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266話 ケル君の運動とガーベラさんの仕事事情でございます!
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【うー】
「でも三ヶ月のブランクがあるのに全然鈍ってない感じなのはすごいよケル」
【でも成長はしてないんだゾ】
翌日、外に出てケル君は久しぶりに運動をした。流石に散歩くらいは今までしてたけど、きちんとした戦闘訓練には時間が空いている。ロモンちゃんの言う通りあれだけ期間が空いていたにもかかわらずケル君の実力はまったく変わっていなかった。
「すごいなぁ、なにか鈍らない秘訣でもあるの?」
【読んでた本の中に「真の強者たるもの、夢の中でも戦闘をするべし」っていう言葉があったんだゾ。つまり頭の中で戦った時の想像をしてるんだゾ】
つまりイメージトレーニングかしら? でもそれだけで……いやケル君なら難なくやりそうね。たっぷり寝てるから時間もあるし。特訓のし直しとかしなくて良さそう。さすが私たちの中でも天才度は随一ね。
【それよりオイラ、ロモンがビュンビュンと動けるようになってるのに驚いてるんだゾ、アイリスはわかるゾ、でもみっちり特訓してたとはいえロモンが……】
「わ、私だって普通の人よりは元から運動神経良かったよ!?」
【グライドの血を引いてるんだからそれは当然だゾ。でも速さが明らかに上がってるってわかるほど特訓を頑張るとは思ってなかったゾ】
「そっか。じゃあケル、私と速さ対決してみる?」
【いいゾ】
ケル君とロモンちゃんは速さ対決を始めた。その結果、勝ったのはケル君だった。まあ流石に力や速さが売りの魔物にまだ三ヶ月しか特訓してない私たちが勝つのは無理よね。ただ小さい範囲の間ならロモンちゃんの方が早い。
【なるほゾー。長距離ならオイラに圧倒的に分があるけど、瞬間的な速さは抜いてるのかゾ。人間と犬の魔物じゃ体の構造が違うのによくやるんだゾ】
「へへん!」
【リンネと同じ特訓してたらそうなるのも頷けるゾ。オイラもおんなじようなメニューをやることにするゾ。リンネは今まではオイラに合わせたメニューを組んでくれてたよね? 今回からはグライド方式でやってほしいゾ】
それを言ったら魔法の覚えやすさが圧倒的に人間より下の犬の魔物であるケル君が私たちと遜色ないくらいの魔法の使い手なのだけど。あ、私もゴーレムだからそれに該当するのか。なんか嬉しい。
リンネちゃんはケル君に頼まれた通り、これまで私たちが三ヶ月やってきたお父さんの特権方法を教えた。さすがと言うべきか、ほとんどを一回で覚えてしまった。
「さすがはケルだね」
「ロモン達が数日かけて下準備したメニューをもうこなせるまでになってるよ」
「とんでもないですね……」
【ゾー、これは流石のオイラもこたえるゾ。三ヶ月ぶりの本格的な運動でこれを選んだのは間違いだったゾ……】
とてもそういう風には見えないんだけどな。疲れなんて全然見えない。でもケル君は一通り終わると一番小さい姿に幼体化してからその場にゴロンとわざとらしく転がった。
【つーかーれーたーゾー】
「わかるんだからねケル、歩いて帰れるくらいには体力残ってるの」
【抱っこしてほしいゾー。ロモンー】
「もー、仕方ないなー」
ケル君はロモンちゃんに抱きかかえられて満足そうにしてる。やっぱりまだ子供っぽいところあるわね。あんなに頼もしくなったのに。私は私で小さくなってリンネちゃんと手を繋ぐことにした。
そのまま私たちは追加契約した宿に帰る。そうだ、昨日の夕飯はステーキだったし、今日はシチューにでもしようかしら。
◆◆◆
「というわけなのです」
「なるほど」
そろそろ冒険者としての活動を再開させようかという相談をガーベラさんにしてみた。ガーベラさんはダンジョンを二つもクリアしていてすでにお金持ちだけど、ランクを上げるのが目的なのか依頼はきちんとこなしてる。だから私たちとは別方向でどんどん強くなっていってるわね。確実に三ヶ月前ダンジョンをクリアした時より強くなってる。
「アイリス達は国から頼られることもあるんだし、そんなに急がなくてもいいんじゃないかな」
