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完結編
11 黒彦の媚薬
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穏やかに日々は過ぎていく。毎日好きな本に囲まれ、紳士的な店長と仕事ができ桃香は幸せだった。
「今日もお客さん、いっぱい来たなあ」
桃香は本以外にも、可愛いものや上質なもの色々な文房具も置いたらいいのではないかと黒彦に提案していた。黒彦は良い考えだと早速仕入れて店に並べる。おかげで売り上げもあがり、桃香はますます重宝された。
「あ、6時か。珍しいなあ。いつも10分前に店長降りてくるのに」
桃香は時計を見ながら、でも急ぐこともないとしばらく待つことにした。しかし何かあったのではないかと思い直し、家の中にあがり様子を見にいくことにした。
店内から家に入り、階段を上ると黒彦の部屋がある。ドアをノックしようとした瞬間、中からうめき声が聞こえてきた。
「うううっー、う、うぅっ」
「え、ど、どうしたんだろ? えーっと開けますよ!」
桃香がドアを開いた瞬間に、口の中に何かが飛び込んだ。
「んがぐぐ? ん? な、なにか飲みこんじゃった?」
不思議な感覚を得ていると、うずくまった黒彦が目に入りすぐ駆け寄る。
「どうしたんですか? 店長。体調が悪いんですか?」
「あ、う、す、鈴木さん、さっきはすまなかった」
熱っぽく息の荒い黒彦に、桃香は急いで水を持ってくることにした。もと来た階段を降り、さっと店の電気を切り閉店した後、冷たい水をもって上がる。
「どうぞ、これ飲んでください!」
「ありがとう」
少し落ち着いた黒彦は「あの、さっきの事だけど」と気まずい表情を見せた。
「どうしました?」
「え、とその……」
桃香が言葉を待っていると、また黒彦の身体に異変が現れる。顔も紅潮し汗ばんでいるようだ。
「す、まないが、君はもう帰った方がいい。このままだと……」
「そんなあ、こんなに苦しんでいる店長放って帰れないですよ!」
「う、ううっ」
黒彦は前かがみになって桃香に背を向けた。
「あの、何か出来ることありますか? 救急車呼びます?」
「いや。これは、病気じゃないんだ。じ、実はさっき、間違った薬品を飲んで、しまった……」
今夜、黒彦は事務処理に時間がかかると思い、お手製の滋養強壮剤を飲んだつもりだった。しかし飲んだのは瓶が似ている催淫剤だったのだ。
「え? 催淫剤? じゃ、どうすれば」
おろおろする桃香に黒彦は呻きながら「君がいると、俺の理性が……」と苦し気にこぶしを握る。
「で、でも、辛いんですよね? えーっとえーっと……」
一生懸命に桃香は考えた。そして一つの考えが浮かぶ。
「あの! なにか打ち消す薬とかないんでしょうか。解毒剤みたいなものとか」
「あ、ああ。中和剤、が作れるかも……」
前かがみで股間を押さえたまま、黒彦は机の引き出しの中を眺める。
「できるかも、知れない……」
震える指先で薬の瓶を持ち上げようとするが、ことりと落としてしまう。
「私がやります! どうぞ指示してください」
「ありがとう。じゃ、その瓶と、その瓶を――」
指示通りに瓶を取り出し、一滴一滴ビーカーに落としていき最後に混ぜ合わせる。
「できました!」
「こっちにください」
震える黒彦に手渡そうとしたが、落としてこぼしてしまうかもしれないと桃香は危惧し、自分が飲ませることにした。
「店長、どうぞ、ここにもたれて」
「ん? え、あ、ああ」
桃香は自分の胸に黒彦の頭をのせ、抱いて固定しそっとビーカーを彼の口に持っていった。
「そーっとそーっとと」
「ん、ん、んんっ」
ビーカーはすぐに空になり、呻いていた黒彦も数分後には落ち着き始めていた。
「効いてきた」
「良かったー」
桃香はホッとして身体の力を抜く。黒彦は身体を起こし「本当に迷惑をかけてしまって。申し訳ない」と頭を下げた。
