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後漢末
19 三国鼎立に向かって
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中原の曹操孟徳はかつて袁紹が治めていた許都の北にあるギョウに豪華絢爛な宮殿、銅雀台を完成させる。天子を得て、袁紹が病死してから着工しやっと献帝の住まいができたのだ。
「さあ、陛下。これからここがあなたの住まいになります。まずは宴を開きましょう」
「孟徳よ。このような高い場所に朕を住まわせるのか」
「ええ。天子は高い位置におらねばなりません」
「ふむ。そちはここまで参るのか?」
「ええ、勿論ですとも。ただ最近は私の事を天下を簒奪するものとみなす者がおります故、階段の下にて陛下とは宦官を通してやり取りすることになりましょう」
「なんと! そのような……。嫌じゃ! 前のようにもっと低い位置で構わぬ」
「陛下……。もうそろそろご自身の立場を自覚せねばなりません」
曹操の思いは献帝には受け入れがたく、もはや自分が漢王朝の末裔であること、天子であることに強い執着心などなかった。
「そうじゃ。良いことを考えた。そなたに譲位しよう! そして朕はそなたの側におるのじゃ」
「! な、なんという事を……。そのような考えはお捨てください。なんのために私がこれまで才能あるものを求め、外と中の憂いを取り除いてきたのか。すべては陛下のために……」
「す、すまない。朕はそちと離れたくないのじゃ。せめて、そうじゃそなたを丞相から魏公の位を授けよう」
「……。陛下、お気持ちはありがたいのですが……。まあそのことは後でとりあえず、参りましょう」
曹操に野心はあったが、それは己が天子の御位を得ることではなかった。勿論天子をお守りしたいという劉備の意志とも違う。己の能力を全て発揮して戦乱を沈め、天下を平らげ、腐ったぬるま湯に浸ることなく次々と新鮮な泉を沸かせ、技術、文化、信仰においても向上させることにあった。ただ彼女の高すぎる意識を理解できるものも数少なかった。
銅雀台の宴に荀彧が姿を見せることがなかった。彼もまた曹操が天子を廃し天下を簒奪すると懸念しているようだ。実際に宴で銅雀台の題目を与え詩を詠ませたところ、息子の曹植などは曹操自身をたたえる詩をつくり、また出席者のほとんどはその詩を称えた。平凡ながら献帝を奉る詩を詠む曹丕は皆には不評を買っていたが、曹操自身やはり長子が自分の跡継ぎであると心に決める。
そして病に伏していると門を閉ざし顔を出さない荀彧に見舞いの品を贈った。
使用人が恭しく両手に抱えるほどの木箱を持ってくる。
「魏公よりご主人様へとのことです」
「魏公からか……。そこへ置いて下がるがよい」
「はっ」
寝台から起き出し、弱々しい手付きで箱の蓋を開ける。
「やっ! なんと空ではないか……」
もはや私は無用であると悲嘆にくれたその時、ふわっと甘い香りが荀彧の鼻腔をくすぐる。
「んん? この香りは梅……」
病に伏し、食事も喉に通らなかった彼の口の中は酸味を感じ唾液が沸いてくる。
「梅……。梅の実か……」
久しぶりに口の中に潤いを感じた荀彧は過去の出来事を思い出す。
――行軍中、水が無くなってしまったときであった。日照り続きで井戸も枯れ、川も見当たらぬ時、曹操は「もう少しいけば梅林がある」と兵士たちを奮い立たせ、喉の渇きを忘れさせた。
荀彧も同行しており、実際に梅林はなかったが彼女の機知のおかげで苦難を乗り越えることが出来た。それから梅の季節になると寝所に梅の枝を置き、二人は香りを感じながら一緒に眺めた。
いつからか曹操は夜伽を申し付けることが無くなった。恐らく孕むことが無くなってからであろう。それでも梅の香りが漂う季節と、実がなる季節には荀彧が呼ばれていた。最後に褥に呼ばれたのはいつであったろうか。消えゆく梅の香りが思い出も消し去っていく。最後の一欠けらの香りを胸いっぱいに吸い込んだ時、残り僅かな記憶の中に曹操の言葉を蘇らせた。
『梅は良い。寒さに耐え花を咲かせ、実を結ぶから』