「確かにそうですね。ではもう少しゆっくりしてみますか。1日で終わる仕事が出てくるまで待つなどして。そういえばガーベラさん、一ヶ月前からAランクの依頼にも挑戦しているのですよね?」
「そうだよ」
「どうですか、難しいですか?」
私はガーベラさんに会うたびに最低一回は回復魔法をかけている。それは彼がAランクの依頼をこなすようになってからも続けているけれど、大怪我は一度も見たことがない。軽い切り傷と腕の打撲が揃ってあったのが一番だったかな。
私の問いにガーベラさんは首を振った。
「Aランクの魔物を単独で倒せるなら難しいことはないよ。なんなら今度また、一緒に仕事に行こうか」
「そうですね! ……今度は広めの馬車をとりましょうね」
「あはは、そうだね」
仕切りをしていたとはいえ、最後に一緒に仕事した時は私とガーベラさんで寝る部屋が同じだったから。そうよね、それももう100日以上前のことなのよね。今の私ならどうなんだろう、仕切りも取れたりするのかな……。あ、そうだ。
「あれからガーベラさんがこなした仕事は最長で二泊でしたっけ? たしか昨日も一泊必要な仕事でしたね。私以外の女性と相部屋になったりしてませんかー?」
「し、してないよ! 安心して。そこらへんは気をつけてるよ」
Bランクの冒険者がAランクの仕事に行くには、同じBランクの冒険者と組むかAランク冒険者のお供をするの。ガーベラさんの顔に嘘はないわね、なんか嬉しい。それこそ仕事終わってからすぐ私に会いにギルドに来てくれてるんだから、疑うなんてことはしちゃいけないんだけど……ガーベラさんに非の打ち所がないから心配になる。
「おー、今日も仲良さそうにしてるな」
「ギルドマスター」
「ガーベラ、お前さんに連絡だぜ」
「俺に……?」
ガーベラさんはニヤニヤしてるギルドマスターから紙を受け取った。そこにはガーベラさんがAランクに昇級したということが書かれていた。
「……マジですか」
「おお、マジだ。ぶっちゃけかなり早いけどな。……だがお前、一ヶ月前にAランクの依頼も受けるようになってからよ、本来の引受人のAランクの冒険者を差し置いて単身でAランクの魔物を倒したりしただろ」
「は、はい。しましたよ」
「特に今回の依頼は凄まじかったらしいな。一人でAランク2匹を連続で相手して倒しちまって、無傷だったんだって? 正直Sランクでもおかしくねぇよ」
ええぇ…そんなことになってたのね。仕事内容と何をしたかまでは聞いてなかったけど、相当ね。それにしてもガーベラさんがAランクかぁ……! Aランクは他のランクと違ってAランク同士で組んでSランクに挑むってことはできないけど、Sランクと組むことはできる。つまりSランクの依頼も受けられるようになったってことね。
私は思わずガーベラさんに飛びついた。飛びつく瞬間に冷静になったから、抱きついたのは腕だけ。
「おわっ、あ、アイリス……!」
「おめでとうございます、ガーベラさんっ」
「ありがとうアイリス」
ガーベラさんは私の目をまっすぐ見てくる。見つめられすぎて照れてくるくらい。そしてゆっくりと口を開いた。
「……Aランクになったらアイリスに言いたいことがあるんだ」
「言いたいことですか?」
「わ、悪いことじゃないよ。お願いに近いんだ」
「なんですか?」
ガーベラさんからのお願い……。何かしら、やっぱりもっとスキンシップを増やして欲しいとかかな? でもこれだけ頑張ってるんだし、わ、私の抵抗力も下がってきてるし、き、キスとか……頸を触らせてあげるとかくらいなら考えてもいいかもしれない。
「も、もし俺がこのままSランクになったら……」
「え、Sランクになったら?」
「お、俺とい……いっ……いっ……」
「い?」
「い、いっ…しょ………いっし________」
「バカヤロウ、早く言え!」
「んぐぉあ!?」
顔を真っ赤にして言いづらそうにしていたガーベラさんは、ギルドマスターに思い切り背中を叩かれて頭を机に激突させてしまった。ものすごく痛そう。
「あ、わるい。力の加減間違えた」
ガーベラさんって私のことになるとみんなから雑に扱われるようになるような気がする。それより、い、いっしょ……がなんなのかしら。とても気になる。
#####
次の投稿は12/10です!