「いいんですいいんです! お役に立てて良かった」
「遅くなってしまったね。送るよ」
「大丈夫ですよー。ほんと近所だし」
「いや、女性の一人歩きは危ないからね」
黒彦の紳士的な態度に桃香はやはり素敵な人だと思う。素敵な彼と数分でも一緒に歩けるかと思い、桃香はドキドキし始めていた。
「はあ、はあ、なんか、ドキドキしてきちゃった、なあ」
立ち上がると桃香は軽くめまいを感じた。
「あっ、鈴木さん。大丈夫?」
「あ、あれ? なんか、おかし、いな」
ふらつく桃香を黒彦が支えた。桃香自身、呼吸が荒くなり、身体が熱く火照ってくるのを感じる。ブラウスがやけに暑く、ボタンを3つほど外した。
「ま、まずい。さっきのが、やっぱり……」
「さっきの、ってなんですか、店長?」
「実は、さっき君が飲みこんだのは――」
催淫剤で性的興奮を覚えた、黒彦はマスターベーションで治めようと奮闘していた。勢いよく射精したところに桃香がやってきたのだ。どうやら催淫剤の交じった黒彦の精液が、桃香の胃袋で効果を表し始めている。
「は、はあ、て、てんちょうの何ですって? あー、なんだろう。なんかやけに暑いし、身体がなんか」
「くそっ。中和剤の材料がもうない!」
黒彦がガタガタと引き出しを開けたり閉めたりしている間に、桃香は横たわり自分で身体をまさぐっていた。
「あ、は、はあ……。てん、ちょう……」
「す、鈴木さん……」
うっとりとし始めている桃香の表情に黒彦はくぎ付けになる。さっき催淫剤が効いているときに、この桃香の姿を見たらどうしていたか分からない。
両胸を揉みしだきながら、桃香は両足をすりすりこすり合わせている。
「くっ、どうすれば……」
桃香の吐息と衣擦れの音で冷静な思考もままならない。
「あ、あんっ、き、もちいっ」
とうとう桃香は足の付け根に手を這わせ始めた。
「それ、しか、ないのか……」
催淫剤の効果を抜くためには、どうやら絶頂を得るしかないらしい。悶えながら快楽を得ようとしている桃香に黒彦は覚悟を決めて近づいて行った。
「今日もお客さん、いっぱい来たなあ」
桃香は本以外にも、可愛いものや上質なもの色々な文房具も置いたらいいのではないかと黒彦に提案していた。黒彦は良い考えだと早速仕入れて店に並べる。おかげで売り上げもあがり、桃香はますます重宝された。
「あ、6時か。珍しいなあ。いつも10分前に店長降りてくるのに」
桃香は時計を見ながら、でも急ぐこともないとしばらく待つことにした。しかし何かあったのではないかと思い直し、家の中にあがり様子を見にいくことにした。
店内から家に入り、階段を上ると黒彦の部屋がある。ドアをノックしようとした瞬間、中からうめき声が聞こえてきた。
「うううっー、う、うぅっ」
「え、ど、どうしたんだろ? えーっと開けますよ!」
桃香がドアを開いた瞬間に、口の中に何かが飛び込んだ。
「んがぐぐ? ん? な、なにか飲みこんじゃった?」
不思議な感覚を得ていると、うずくまった黒彦が目に入りすぐ駆け寄る。
「どうしたんですか? 店長。体調が悪いんですか?」
「あ、う、す、鈴木さん、さっきはすまなかった」
熱っぽく息の荒い黒彦に、桃香は急いで水を持ってくることにした。もと来た階段を降り、さっと店の電気を切り閉店した後、冷たい水をもって上がる。
「どうぞ、これ飲んでください!」
「ありがとう」
少し落ち着いた黒彦は「あの、さっきの事だけど」と気まずい表情を見せた。
「どうしました?」
「え、とその……」
桃香が言葉を待っていると、また黒彦の身体に異変が現れる。顔も紅潮し汗ばんでいるようだ。
「す、まないが、君はもう帰った方がいい。このままだと……」
「そんなあ、こんなに苦しんでいる店長放って帰れないですよ!」
「う、ううっ」
黒彦は前かがみになって桃香に背を向けた。
「あの、何か出来ることありますか? 救急車呼びます?」