荀彧は自分の血をひく曹丕が曹操の跡を継ぎ、天子をお助けするのだと理解する。董卓は長子を廃したが曹操は長子を用いる。その伝言がこの空箱の中の香りなのだ。
「ああ、我が君、曹操様」
恍惚として中身のない箱の底を見続けていると、初めて出会った時の女の姿の曹操が浮かび上がる。
箱の中で彼女は手招く。暗い箱の中の、漆黒の髪と瞳に、炎のような熱さを持つ我が愛人。
『お前はまだ知らぬことがあるのだぞ?』
「あなたは誰でしょう。教えてください。今すぐ参ります故……」
こと切れた荀彧はしっかりと空箱を胸に抱き、安らかな微笑みを浮かべていた。
劉備が益州に向かっている間、手薄になった荊州を得んと、孫権は攻め込もうとする。しかし妹の孫夫人の存在があり、姻戚関係であるのに攻め入ることは仁義に欠く行為ということで実行できずにいた。そこで孫権は母親の呉国太の危篤という知らせを孫夫人に送る。末娘であり母思いの彼女は居ても立ってもいられなくなった。しかし諸葛亮に知られれば引き留められるであろうと孫夫人は劉備の幼い息子、阿斗の手を引き、こっそりと江東へ向かった。
「静かに早く参るのじゃ」
「どこへ? 母様」
「阿斗や、これから大きな河を下って母の生まれた江東へ参りましょう」
「はあい」
素直な阿斗は揺れる馬車で眠くなったらしく孫夫人の膝で目を閉じる。孫夫人は一度江東へ戻れば、しばらく帰ることが叶わぬかと思い、衝動的に阿斗を連れて出てしまう。せめて劉備の代わりにと。しばらく馬車に揺られ、阿斗の髪を撫でていると後方で馬のいななきが聞こえる。
はっと馬車から顔を出すと、趙雲が追いかけてきていた。
「その馬車、おとまりください!」
もはやここまでかと孫夫人は馬車を止めさせる。眠っている阿斗をそのままにし、外に出て孫夫人は趙雲に対峙する。
「やはり、追手はそなたになるか」
「孫夫人、お戻りください」
「無理じゃ、母上が危篤なのじゃ。死に目に会えぬ親不孝はしたくない」
「そうですか。しかし、阿斗様はお返し願いましょう」
「阿斗は連れておらぬと言ったら?」
「いいえ。その馬車におられるはずです」
「くっ。さすがは父親であるな……」
「――」
「玄徳様も誰も口には出さぬが、押し黙るときの顔がよう似ておる」
「お返し願おう」
「そうであるな。あたくしも母に会うために帰るのじゃからな」
馬車の中の阿斗をそっと抱き上げ、頬ずりをする。
「んん? もう着いたの?」
「いや、やはり帰ろう」
孫夫人はぎゅっと抱きしめた後、阿斗を趙雲に引き渡す。
「んん? 子龍。おひげ痛い」
「阿斗様」
睦まじい二人の様子に孫夫人は自分と母の姿を重ねた。
「趙将軍、そなたは他の将軍と違って功を得ようとはせぬのじゃな。おまけに関将軍も張将軍も主君に諭され、妻を持ち跡継ぎを残しておるというのにそなたは……」
「わたしは主君と阿斗様をお守りすることが第一ですから」
孫夫人はまっすぐな槍と白い馬、跪く彼に誠意を見て取る。
しかし劉備を愛する彼女にとって彼は一番の敵でもある。そこで羨ましいという言葉を飲みこみ最後の憎まれ口をたたくことになる。
「まあ、江東が全土を統一した暁には今度こそ、玄徳様はこちらにおいでになってもらおう」
「――」
「それまで、せいぜい長生きして、お守りしてもらおうか」
「……御意」
ふんっと踵を返し立ち去る孫夫人の後姿を見送りながら、趙雲は長坂坡の戦いで亡くなった糜夫人とのやり取りを思い出した。
――曹操軍に追われ、劉備と数十万の民が逃げ落ちる最中、糜夫人と阿斗がはぐれてしまい、趙雲は二人を探し混雑した中を駆け巡る。
「やはりそなたが来てくれましたか」
「糜夫人っ、さあ、早く殿のところへ!」
「いえ、もう、あたくしは動けません。この子をお世継ぎをどうか……」
「さあっ、馬にお乗りになって!」
「ふう……。阿斗とあなたの一文字に結んだ口元がよく似ている。さよなら、玄徳様、さよなら甘夫人っ」
勢いよく古井戸に糜夫人は身を投げた。趙雲は幼い阿斗をしっかり身体に括り付け、単騎で立ちはだかる曹操軍を掻い潜り劉備の元へたどり着いた。