……なんと私のもう一つの作品、Levelmakerの書籍化本の発売日ですか。なんだか緊張しますよぅ。
##########
前回はネタが思いつかなくて休んでしまい申し訳御座いませんでした。あの話のオマケとして書いたものはこちらに貼り付けておきますね。
<閑話>
【そういえば、リンネとロモンってすごく仲がいいんだゾ】
ケル君がそう言った。たしかに二人ともとても仲がいい、そんなことは誰が見てもわかるけれど、なんで唐突にそんなことを言ったのかしら。ケル君の方が私より二人といた時間は長いはずなんだけど。……それも二人がいない時に私に訊くのね。
「そうですね、ずっと一緒に過ごしてきたので当然ではないでしょうか」
【ゾー、でもあれはどうなんだろ……】
「あれ、とはなんですか?」
【アイリスがガーベラとデート行ってた日のことなんだゾ……】
◆◆◆
その日、オイラはアイリスがおめかしして出ていったあと、お昼寝してたんだゾ。いつものことなんだゾ。ウトウトして自分でもあと少しで眠りにつくってことがわかった頃、ロモンとリンネが仲良く喋ってて、その内容が偶然耳に入ったんだゾ。
「アイリスちゃんはデートだし、ケルは寝ちゃったね」
「そうだね、お姉ちゃん」
「いいよね、アイリスちゃん。誰かとお付き合いするのってすごく楽しそう。ぼくもやっぱりそのうち結婚したいって思えるような恋人が欲しいな! お父さんみたいな人がいいや」
「私も! でもお姉ちゃんに彼氏ができたら、私はちょっと寂しいなぁ……」
ロモンがそう言ったんだゾ。ロモンにとって自分の片割れみたいなものだし理解はできる感情なんだゾ。でもここから雲行きが怪しくなるんだゾ。
「大丈夫だよ、なんとなくだけど、ぼくに恋人ができる頃にはロモンにも同じようにできてる気がするよ。寂しくないよ?」
「んー、なんていえばいいんだろう。お姉ちゃん……」
「どうしたのロモン、お酒でも飲んだの? な、なんかおかしいよ。ロモンだってぼくと変わらない考えしてだはずでしょ?」
「ああー、そういえばさっき、お水と間違えて料理酒飲んじゃったの……一応すぐ吐き出したけど……」
「えぇ!? 何やってるのさ!」
「寝ぼけてたんだよね……」
二人とも普段はいろんなことをきっちりこなすけど、たまにこう言うことやらかすんだゾ。それぞれ年に一回あるかないかだゾ。にしてもわざわざキッチンから料理酒取り出して水と間違えて飲むなんて普通やらないゾ。つまりロモンはアイリスが出てってからお酒を飲んで、酔っ払ってたんだゾ。
「もう。とりあえずお水のんで寝直したら?」
「んー、お姉ちゃん添い寝してー」
「まあ、いいよ!」
そう言うわけで二人は普段着のまま布団の中に潜ったんだゾ。そしたらすぐにロモンがリンネに抱きついたんだゾ。ちなみにオイラは薄め開けて見てるんだゾ、お互いがお互いに注目してるからバレなかったんだゾ。
「わぁ!」
「えへへー、お姉ちゃん大好きっ」
「えへへ、ぼくもだよロモン」
「お姉ちゃんって本当にかわいいよねっ……」
