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第二部
◆ ザンの一日 昼編 ②
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本作において大切な連絡があります。
内容は本話のラストに記載します。
=====
午前十一時半。
俺とロナは二階の廊下で合流した。デートの準備が終わったので部屋から出てリビングに向かおうとしたところ、偶然向こうも同じ状況だったようで。
「わわ、同時!」
「だな。朝に引き続き運命を感じるぜ」
こうして待つ事も、待たされることもなく、顔を合わせることができたのさ。
……真面目に一日で同じことが二度とかすごい偶然だな? どんだけ気が合うんだ俺達は。
「あー、しかしまた今日の服装も上手くロナの美しさを際立たせているな。君と言うレディの清純な心を写したような、その爽やかなチェックとミントなスカートがよく似合う。それに、今日は前髪を少しフワッとさせたのかな? いい、とてもビューティフルさ」
「わ、わかる? な、なんかこう髪型の本に『ちょっと変化つけるといつもの日常が変わって見えるよ!』って書いてあったから、た、試してみたの」
「まさにその通りだろう。少なくとも今日の俺は、いつもよりか少しフレッシュな気分でエスコートできるだろうぜ」
正直大して変わらないんだけど、変化は変化だ。
気がついたのなら、きちんと誉めるのがジェントルマンとしてのレディへの礼儀だろう。
ここ最近、ロナは出会った頃より明らかにオシャレを頑張るようになったからな。自由に使える金が増えたからか、あるいは都会に染まり始めてるからか、色々理由はあるだろうが……。
どちらにせよ、ノーメイクでも人前に出て何の問題もないほど美人であるロナが、このままオシャレも極めたら、それこそオーガに金棒。無敵と言っていい。
「もちろんだが、いつもの髪型も捨てがたいぜ? 何をしても美しいんだよなぁ……君は」
「あ、あぅ。えへへ。ありがとぉ……。ざ、ザンも今日もカッコいいよぉ。えと……? いつもより白っぽいね?」
「サンキュ、レディ。実は俺も爽やかな服装にしたい気分だったのさ」
それから俺達は二人仲良く外に出た。
お洒落な紳士と清楚なレディ。側から見たらこれ以上ないほど見麗しいコンビのハズだ。たぶん。
近場にある馬車の乗り場に向かう最中に、今日はもう黄色い屋根の店に行かなくて良くなったため、予定を前倒ししてこの王都の中心部にある博物館 兼 取引所と、いつものエルフの老婦人が営む雑貨屋に行くとロナに告げる。
急な予定変更にも慈悲深い彼女は笑って許してくれたので、そのまま馬車に乗り込んで目的地へと向かうことになった。
そして店主と話していた内容のことや、夕方前の鍛錬メニューについて楽しく会話をしつつ、馬車で揺られて四十分強ほど。
時刻は午後一時少し前にして、俺達は博物館前に着いた。
とはいえ、既に時間はランチタイムなので、まずは前にも行ったステーキハウスで昼食を取ることに。
今朝が魚介スープ、ディナーは鳥肉のフルコースの予定なので、お昼は牛系の肉をメインにしたというわけだ。
まあ、そこまでは良かったんだが……最近のロナは人前で大食いをするのを恥ずかしがるようになってしまったせいか、前にこの店に来た時より頼んだ料理の量がちょっと少なかったんだよな。
あの豪胆な叔父にすらメチャクチャ驚かれたのを内心気にしているんだろう。
本音を言えば、ロナにはいつものように豪快に食事をし、あの幸せで嬉しそうな表情を存分に見せてほしいものなんだが。まあ、こうなったらこうなったでいいさ、無理さえしなければ。
都会に慣れて年頃のレディの感性が備わってきたのは悪いことではないはずだろう、おそらく。
まぁ、周りの目がない俺や知り合いとだけの食事なら大丈夫なようだし、家での食事回数と量を増やせばノープロブレムだろう。
その後、俺達は改めて博物館へと向かい取引所にて売る予定であった『雪隠れの弓 ラグフット』『術技の札 隠雪氷撃』『魔法の札 フレアオン=マリオニクス』の査定を頼んだ。
前回ほど順番を待たされず、すぐに査定結果も出て、それぞれ順に千六百九十万ベル、千五百四十万ベル、二千四百万ベルになると鑑定士から告げられる。
なるほど、こうなったか。
……少し前にちょっとだけ読んだ、この国における宝具の売買に関する専門書によれば。
使うと消える札系の宝具より、きちんとした形として残るアイテムや武具系の宝具の方が高く取引されるみたいだが。
それにも関わらず今回一番高いのは魔法の札である『フレアオン=マリオニクス』なのは、やはり使い勝手の問題なのだろう。
うーん、ここが弓と術技の力を活かせる雪国ならまた違ったのかもな?
