていた。(逆ハー戦隊シャドウファイブ 16ピンク対メンバー全員 参照)
黒彦に褒められると、安易に身体を繋げ快感を得て、解消する方法をとらなくて良かったと心から思った。
「今度こそ、送っていこう」
「は、はい!」
ほんの数分の距離に桃香の住まいはある。黒彦の少し後を歩きながら、桃香は彼の広い背中を見つめる。さっき黒彦を胸の中に抱いたときの、筋肉質で逞しい肩や腕を思い出す。
「店長ってば、本ばかり読んでるのに」
「ん? 何か?」
「いえいえ、なんでも。あ、もうそこなので大丈夫です」
「あ、うん。お疲れ様。また明日」
「はい! 失礼します」
明るい笑顔を残して桃香は建物の中に入っていった。それを見届け黒彦はもと来た道を戻る。
「ふう……。何事もなくてよかった」
桃香に何もすることがなく状況が落ち着いてよかったと心から思った。そこへ黄雅と菜々子が通りかかる。
「あらー。黒彦くんじゃない。珍しいわねー、一人で徘徊?」
「徘徊? 普通散歩と言わないか?」
「やあ、黒彦」
「おっす。今日も委員長は出来上がってるな」
「はははっ。俺も楽しいよ」
「そうよそうよ。なんか文句あんの?」
「いや、ない」
「ならいいけどー」
絡み癖のある菜々子の相手をしていると大変なので、黒彦はあまり反応せずその場をやり過ごすことにした。
「どう? 店員さんは。うまくやってる?」
「ああ。ほんとにできた人だ。さっきも――いや、なんでもない」
「さっき、どうかしたの?」
「いや、いいんだ」
ご機嫌で鼻歌を歌い、先を歩いていた菜々子が振り返り黒彦に詰め寄る。
「ちょっとー。桃香ちゃんに薬飲ませたり、えっちなことしてないでしょうねえー」
「え、薬、えっちなこと……」
「なになに? そんなことしたの?」
どもる黒彦に黄雅も思わず聞いてしまう。
「してないしてない。彼女のような淑女にそんな失礼なことはしない」
「ああ、そう? ならいいんだけど。桃香ちゃんに悪さしたら承知しないわよ!」
「大丈夫だよー。黒彦は紳士だし」
「紳士ねえー。でも女の子に恥じかかさないでよね!」
「委員長は一体何が言いたいんだ……」
菜々子も、黒彦の記憶喪失と桃香の気持ちを知っているので複雑な思いをしているのだ。もう少しで桃香の気持ちを言いそうになってしまうなところで、黄雅が「さ、帰ろう」と菜々子の手を取った。
「あ、うん。黒彦くん、おやすみ」
「おやすみ」
「またな」
「ああ」
2人と別れ、黒彦も帰宅した。熱気のさめた書斎に戻り、瓶などを片付け桃香に掛けたバスタオルを胸に抱く。仄かに甘い香りがする気がした。
「催淫剤なんか、作ったかなあ……。青音にでも頼まれたっけ?」
ブラックシャドウの頃の記憶がないため、催淫剤を作った覚えがなかった。色々な薬品を作ってきたおかげで、万能薬のような中和剤が作れたのは幸いだった。
「鈴木さんに迷惑をかけてしまったな」
思わず彼女の喘ぐ声を思い出してしまう。
「あ、やば……」
紳士な黒彦は桃香をオナペットにしてはいけないと、起立した股間を押さえバスルームに向かった。
黒彦も彼女が自分で何とかしようとしていることが分かり、その意志を尊重すべく手助けを考える。
悶えながら桃香は自分自身の手によって一回目の快感の波を得た。
「あ、あ、は、はぁ、はぁ……」
黒彦と同様に自慰行為で興奮を抑えたが、やはり一度では無理のようだ。黒彦は以前、緑丸から渡されたアイテムを思い出した。
「う、あ、うう、ま、また――!」
興奮と疼きが再び桃香を襲っている。
「待ってて、鈴木さん!」
あらゆる災害から中身を守れる特殊な素材でできた、メタリックなアタッシュケースから手のひらサイズの瓶を取り出す。
「よし。これだ!」
中にはゼリー状の蠢く触手が入っていた。そっと中身を取り出し、黒彦はちぎってビー玉サイズにし桃香に渡す。
「これを局部に!」
「あ、こ、これ、ですかあ?」
桃香は受け取り乳首の先に乗せる。もちろん黒彦は彼女の尊厳を守るべく、なるべく見ないように顔を背けている。桃香はブルブル震えるゼリーを両乳首に乗せてみる。するとどうだろう。体温によってスイッチが入るようで、もっと細かく強く振動を始める。
「ひっ! あ、こ、これっ、あ、ああんっ!」
「もう一つ、大事なところへ!」
「あ、んんっ、店長、あり、がとう、ございます」