「ぼくよりロモンの方がかわいいよ」
「……かわいい、お姉ちゃん。とっても」
「……ロモン? やっぱり酔っ払ってるよね?」
「うん、酔っ払ってる。今の私ならなんでもできそう」
「でもお昼寝しようね」
「お姉ちゃん、ちょっとごめんね」
「うん? ……ひぃゃん!」
ロモンが顔を赤くしながらリンネの胸を鷲掴みにしたんだゾ。去年よりは明らかに掴みやすそうなんだゾ。
「やわらか~い」
「ち、ちょっとロモン! やめようね、これはお風呂の時にだけやるものでしょ!」
「ふかふかしてる……」
「そりゃあちょっとは大きくなったから。それはロモンも同じでしょ? それよりもうやめようね、くすぐったいよ」
「まだ触ってたい」
「ほとんど同じなんだから自分のでもいいでしょ!」
「わかった、お姉ちゃんの反応が楽しいんだ……」
「えぇ、タチ悪いよ……」
それからロモンはリンネのお尻や胸をペトペト触ってたんだゾ。ロモンに多分、お酒は飲ませない方がいいゾ。少なくとももうちょっと免疫つけてからじゃないとダメだゾ。心を許してる相手に何やらかすかわかったもんじゃないゾ。これが異性なら大変なことになってたゾ。
「かわいーなー」
「あっ……んっ。そ、そんなやるんだったらぼくもやり返すからね! んくぅ…」
「もちろんいいよー」
「はううぅ、元に戻ってよロモン!」
「お姉ちゃんもお酒を飲めば私との同じになるんじゃない?」
「やだよ、暴走したくないよ」
「じゃあおとなしく私に身を委ねて……」
「いーやだー! なんだかロモン、アイリスちゃんが着替えてる最中のぼく達を見てる時みたいな目つきになってるよ!?」
「んふふー」
ところでアイリスのあの眼差しはなんか意味があるのかゾ? え、見守ってるだけ? ま、それならいいんだゾ。
とりあえずここでロモンが大胆な行動に出たんだゾ。
「ちゅっ」
「わぁ!?」
「お姉ちゃんの唇柔らかい……」
「ろ、ロモンとキスなんて久しぶりだよ」
「いいじゃんたまには……あれ?」
「ど、どうしたのロモン」
「なんだか満足したら眠く……なっ……」
そしてロモンは動きを止めたんだゾ。つまり寝ちゃったんだゾ。リンネはハーってため息をついてから、にっこり笑ってロモンを抱きしめて一緒に寝ちゃったんだゾ。オイラもわけわかんなかったけど、とりあえず寝ることにしたんだゾ。
◆◆◆
【とまぁ、こんな感じだったんだけど、あれって普通の姉妹愛ってことでいいんだゾ?】
「は、はひいいんではないでほうか? 姉妹でも好きな時はそれほど好きだと思いますほ」
なんて甘美な話なんだろう。ロモンちゃんがリンネちゃんを揉みまくってるとこ見たかった。キスしてるシーンも見たかった。想像しただけでよだれか垂れてきそう。
【なんか、今のアイリスの方があの時のロモンよりやばい感じがするんだゾ。……なんで鼻から血が出てるんだゾ?】
「こ、これは気にしないでください!!」
「「ただいまー!」」
しまった、お買い物に出かけてた二人が戻ってきた。こんな変態的な姿を見られたら私、恥ずかしさで死んでしまう!