ちなみに、その本には買い取った額の三割弱から四割ほどを上乗せした値段が、博物館側の売値になるとも書いてあった。
そうなると、『フレアオン=マリオニクス』はだいたい三千百万ベルで販売される計算になるんだな。
とりあえず取引所での結果は一旦保留にして、今度は老婦人の古物店へと足を運ぶ。
ああ……非常に残念だがロナとの博物館デートはまた今度だ。残念すぎて涙が出てきそう。
とにかく店に辿り着いたところで、半月振りに会うエルフ族のレディ達に紳士的な賛美の言葉を贈ったり、軽い雑談を交えつつ、取引所と同様に査定を依頼した。
老婦人が提案した結果は『フレアオン=マリオニクス』が二千七百万ベル。
そして後の二つは、一応買取額を提示してくれたものの、「個人経営のこの店じゃ中々買い手が現れないだろうから取引所より安い金額しか出せない」と老婦人から正直に言われてしまった。
相変わらずとっても親切なマダムだぜ。
となれば彼女の言う通り素直に取引所に渡すのがいいだろう。
宝具の目線に立ってみても、多くの人の目に触れられる場所に置かれ、使いこなせる人間に出会える確率を上げてもらった方が嬉しいんじゃないだろうか。
まあ、俺は宝具じゃないからわかんないけどな。
そういうわけで魔法の札は老婦人の店で、弓と術技の札は取引所で売却を約束し、近いうちに五千九百三十万ベルの収入が得られることになった。
黄色い屋根の店で二千万弱ほど貰えることもわかってるし、合わせて約八千万ベルか……。うん、中々いい収入だ。
ホントはこれをロナと等しく山分けしたいところ。
しかし俺が箱開け屋として仕事をして手に入れたもののうち、仕事に使えるアイテムはロナにも分けるが、売ってしまったモノの収入は全て俺の取り分になる手筈となっている。これは彼女から言ったことだ。
今回は弓と術技の札とウロコがそれに該当する。
少しややこしいから、暗算で済ませず時間があるときにしっかり計算し、しっかり当分しないとな。
……そして、あっという間に時刻は午後三時半になった。
加えてティータイムとして途中でカフェに入って優雅な時間を過ごしたため、気がつけば午後四時になってしまった。
時間が余れば書店に寄りたかったんだが、この後に俺の剣術と武術の練習、そしてディナーの準備なども控えてることを考えると、とてもじゃないがそんな余裕はないだろう。
強い戦士を目指すロナを紳士的かつクレバーに全力で支えるため、関連する教養を身につけようと、最近は専門書や指南書や図鑑を買い漁っては暇がある時に読んでるが、そろそろその本のストックが尽きそうなんだよな。
明日か明後日にでも買いに行ければいいが……。
「今日も楽しかったね!」
そんなこんなで、帰りの馬車の中。
俺の最高に可憐な相棒がニッコニコに微笑みながらそう語りかけてきた。
そのあまりの笑顔の眩しさに、思わず薔薇の花束を渡して口説きそうになったほどだ。時間ないから我慢するがな。
ぶっちゃけ、今日は用事を済ませただけだから楽しいことなんて何もしていないし、なんなら元々商売の話しかしないんだから、ロナは家で留守番して鍛錬するのが一番効率よかったはず。
だが、そんな理屈は関係ない。
彼女がここまで嬉しそうに「楽しかった」と言ってくれたのなら、今日の予定も全部うまくいったってことでいいだろう。うん、それで間違いないさ。
「ああ、俺にとっても良いひとときだった。なに、理由なんて一つさ。君という麗しいレディと一緒だったからだよ」
「……っ! え、えへへ。そだねぇ……えへへへ」
馬車の運転席から、若い男の御者の、チッという軽い舌打ちが聞こえてくる。
フッ……フハハハハ! どうだ羨ましいだろう。
俺自身もそう思うもんね。
=====
改めてご案内します。
本作品において、非常に大事な連絡があります。
詳しくは私の近況ボードをご覧ください。
内容だけ先に簡潔に述べますと、
・本作の更新を停止し、作品自体も削除をする
・その理由
となっております。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。
内容は本話のラストに記載します。
=====
午前十一時半。
俺とロナは二階の廊下で合流した。デートの準備が終わったので部屋から出てリビングに向かおうとしたところ、偶然向こうも同じ状況だったようで。