「いや。これは、病気じゃないんだ。じ、実はさっき、間違った薬品を飲んで、しまった……」
今夜、黒彦は事務処理に時間がかかると思い、お手製の滋養強壮剤を飲んだつもりだった。しかし飲んだのは瓶が似ている催淫剤だったのだ。
「え? 催淫剤? じゃ、どうすれば」
おろおろする桃香に黒彦は呻きながら「君がいると、俺の理性が……」と苦し気にこぶしを握る。
「で、でも、辛いんですよね? えーっとえーっと……」
一生懸命に桃香は考えた。そして一つの考えが浮かぶ。
「あの! なにか打ち消す薬とかないんでしょうか。解毒剤みたいなものとか」
「あ、ああ。中和剤、が作れるかも……」
前かがみで股間を押さえたまま、黒彦は机の引き出しの中を眺める。
「できるかも、知れない……」
震える指先で薬の瓶を持ち上げようとするが、ことりと落としてしまう。
「私がやります! どうぞ指示してください」
「ありがとう。じゃ、その瓶と、その瓶を――」
指示通りに瓶を取り出し、一滴一滴ビーカーに落としていき最後に混ぜ合わせる。
「できました!」
「こっちにください」
震える黒彦に手渡そうとしたが、落としてこぼしてしまうかもしれないと桃香は危惧し、自分が飲ませることにした。
「店長、どうぞ、ここにもたれて」
「ん? え、あ、ああ」
桃香は自分の胸に黒彦の頭をのせ、抱いて固定しそっとビーカーを彼の口に持っていった。
「そーっとそーっとと」
「ん、ん、んんっ」
ビーカーはすぐに空になり、呻いていた黒彦も数分後には落ち着き始めていた。
「効いてきた」
「良かったー」
桃香はホッとして身体の力を抜く。黒彦は身体を起こし「本当に迷惑をかけてしまって。申し訳ない」と頭を下げた。
「いいんですいいんです! お役に立てて良かった」
「遅くなってしまったね。送るよ」
「大丈夫ですよー。ほんと近所だし」
「いや、女性の一人歩きは危ないからね」
黒彦の紳士的な態度に桃香はやはり素敵な人だと思う。素敵な彼と数分でも一緒に歩けるかと思い、桃香はドキドキし始めていた。
「はあ、はあ、なんか、ドキドキしてきちゃった、なあ」
立ち上がると桃香は軽くめまいを感じた。
「あっ、鈴木さん。大丈夫?」
「あ、あれ? なんか、おかし、いな」
ふらつく桃香を黒彦が支えた。桃香自身、呼吸が荒くなり、身体が熱く火照ってくるのを感じる。ブラウスがやけに暑く、ボタンを3つほど外した。
「ま、まずい。さっきのが、やっぱり……」
「さっきの、ってなんですか、店長?」
「実は、さっき君が飲みこんだのは――」
催淫剤で性的興奮を覚えた、黒彦はマスターベーションで治めようと奮闘していた。勢いよく射精したところに桃香がやってきたのだ。どうやら催淫剤の交じった黒彦の精液が、桃香の胃袋で効果を表し始めている。
「は、はあ、て、てんちょうの何ですって? あー、なんだろう。なんかやけに暑いし、身体がなんか」
「くそっ。中和剤の材料がもうない!」
黒彦がガタガタと引き出しを開けたり閉めたりしている間に、桃香は横たわり自分で身体をまさぐっていた。
「あ、は、はあ……。てん、ちょう……」
「す、鈴木さん……」
うっとりとし始めている桃香の表情に黒彦はくぎ付けになる。さっき催淫剤が効いているときに、この桃香の姿を見たらどうしていたか分からない。
両胸を揉みしだきながら、桃香は両足をすりすりこすり合わせている。
「くっ、どうすれば……」
桃香の吐息と衣擦れの音で冷静な思考もままならない。
「あ、あんっ、き、もちいっ」
とうとう桃香は足の付け根に手を這わせ始めた。
「それ、しか、ないのか……」
催淫剤の効果を抜くためには、どうやら絶頂を得るしかないらしい。悶えながら快楽を得ようとしている桃香に黒彦は覚悟を決めて近づいて行った。
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