とりあえず出た分の鼻血は拭いてしまって、回復魔法で止血しましょう。これでよし。二人をお迎えしなければ。
「お、おかえりなさい二人とも! ところでお二人ってキスするんですか?」
しまった、バラのような光景を見たさに口が暴走した! ああ、もし今の私をガーベラさんに見られたら信用がだいぶ失われるに違いないわ。それより今の言い訳どうしよう。
「するよ! チュッ。ほらね?」
「もう、お姉ちゃんったら」
なんとケル君のお話とは変わって、リンネちゃんからロモンちゃんのほっぺたに! うはあああっ! なんて可愛らしい! ぜひ私にもして欲しいけれど、人型になってから機会が減って……。
「アイリスちゃんもして欲しそうな顔してるね」
「お願いします」
「仕方ないなー、いいよ!」
「アイリスちゃんだから特別だよ!」
お二人は私の両頬からキスをしてくださいました。なんたる幸せなんでしょうか。これは至福ですね。ぐへへへへ。
【もしかして一番おかしいのって、アイリスかゾ?】
「でも三ヶ月のブランクがあるのに全然鈍ってない感じなのはすごいよケル」
【でも成長はしてないんだゾ】
翌日、外に出てケル君は久しぶりに運動をした。流石に散歩くらいは今までしてたけど、きちんとした戦闘訓練には時間が空いている。ロモンちゃんの言う通りあれだけ期間が空いていたにもかかわらずケル君の実力はまったく変わっていなかった。
「すごいなぁ、なにか鈍らない秘訣でもあるの?」
【読んでた本の中に「真の強者たるもの、夢の中でも戦闘をするべし」っていう言葉があったんだゾ。つまり頭の中で戦った時の想像をしてるんだゾ】
つまりイメージトレーニングかしら? でもそれだけで……いやケル君なら難なくやりそうね。たっぷり寝てるから時間もあるし。特訓のし直しとかしなくて良さそう。さすが私たちの中でも天才度は随一ね。
【それよりオイラ、ロモンがビュンビュンと動けるようになってるのに驚いてるんだゾ、アイリスはわかるゾ、でもみっちり特訓してたとはいえロモンが……】
「わ、私だって普通の人よりは元から運動神経良かったよ!?」
【グライドの血を引いてるんだからそれは当然だゾ。でも速さが明らかに上がってるってわかるほど特訓を頑張るとは思ってなかったゾ】
「そっか。じゃあケル、私と速さ対決してみる?」
【いいゾ】
ケル君とロモンちゃんは速さ対決を始めた。その結果、勝ったのはケル君だった。まあ流石に力や速さが売りの魔物にまだ三ヶ月しか特訓してない私たちが勝つのは無理よね。ただ小さい範囲の間ならロモンちゃんの方が早い。
【なるほゾー。長距離ならオイラに圧倒的に分があるけど、瞬間的な速さは抜いてるのかゾ。人間と犬の魔物じゃ体の構造が違うのによくやるんだゾ】
「へへん!」
【リンネと同じ特訓してたらそうなるのも頷けるゾ。オイラもおんなじようなメニューをやることにするゾ。リンネは今まではオイラに合わせたメニューを組んでくれてたよね? 今回からはグライド方式でやってほしいゾ】
それを言ったら魔法の覚えやすさが圧倒的に人間より下の犬の魔物であるケル君が私たちと遜色ないくらいの魔法の使い手なのだけど。あ、私もゴーレムだからそれに該当するのか。なんか嬉しい。
リンネちゃんはケル君に頼まれた通り、これまで私たちが三ヶ月やってきたお父さんの特権方法を教えた。さすがと言うべきか、ほとんどを一回で覚えてしまった。
「さすがはケルだね」
「ロモン達が数日かけて下準備したメニューをもうこなせるまでになってるよ」
「とんでもないですね……」
【ゾー、これは流石のオイラもこたえるゾ。三ヶ月ぶりの本格的な運動でこれを選んだのは間違いだったゾ……】
とてもそういう風には見えないんだけどな。疲れなんて全然見えない。でもケル君は一通り終わると一番小さい姿に幼体化してからその場にゴロンとわざとらしく転がった。
【つーかーれーたーゾー】
「わかるんだからねケル、歩いて帰れるくらいには体力残ってるの」
【抱っこしてほしいゾー。ロモンー】
「もー、仕方ないなー」