「わわ、同時!」
「だな。朝に引き続き運命を感じるぜ」
こうして待つ事も、待たされることもなく、顔を合わせることができたのさ。
……真面目に一日で同じことが二度とかすごい偶然だな? どんだけ気が合うんだ俺達は。
「あー、しかしまた今日の服装も上手くロナの美しさを際立たせているな。君と言うレディの清純な心を写したような、その爽やかなチェックとミントなスカートがよく似合う。それに、今日は前髪を少しフワッとさせたのかな? いい、とてもビューティフルさ」
「わ、わかる? な、なんかこう髪型の本に『ちょっと変化つけるといつもの日常が変わって見えるよ!』って書いてあったから、た、試してみたの」
「まさにその通りだろう。少なくとも今日の俺は、いつもよりか少しフレッシュな気分でエスコートできるだろうぜ」
正直大して変わらないんだけど、変化は変化だ。
気がついたのなら、きちんと誉めるのがジェントルマンとしてのレディへの礼儀だろう。
ここ最近、ロナは出会った頃より明らかにオシャレを頑張るようになったからな。自由に使える金が増えたからか、あるいは都会に染まり始めてるからか、色々理由はあるだろうが……。
どちらにせよ、ノーメイクでも人前に出て何の問題もないほど美人であるロナが、このままオシャレも極めたら、それこそオーガに金棒。無敵と言っていい。
「もちろんだが、いつもの髪型も捨てがたいぜ? 何をしても美しいんだよなぁ……君は」
「あ、あぅ。えへへ。ありがとぉ……。ざ、ザンも今日もカッコいいよぉ。えと……? いつもより白っぽいね?」
「サンキュ、レディ。実は俺も爽やかな服装にしたい気分だったのさ」
それから俺達は二人仲良く外に出た。
お洒落な紳士と清楚なレディ。側から見たらこれ以上ないほど見麗しいコンビのハズだ。たぶん。
近場にある馬車の乗り場に向かう最中に、今日はもう黄色い屋根の店に行かなくて良くなったため、予定を前倒ししてこの王都の中心部にある博物館 兼 取引所と、いつものエルフの老婦人が営む雑貨屋に行くとロナに告げる。
急な予定変更にも慈悲深い彼女は笑って許してくれたので、そのまま馬車に乗り込んで目的地へと向かうことになった。
そして店主と話していた内容のことや、夕方前の鍛錬メニューについて楽しく会話をしつつ、馬車で揺られて四十分強ほど。
時刻は午後一時少し前にして、俺達は博物館前に着いた。
とはいえ、既に時間はランチタイムなので、まずは前にも行ったステーキハウスで昼食を取ることに。
今朝が魚介スープ、ディナーは鳥肉のフルコースの予定なので、お昼は牛系の肉をメインにしたというわけだ。
まあ、そこまでは良かったんだが……最近のロナは人前で大食いをするのを恥ずかしがるようになってしまったせいか、前にこの店に来た時より頼んだ料理の量がちょっと少なかったんだよな。
あの豪胆な叔父にすらメチャクチャ驚かれたのを内心気にしているんだろう。
本音を言えば、ロナにはいつものように豪快に食事をし、あの幸せで嬉しそうな表情を存分に見せてほしいものなんだが。まあ、こうなったらこうなったでいいさ、無理さえしなければ。
都会に慣れて年頃のレディの感性が備わってきたのは悪いことではないはずだろう、おそらく。
まぁ、周りの目がない俺や知り合いとだけの食事なら大丈夫なようだし、家での食事回数と量を増やせばノープロブレムだろう。
その後、俺達は改めて博物館へと向かい取引所にて売る予定であった『雪隠れの弓 ラグフット』『術技の札 隠雪氷撃』『魔法の札 フレアオン=マリオニクス』の査定を頼んだ。
前回ほど順番を待たされず、すぐに査定結果も出て、それぞれ順に千六百九十万ベル、千五百四十万ベル、二千四百万ベルになると鑑定士から告げられる。
なるほど、こうなったか。
……少し前にちょっとだけ読んだ、この国における宝具の売買に関する専門書によれば。
使うと消える札系の宝具より、きちんとした形として残るアイテムや武具系の宝具の方が高く取引されるみたいだが。
それにも関わらず今回一番高いのは魔法の札である『フレアオン=マリオニクス』なのは、やはり使い勝手の問題なのだろう。
うーん、ここが弓と術技の力を活かせる雪国ならまた違ったのかもな?
