7 / 378
7話 命名していただいたのでございます!
しおりを挟む私は、ここにいる全員に、自分が話してることを伝わるようにした。
もうこれでMP4もなくなったんだけど…。
これからはMPの管理が大変だなぁ…。
【皆様、私の念が届きますでしょうか?】
「うわ、本当に恐ろしいくらい流暢にしゃべるね! 大丈夫、届いてるよ」
「なんと、長年生きた魔物や高位の魔物でないとこんな流暢に喋れんぞ……やっぱり、ただのトゥーンゴーレムではないか……」
ふむふむ、丁寧な口調の効果はなかなかだ。
私の頭の良さも認めてもらえたみたいだし。
とりあえず、今することは…トゥーンゴーレムっていう魔物名じゃ、イマイチ嫌だから名前でもつけてもらおうかな。
【申し訳ないのですが、私に名前をつけて頂きたいのですが】
「名前! そだね、これから名前がないと呼ぶのに不便だもんね。なにがいいかな?」
「この子の性別わかる? おじいちゃん」
「そうだな。このトゥーンゴーレムは、頭部が半球で丸いからメスのようじゃぞ」
なぬ!? 私は女の子だったか。
そうか。
だいたい、ゴーレムに性別あったのか…なんで土人形に性別があるの?
あと私は基本、初対面の人のネーミングセンサに頼らず、いい名前にしたい。
ゆえに、名前の方向性のヒントをみなさんに送ろう!
【なら、私、花の名前等が良いです】
「花の名前! いいね」
「そうだね……ぼく、植物図鑑見てくるね」
リンネちゃん軽い駆け足で、この屋敷の奥のどっかに行った。
しばらくして、表紙が緑色の分厚い本を抱えて戻ってきた。
彼女は机の上にドンと本を下す。
「ふぅ、花言葉らへんから、いいのを選んだ方がいいとおもうよ。ボクは」
「そうだねー……うーんと、あ私、これいいと思う、お姉ちゃん!」
「どれ……いいね! それ、花言葉がぴったりだし名前もしっくりくる」
選ぶの早いな。
それで、どんなのが選ばれたのかな?
「じゃあ発表します! トゥーンゴーレムの名前は……アイリスちゃんです!」
「花言葉は信頼、友情、そして他の魔物と比べて頭がいい君にぴったりな知恵だよ」
なるほど、アイリスか。
悪くない、私にぴったり(?)な名前だね。
「どうかな?」
【どうもありがとうございます! 私はこれからアイリスです。よろしくお願いします】
「うん! よろしくね、アイリスちゃん」
「妹となかよくね、アイリスちゃん」
「はっはっは、孫の初めての仲間じゃ。これからよろしく頼む」
名前をつけてもらった。
嬉しい!
ステータスをみたら、名前が反映されてるとかないかな?
==============
アイリス (トゥーンゴーレム)
Lv.7
HP: 40/40
MP: 7/15
攻撃:40
魔力:12
防御:37
器用:28
素早:27
特技: [念話]
==============
おおっ! 反映されてるね。
それに念話も。
てなわけで私は完全にアイリスだ!
中々にいい名前だね。
リンネちゃんがなにやら、手をパンと叩き、『さて』とつぶやいた。
「じゃあぼく達もアイリスに自己紹介しようよ」
そういって改まって私の方を振り向く。
最初に私と最初に出会った水色のストレートロングレアの女の子から。
「そだね。私はロモンだよ! お母さんみたいな、立派な魔物使い目指してるの」
ふんふん、ロモンちゃんね。
魔物使い、これから頑張ってね、私も協力するからさ。
「ぼくはリンネ。ロモンの双子の姉だよ! お父さんみたいや、立派な剣士を目指してるの」
剣を見る限りそうじゃないかとおもってたんだ。
ボクっ娘剣士、いいねぇ~!