ケル君はロモンちゃんに抱きかかえられて満足そうにしてる。やっぱりまだ子供っぽいところあるわね。あんなに頼もしくなったのに。私は私で小さくなってリンネちゃんと手を繋ぐことにした。
そのまま私たちは追加契約した宿に帰る。そうだ、昨日の夕飯はステーキだったし、今日はシチューにでもしようかしら。
◆◆◆
「というわけなのです」
「なるほど」
そろそろ冒険者としての活動を再開させようかという相談をガーベラさんにしてみた。ガーベラさんはダンジョンを二つもクリアしていてすでにお金持ちだけど、ランクを上げるのが目的なのか依頼はきちんとこなしてる。だから私たちとは別方向でどんどん強くなっていってるわね。確実に三ヶ月前ダンジョンをクリアした時より強くなってる。
「アイリス達は国から頼られることもあるんだし、そんなに急がなくてもいいんじゃないかな」
「確かにそうですね。ではもう少しゆっくりしてみますか。1日で終わる仕事が出てくるまで待つなどして。そういえばガーベラさん、一ヶ月前からAランクの依頼にも挑戦しているのですよね?」
「そうだよ」
「どうですか、難しいですか?」
私はガーベラさんに会うたびに最低一回は回復魔法をかけている。それは彼がAランクの依頼をこなすようになってからも続けているけれど、大怪我は一度も見たことがない。軽い切り傷と腕の打撲が揃ってあったのが一番だったかな。
私の問いにガーベラさんは首を振った。
「Aランクの魔物を単独で倒せるなら難しいことはないよ。なんなら今度また、一緒に仕事に行こうか」
「そうですね! ……今度は広めの馬車をとりましょうね」
「あはは、そうだね」
仕切りをしていたとはいえ、最後に一緒に仕事した時は私とガーベラさんで寝る部屋が同じだったから。そうよね、それももう100日以上前のことなのよね。今の私ならどうなんだろう、仕切りも取れたりするのかな……。あ、そうだ。
「あれからガーベラさんがこなした仕事は最長で二泊でしたっけ? たしか昨日も一泊必要な仕事でしたね。私以外の女性と相部屋になったりしてませんかー?」
「し、してないよ! 安心して。そこらへんは気をつけてるよ」
Bランクの冒険者がAランクの仕事に行くには、同じBランクの冒険者と組むかAランク冒険者のお供をするの。ガーベラさんの顔に嘘はないわね、なんか嬉しい。それこそ仕事終わってからすぐ私に会いにギルドに来てくれてるんだから、疑うなんてことはしちゃいけないんだけど……ガーベラさんに非の打ち所がないから心配になる。
「おー、今日も仲良さそうにしてるな」
「ギルドマスター」
「ガーベラ、お前さんに連絡だぜ」
「俺に……?」
ガーベラさんはニヤニヤしてるギルドマスターから紙を受け取った。そこにはガーベラさんがAランクに昇級したということが書かれていた。
「……マジですか」
「おお、マジだ。ぶっちゃけかなり早いけどな。……だがお前、一ヶ月前にAランクの依頼も受けるようになってからよ、本来の引受人のAランクの冒険者を差し置いて単身でAランクの魔物を倒したりしただろ」
「は、はい。しましたよ」
「特に今回の依頼は凄まじかったらしいな。一人でAランク2匹を連続で相手して倒しちまって、無傷だったんだって? 正直Sランクでもおかしくねぇよ」
ええぇ…そんなことになってたのね。仕事内容と何をしたかまでは聞いてなかったけど、相当ね。それにしてもガーベラさんがAランクかぁ……! Aランクは他のランクと違ってAランク同士で組んでSランクに挑むってことはできないけど、Sランクと組むことはできる。つまりSランクの依頼も受けられるようになったってことね。
私は思わずガーベラさんに飛びついた。飛びつく瞬間に冷静になったから、抱きついたのは腕だけ。
「おわっ、あ、アイリス……!」
「おめでとうございます、ガーベラさんっ」
「ありがとうアイリス」
ガーベラさんは私の目をまっすぐ見てくる。見つめられすぎて照れてくるくらい。そしてゆっくりと口を開いた。
「……Aランクになったらアイリスに言いたいことがあるんだ」
「言いたいことですか?」