身体をひくひくさせながら豆粒台のブルブルゼリーを受け取り桃香はそっと両足を開き、花芽に置く。やはり体温を感じ振動を始める。
「だ、だめ、な、なにこれっ、や、やだ、も、もうっ」
すぐにも絶頂を迎えそうな桃香の声を聞き、紳士の黒彦は目を閉じ耳をふさぎ、心の中で早く彼女が楽になるようにと祈った。
「やああぁあっん!」
悲鳴のような嬌声をあげて桃香は達し、しばらく虚ろな様子で横たわる。黒彦はバスタオルを持ってきて彼女にそっとかけた。
「まだ、辛い?」
「た、たぶんこれでもう平気、みたいです」
二回の絶頂で治まったらしく桃香は身体を起こした。
「よかった……」
「あの、ありがとうございました」
「いや、礼を言うのはこちらだ。迷惑をかけてしまった、本当にすまない」
「店長、謝らないでください。あの、店長がすごく、紳士的で私うれしいです」
「鈴木さんこそ、自分で何とかしてしてしまうとは……。自立した今どきの淑女の鏡だと思う」
「淑女だなんて、そんな」
桃香は無意識の中で、以前の状況と同じことになることを避けていた。(逆ハー戦隊シャドウファイブ 16ピンク対メンバー全員 参照)
黒彦に褒められると、安易に身体を繋げ快感を得て、解消する方法をとらなくて良かったと心から思った。
「今度こそ、送っていこう」
「は、はい!」
ほんの数分の距離に桃香の住まいはある。黒彦の少し後を歩きながら、桃香は彼の広い背中を見つめる。さっき黒彦を胸の中に抱いたときの、筋肉質で逞しい肩や腕を思い出す。
「店長ってば、本ばかり読んでるのに」
「ん? 何か?」
「いえいえ、なんでも。あ、もうそこなので大丈夫です」
「あ、うん。お疲れ様。また明日」
「はい! 失礼します」
明るい笑顔を残して桃香は建物の中に入っていった。それを見届け黒彦はもと来た道を戻る。
「ふう……。何事もなくてよかった」
桃香に何もすることがなく状況が落ち着いてよかったと心から思った。そこへ黄雅と菜々子が通りかかる。
「あらー。黒彦くんじゃない。珍しいわねー、一人で徘徊?」
「徘徊? 普通散歩と言わないか?」
「やあ、黒彦」
「おっす。今日も委員長は出来上がってるな」
「はははっ。俺も楽しいよ」
「そうよそうよ。なんか文句あんの?」
「いや、ない」
「ならいいけどー」
絡み癖のある菜々子の相手をしていると大変なので、黒彦はあまり反応せずその場をやり過ごすことにした。
「どう? 店員さんは。うまくやってる?」
「ああ。ほんとにできた人だ。さっきも――いや、なんでもない」
「さっき、どうかしたの?」
「いや、いいんだ」
ご機嫌で鼻歌を歌い、先を歩いていた菜々子が振り返り黒彦に詰め寄る。
「ちょっとー。桃香ちゃんに薬飲ませたり、えっちなことしてないでしょうねえー」
「え、薬、えっちなこと……」
「なになに? そんなことしたの?」
どもる黒彦に黄雅も思わず聞いてしまう。
「してないしてない。彼女のような淑女にそんな失礼なことはしない」
「ああ、そう? ならいいんだけど。桃香ちゃんに悪さしたら承知しないわよ!」
「大丈夫だよー。黒彦は紳士だし」
「紳士ねえー。でも女の子に恥じかかさないでよね!」
「委員長は一体何が言いたいんだ……」
菜々子も、黒彦の記憶喪失と桃香の気持ちを知っているので複雑な思いをしているのだ。もう少しで桃香の気持ちを言いそうになってしまうなところで、黄雅が「さ、帰ろう」と菜々子の手を取った。
「あ、うん。黒彦くん、おやすみ」
「おやすみ」
「またな」
「ああ」
2人と別れ、黒彦も帰宅した。熱気のさめた書斎に戻り、瓶などを片付け桃香に掛けたバスタオルを胸に抱く。仄かに甘い香りがする気がした。
「催淫剤なんか、作ったかなあ……。青音にでも頼まれたっけ?」
ブラックシャドウの頃の記憶がないため、催淫剤を作った覚えがなかった。色々な薬品を作ってきたおかげで、万能薬のような中和剤が作れたのは幸いだった。
「鈴木さんに迷惑をかけてしまったな」
思わず彼女の喘ぐ声を思い出してしまう。
「あ、やば……」
紳士な黒彦は桃香をオナペットにしてはいけないと、起立した股間を押さえバスルームに向かった。
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