ちなみに、その本には買い取った額の三割弱から四割ほどを上乗せした値段が、博物館側の売値になるとも書いてあった。
そうなると、『フレアオン=マリオニクス』はだいたい三千百万ベルで販売される計算になるんだな。
とりあえず取引所での結果は一旦保留にして、今度は老婦人の古物店へと足を運ぶ。
ああ……非常に残念だがロナとの博物館デートはまた今度だ。残念すぎて涙が出てきそう。
とにかく店に辿り着いたところで、半月振りに会うエルフ族のレディ達に紳士的な賛美の言葉を贈ったり、軽い雑談を交えつつ、取引所と同様に査定を依頼した。
老婦人が提案した結果は『フレアオン=マリオニクス』が二千七百万ベル。
そして後の二つは、一応買取額を提示してくれたものの、「個人経営のこの店じゃ中々買い手が現れないだろうから取引所より安い金額しか出せない」と老婦人から正直に言われてしまった。
相変わらずとっても親切なマダムだぜ。
となれば彼女の言う通り素直に取引所に渡すのがいいだろう。
宝具の目線に立ってみても、多くの人の目に触れられる場所に置かれ、使いこなせる人間に出会える確率を上げてもらった方が嬉しいんじゃないだろうか。
まあ、俺は宝具じゃないからわかんないけどな。
そういうわけで魔法の札は老婦人の店で、弓と術技の札は取引所で売却を約束し、近いうちに五千九百三十万ベルの収入が得られることになった。
黄色い屋根の店で二千万弱ほど貰えることもわかってるし、合わせて約八千万ベルか……。うん、中々いい収入だ。
ホントはこれをロナと等しく山分けしたいところ。
しかし俺が箱開け屋として仕事をして手に入れたもののうち、仕事に使えるアイテムはロナにも分けるが、売ってしまったモノの収入は全て俺の取り分になる手筈となっている。これは彼女から言ったことだ。
今回は弓と術技の札とウロコがそれに該当する。
少しややこしいから、暗算で済ませず時間があるときにしっかり計算し、しっかり当分しないとな。
……そして、あっという間に時刻は午後三時半になった。
加えてティータイムとして途中でカフェに入って優雅な時間を過ごしたため、気がつけば午後四時になってしまった。
時間が余れば書店に寄りたかったんだが、この後に俺の剣術と武術の練習、そしてディナーの準備なども控えてることを考えると、とてもじゃないがそんな余裕はないだろう。
強い戦士を目指すロナを紳士的かつクレバーに全力で支えるため、関連する教養を身につけようと、最近は専門書や指南書や図鑑を買い漁っては暇がある時に読んでるが、そろそろその本のストックが尽きそうなんだよな。
明日か明後日にでも買いに行ければいいが……。
「今日も楽しかったね!」
そんなこんなで、帰りの馬車の中。
俺の最高に可憐な相棒がニッコニコに微笑みながらそう語りかけてきた。
そのあまりの笑顔の眩しさに、思わず薔薇の花束を渡して口説きそうになったほどだ。時間ないから我慢するがな。
ぶっちゃけ、今日は用事を済ませただけだから楽しいことなんて何もしていないし、なんなら元々商売の話しかしないんだから、ロナは家で留守番して鍛錬するのが一番効率よかったはず。
だが、そんな理屈は関係ない。
彼女がここまで嬉しそうに「楽しかった」と言ってくれたのなら、今日の予定も全部うまくいったってことでいいだろう。うん、それで間違いないさ。
「ああ、俺にとっても良いひとときだった。なに、理由なんて一つさ。君という麗しいレディと一緒だったからだよ」
「……っ! え、えへへ。そだねぇ……えへへへ」
馬車の運転席から、若い男の御者の、チッという軽い舌打ちが聞こえてくる。
フッ……フハハハハ! どうだ羨ましいだろう。
俺自身もそう思うもんね。
=====
改めてご案内します。
本作品において、非常に大事な連絡があります。
詳しくは私の近況ボードをご覧ください。
内容だけ先に簡潔に述べますと、
・本作の更新を停止し、作品自体も削除をする
・その理由
となっております。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。
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"(ノ*>∀<)ノ
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お疲れ様でした。
たった二日の間で凄い成長。
楽しく読ませて頂きました。
ここで終わってしまうのは残念ですが、他の作品で再び見れるのを楽しみにしています。
次回作もお待ちしてます。
ありがとうございます!