「わ、悪いことじゃないよ。お願いに近いんだ」
「なんですか?」
ガーベラさんからのお願い……。何かしら、やっぱりもっとスキンシップを増やして欲しいとかかな? でもこれだけ頑張ってるんだし、わ、私の抵抗力も下がってきてるし、き、キスとか……頸を触らせてあげるとかくらいなら考えてもいいかもしれない。
「も、もし俺がこのままSランクになったら……」
「え、Sランクになったら?」
「お、俺とい……いっ……いっ……」
「い?」
「い、いっ…しょ………いっし________」
「バカヤロウ、早く言え!」
「んぐぉあ!?」
顔を真っ赤にして言いづらそうにしていたガーベラさんは、ギルドマスターに思い切り背中を叩かれて頭を机に激突させてしまった。ものすごく痛そう。
「あ、わるい。力の加減間違えた」
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<閑話>
【そういえば、リンネとロモンってすごく仲がいいんだゾ】
ケル君がそう言った。たしかに二人ともとても仲がいい、そんなことは誰が見てもわかるけれど、なんで唐突にそんなことを言ったのかしら。ケル君の方が私より二人といた時間は長いはずなんだけど。……それも二人がいない時に私に訊くのね。
「そうですね、ずっと一緒に過ごしてきたので当然ではないでしょうか」
【ゾー、でもあれはどうなんだろ……】
「あれ、とはなんですか?」
【アイリスがガーベラとデート行ってた日のことなんだゾ……】
◆◆◆
その日、オイラはアイリスがおめかしして出ていったあと、お昼寝してたんだゾ。いつものことなんだゾ。ウトウトして自分でもあと少しで眠りにつくってことがわかった頃、ロモンとリンネが仲良く喋ってて、その内容が偶然耳に入ったんだゾ。
「アイリスちゃんはデートだし、ケルは寝ちゃったね」
「そうだね、お姉ちゃん」
「いいよね、アイリスちゃん。誰かとお付き合いするのってすごく楽しそう。ぼくもやっぱりそのうち結婚したいって思えるような恋人が欲しいな! お父さんみたいな人がいいや」
「私も! でもお姉ちゃんに彼氏ができたら、私はちょっと寂しいなぁ……」
ロモンがそう言ったんだゾ。ロモンにとって自分の片割れみたいなものだし理解はできる感情なんだゾ。でもここから雲行きが怪しくなるんだゾ。
「大丈夫だよ、なんとなくだけど、ぼくに恋人ができる頃にはロモンにも同じようにできてる気がするよ。寂しくないよ?」
「んー、なんていえばいいんだろう。お姉ちゃん……」
「どうしたのロモン、お酒でも飲んだの? な、なんかおかしいよ。ロモンだってぼくと変わらない考えしてだはずでしょ?」
「ああー、そういえばさっき、お水と間違えて料理酒飲んじゃったの……一応すぐ吐き出したけど……」
「えぇ!? 何やってるのさ!」
「寝ぼけてたんだよね……」
二人とも普段はいろんなことをきっちりこなすけど、たまにこう言うことやらかすんだゾ。それぞれ年に一回あるかないかだゾ。にしてもわざわざキッチンから料理酒取り出して水と間違えて飲むなんて普通やらないゾ。つまりロモンはアイリスが出てってからお酒を飲んで、酔っ払ってたんだゾ。
「もう。とりあえずお水のんで寝直したら?」
「んー、お姉ちゃん添い寝してー」
「まあ、いいよ!」
そう言うわけで二人は普段着のまま布団の中に潜ったんだゾ。そしたらすぐにロモンがリンネに抱きついたんだゾ。ちなみにオイラは薄め開けて見てるんだゾ、お互いがお互いに注目してるからバレなかったんだゾ。
「わぁ!」
「えへへー、お姉ちゃん大好きっ」
「えへへ、ぼくもだよロモン」
「お姉ちゃんって本当にかわいいよねっ……」
「ぼくよりロモンの方がかわいいよ」
「……かわいい、お姉ちゃん。とっても」
「……ロモン? やっぱり酔っ払ってるよね?」
「うん、酔っ払ってる。今の私ならなんでもできそう」
「でもお昼寝しようね」
「お姉ちゃん、ちょっとごめんね」
「うん? ……ひぃゃん!」
ロモンが顔を赤くしながらリンネの胸を鷲掴みにしたんだゾ。去年よりは明らかに掴みやすそうなんだゾ。