潔い糜夫人を思い出し、改めて趙雲はしっかりと阿斗を抱き守り抜くことを誓う。それが彼自身の命をも大事にさせ五虎大将軍の中でも唯一天寿を全うできることにつながるのだった。
「さあ、陛下。これからここがあなたの住まいになります。まずは宴を開きましょう」
「孟徳よ。このような高い場所に朕を住まわせるのか」
「ええ。天子は高い位置におらねばなりません」
「ふむ。そちはここまで参るのか?」
「ええ、勿論ですとも。ただ最近は私の事を天下を簒奪するものとみなす者がおります故、階段の下にて陛下とは宦官を通してやり取りすることになりましょう」
「なんと! そのような……。嫌じゃ! 前のようにもっと低い位置で構わぬ」
「陛下……。もうそろそろご自身の立場を自覚せねばなりません」
曹操の思いは献帝には受け入れがたく、もはや自分が漢王朝の末裔であること、天子であることに強い執着心などなかった。
「そうじゃ。良いことを考えた。そなたに譲位しよう! そして朕はそなたの側におるのじゃ」
「! な、なんという事を……。そのような考えはお捨てください。なんのために私がこれまで才能あるものを求め、外と中の憂いを取り除いてきたのか。すべては陛下のために……」
「す、すまない。朕はそちと離れたくないのじゃ。せめて、そうじゃそなたを丞相から魏公の位を授けよう」
「……。陛下、お気持ちはありがたいのですが……。まあそのことは後でとりあえず、参りましょう」
曹操に野心はあったが、それは己が天子の御位を得ることではなかった。勿論天子をお守りしたいという劉備の意志とも違う。己の能力を全て発揮して戦乱を沈め、天下を平らげ、腐ったぬるま湯に浸ることなく次々と新鮮な泉を沸かせ、技術、文化、信仰においても向上させることにあった。ただ彼女の高すぎる意識を理解できるものも数少なかった。
銅雀台の宴に荀彧が姿を見せることがなかった。彼もまた曹操が天子を廃し天下を簒奪すると懸念しているようだ。実際に宴で銅雀台の題目を与え詩を詠ませたところ、息子の曹植などは曹操自身をたたえる詩をつくり、また出席者のほとんどはその詩を称えた。平凡ながら献帝を奉る詩を詠む曹丕は皆には不評を買っていたが、曹操自身やはり長子が自分の跡継ぎであると心に決める。
そして病に伏していると門を閉ざし顔を出さない荀彧に見舞いの品を贈った。
使用人が恭しく両手に抱えるほどの木箱を持ってくる。
「魏公よりご主人様へとのことです」
「魏公からか……。そこへ置いて下がるがよい」
「はっ」
寝台から起き出し、弱々しい手付きで箱の蓋を開ける。
「やっ! なんと空ではないか……」
もはや私は無用であると悲嘆にくれたその時、ふわっと甘い香りが荀彧の鼻腔をくすぐる。
「んん? この香りは梅……」
病に伏し、食事も喉に通らなかった彼の口の中は酸味を感じ唾液が沸いてくる。
「梅……。梅の実か……」
久しぶりに口の中に潤いを感じた荀彧は過去の出来事を思い出す。
――行軍中、水が無くなってしまったときであった。日照り続きで井戸も枯れ、川も見当たらぬ時、曹操は「もう少しいけば梅林がある」と兵士たちを奮い立たせ、喉の渇きを忘れさせた。
荀彧も同行しており、実際に梅林はなかったが彼女の機知のおかげで苦難を乗り越えることが出来た。それから梅の季節になると寝所に梅の枝を置き、二人は香りを感じながら一緒に眺めた。
いつからか曹操は夜伽を申し付けることが無くなった。恐らく孕むことが無くなってからであろう。それでも梅の香りが漂う季節と、実がなる季節には荀彧が呼ばれていた。最後に褥に呼ばれたのはいつであったろうか。消えゆく梅の香りが思い出も消し去っていく。最後の一欠けらの香りを胸いっぱいに吸い込んだ時、残り僅かな記憶の中に曹操の言葉を蘇らせた。
『梅は良い。寒さに耐え花を咲かせ、実を結ぶから』
荀彧は自分の血をひく曹丕が曹操の跡を継ぎ、天子をお助けするのだと理解する。董卓は長子を廃したが曹操は長子を用いる。その伝言がこの空箱の中の香りなのだ。
「ああ、我が君、曹操様」
恍惚として中身のない箱の底を見続けていると、初めて出会った時の女の姿の曹操が浮かび上がる。