「やわらか~い」
「ち、ちょっとロモン! やめようね、これはお風呂の時にだけやるものでしょ!」
「ふかふかしてる……」
「そりゃあちょっとは大きくなったから。それはロモンも同じでしょ? それよりもうやめようね、くすぐったいよ」
「まだ触ってたい」
「ほとんど同じなんだから自分のでもいいでしょ!」
「わかった、お姉ちゃんの反応が楽しいんだ……」
「えぇ、タチ悪いよ……」
それからロモンはリンネのお尻や胸をペトペト触ってたんだゾ。ロモンに多分、お酒は飲ませない方がいいゾ。少なくとももうちょっと免疫つけてからじゃないとダメだゾ。心を許してる相手に何やらかすかわかったもんじゃないゾ。これが異性なら大変なことになってたゾ。
「かわいーなー」
「あっ……んっ。そ、そんなやるんだったらぼくもやり返すからね! んくぅ…」
「もちろんいいよー」
「はううぅ、元に戻ってよロモン!」
「お姉ちゃんもお酒を飲めば私との同じになるんじゃない?」
「やだよ、暴走したくないよ」
「じゃあおとなしく私に身を委ねて……」
「いーやだー! なんだかロモン、アイリスちゃんが着替えてる最中のぼく達を見てる時みたいな目つきになってるよ!?」
「んふふー」
ところでアイリスのあの眼差しはなんか意味があるのかゾ? え、見守ってるだけ? ま、それならいいんだゾ。
とりあえずここでロモンが大胆な行動に出たんだゾ。
「ちゅっ」
「わぁ!?」
「お姉ちゃんの唇柔らかい……」
「ろ、ロモンとキスなんて久しぶりだよ」
「いいじゃんたまには……あれ?」
「ど、どうしたのロモン」
「なんだか満足したら眠く……なっ……」
そしてロモンは動きを止めたんだゾ。つまり寝ちゃったんだゾ。リンネはハーってため息をついてから、にっこり笑ってロモンを抱きしめて一緒に寝ちゃったんだゾ。オイラもわけわかんなかったけど、とりあえず寝ることにしたんだゾ。
◆◆◆
【とまぁ、こんな感じだったんだけど、あれって普通の姉妹愛ってことでいいんだゾ?】
「は、はひいいんではないでほうか? 姉妹でも好きな時はそれほど好きだと思いますほ」
なんて甘美な話なんだろう。ロモンちゃんがリンネちゃんを揉みまくってるとこ見たかった。キスしてるシーンも見たかった。想像しただけでよだれか垂れてきそう。
【なんか、今のアイリスの方があの時のロモンよりやばい感じがするんだゾ。……なんで鼻から血が出てるんだゾ?】
「こ、これは気にしないでください!!」
「「ただいまー!」」
しまった、お買い物に出かけてた二人が戻ってきた。こんな変態的な姿を見られたら私、恥ずかしさで死んでしまう!
とりあえず出た分の鼻血は拭いてしまって、回復魔法で止血しましょう。これでよし。二人をお迎えしなければ。
「お、おかえりなさい二人とも! ところでお二人ってキスするんですか?」
しまった、バラのような光景を見たさに口が暴走した! ああ、もし今の私をガーベラさんに見られたら信用がだいぶ失われるに違いないわ。それより今の言い訳どうしよう。
「するよ! チュッ。ほらね?」
「もう、お姉ちゃんったら」
なんとケル君のお話とは変わって、リンネちゃんからロモンちゃんのほっぺたに! うはあああっ! なんて可愛らしい! ぜひ私にもして欲しいけれど、人型になってから機会が減って……。
「アイリスちゃんもして欲しそうな顔してるね」
「お願いします」
「仕方ないなー、いいよ!」
「アイリスちゃんだから特別だよ!」
お二人は私の両頬からキスをしてくださいました。なんたる幸せなんでしょうか。これは至福ですね。ぐへへへへ。
【もしかして一番おかしいのって、アイリスかゾ?】
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それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
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