箱の中で彼女は手招く。暗い箱の中の、漆黒の髪と瞳に、炎のような熱さを持つ我が愛人。
『お前はまだ知らぬことがあるのだぞ?』
「あなたは誰でしょう。教えてください。今すぐ参ります故……」
こと切れた荀彧はしっかりと空箱を胸に抱き、安らかな微笑みを浮かべていた。
劉備が益州に向かっている間、手薄になった荊州を得んと、孫権は攻め込もうとする。しかし妹の孫夫人の存在があり、姻戚関係であるのに攻め入ることは仁義に欠く行為ということで実行できずにいた。そこで孫権は母親の呉国太の危篤という知らせを孫夫人に送る。末娘であり母思いの彼女は居ても立ってもいられなくなった。しかし諸葛亮に知られれば引き留められるであろうと孫夫人は劉備の幼い息子、阿斗の手を引き、こっそりと江東へ向かった。
「静かに早く参るのじゃ」
「どこへ? 母様」
「阿斗や、これから大きな河を下って母の生まれた江東へ参りましょう」
「はあい」
素直な阿斗は揺れる馬車で眠くなったらしく孫夫人の膝で目を閉じる。孫夫人は一度江東へ戻れば、しばらく帰ることが叶わぬかと思い、衝動的に阿斗を連れて出てしまう。せめて劉備の代わりにと。しばらく馬車に揺られ、阿斗の髪を撫でていると後方で馬のいななきが聞こえる。
はっと馬車から顔を出すと、趙雲が追いかけてきていた。
「その馬車、おとまりください!」
もはやここまでかと孫夫人は馬車を止めさせる。眠っている阿斗をそのままにし、外に出て孫夫人は趙雲に対峙する。
「やはり、追手はそなたになるか」
「孫夫人、お戻りください」
「無理じゃ、母上が危篤なのじゃ。死に目に会えぬ親不孝はしたくない」
「そうですか。しかし、阿斗様はお返し願いましょう」
「阿斗は連れておらぬと言ったら?」
「いいえ。その馬車におられるはずです」
「くっ。さすがは父親であるな……」
「――」
「玄徳様も誰も口には出さぬが、押し黙るときの顔がよう似ておる」
「お返し願おう」
「そうであるな。あたくしも母に会うために帰るのじゃからな」
馬車の中の阿斗をそっと抱き上げ、頬ずりをする。
「んん? もう着いたの?」
「いや、やはり帰ろう」
孫夫人はぎゅっと抱きしめた後、阿斗を趙雲に引き渡す。
「んん? 子龍。おひげ痛い」
「阿斗様」
睦まじい二人の様子に孫夫人は自分と母の姿を重ねた。
「趙将軍、そなたは他の将軍と違って功を得ようとはせぬのじゃな。おまけに関将軍も張将軍も主君に諭され、妻を持ち跡継ぎを残しておるというのにそなたは……」
「わたしは主君と阿斗様をお守りすることが第一ですから」
孫夫人はまっすぐな槍と白い馬、跪く彼に誠意を見て取る。
しかし劉備を愛する彼女にとって彼は一番の敵でもある。そこで羨ましいという言葉を飲みこみ最後の憎まれ口をたたくことになる。
「まあ、江東が全土を統一した暁には今度こそ、玄徳様はこちらにおいでになってもらおう」
「――」
「それまで、せいぜい長生きして、お守りしてもらおうか」
「……御意」
ふんっと踵を返し立ち去る孫夫人の後姿を見送りながら、趙雲は長坂坡の戦いで亡くなった糜夫人とのやり取りを思い出した。
――曹操軍に追われ、劉備と数十万の民が逃げ落ちる最中、糜夫人と阿斗がはぐれてしまい、趙雲は二人を探し混雑した中を駆け巡る。
「やはりそなたが来てくれましたか」
「糜夫人っ、さあ、早く殿のところへ!」
「いえ、もう、あたくしは動けません。この子をお世継ぎをどうか……」
「さあっ、馬にお乗りになって!」
「ふう……。阿斗とあなたの一文字に結んだ口元がよく似ている。さよなら、玄徳様、さよなら甘夫人っ」
勢いよく古井戸に糜夫人は身を投げた。趙雲は幼い阿斗をしっかり身体に括り付け、単騎で立ちはだかる曹操軍を掻い潜り劉備の元へたどり着いた。
潔い糜夫人を思い出し、改めて趙雲はしっかりと阿斗を抱き守り抜くことを誓う。それが彼自身の命をも大事にさせ五虎大将軍の中でも唯一天寿を全うできることにつながるのだった。
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