「わしはウォルクだ。この娘たちの祖父で、魔物使い兼研究者をしておる。アイリスが止血してくれたのがわしの娘…こやつらの母親の仲魔のケル、そしてわしの隣にいる白いのが、わしの仲魔のガーナじゃ」
なるほど、だからなにか興味ありげに私を見てるのか。
この人も魔物使いなのね。
【ヨロシク、アイリスちゃん。ワタシハガーナよ】
【ロモント、ボクヲタスケテクレテ、アリガトウナンダゾ、アイリス。ケルダゾ、ヨロシクナノダゾ】
いつの間にかケル君も起きてたみたい。
ガーナさん、みんなから自己紹介された。
でも、魔物二人はやっぱり私とちがって人間の会話のタイミングがつかめないのか、二人ともかぶって話している。
【ふつつかものですが、宜しくお願い致します】
私は劇のようなお辞儀をみんなにした。
◆◆◆
「さてと……」
ウォルクおじいさんがそう呟いた。
「新しい仲魔が加わったのはいいんだが、いろいろと問題は残ってるな、まずその冒険者共をどうするか……じゃが」
「コテンパンにしちゃってよ! ロモンを襲って、ケルを刺したんだよ!」
【ソウダゾ、イタカッタンダゾ】
「まぁ、証拠も証人もいることだし、このまま拘束して連行して貰えばいいか。あとは法に裁いてもらおう」
そう言って、ウォルクおじいさんは、ナーガさんを連れて、この家から出てどっか行ってしまった。
「大丈夫かな……」
「大丈夫だって、あとはおじいちゃんがなんとかしてくれるよ」
【ソウダゾ! アノヒトハ、ワリトスゴインダゾ!】
二人がこの先の展開を心配しているみたいだ。
さて、私はなにをすべきだろうか……。
ちょっと聞いてみるかな?
【あの…ロモン様、リンネ様。私はなにを今はすべきでしょうか?】
「ん? あ…そうね…ここでのんびりしててもいいし、外に出て村を見て回ってもいいんじゃないかな」
「私は回復魔法でケルちゃん治癒してるから…アイリスちゃん、行っておいで?」
なに、回復魔法だって?
是非とも見てみたい。
念にしか使わないMPなんか嫌だからさ、せっかくだし魔法覚えたい。
一緒にケル君治療させてもらえないか聞いてみよう。
【すいません、私、その回復魔法というものを見てみたいのですが、ケル様の治癒を手伝わせてもらえないでしょうか?】
リンネちゃんとロモンちゃんが互いに顔を見合わせて驚いた顔をしている。
そしてヒソヒソ話している。
お、なにやら決まったようだが?
「いいよ、アイリスちゃん。一緒にケルちゃん治癒しようね」
【ありがとうございます】
よし、間近で回復魔法が見れるぞ。
一回見たらしばらくは自己練習しよう。
回復魔法を覚えていて困ることなんて絶対ないはずだからね。
私は寝なくても、ご飯を食べなくてもいいから、強さを追求するのにぴったりなんだよね。
「じゃあ、アイリスちゃんこっち来てね」
「ん、なら、ぼくは外で鍛錬とか、村の人たちに新しい仲魔が加わったことを教えてくるね。じゃね」
そう言ってリンネちゃんも外に出て行った。
この場にいるのはロモンちゃんとケル君と私だけ。
私はロモンちゃんとケル君の元へと行く。
「じゃあ、今から回復魔法をケルちゃんにかけるから、アイリスちゃん、見ててね?」
そう言って、彼女は今、大人しくしているケル君の私お手製の包帯を解き、広い傷口をあらわにした。
そこに、当たるか当たらないかぐらいの距離で両手を広げて、まるでストーブに手をあててるような姿勢になった。
そして、彼女は『ペア』と唱えると、その広げた手のひらから優しい緑色の光が放たれた。
見ているとなにか安心できるような感覚になる。
とは言っても、どうやらケル君の傷は少しずつしか塞がってないみたいだった。
「う~ん……塞がらないかも……思ったより傷が深いなぁ…」
ならば、私もやってみよう。
ロモンちゃんと同じように手のひらを突き出し、『ペア』と頭の中で考えてみた。
しかし、なにも出なかった。
「呪文を習得するのは中々難しいから……それにアイリスちゃんはトゥーンゴーレム、もともと回復魔法は覚えられないよ?」
そんなの関係ない。
私は他のトゥーンゴーレムとは違うから、多分できる。
そうだ、唱えたらいけるかもしれない、でも口がないから唱えられない……。
どうしようかな…。
念だ、念を使えばいいんだ。
ケル君の頭の中に『ペア』というメッセージを送ってみよう、ついでに念と同じように、手のひらの一箇所に魔力を集めて放てばできるかもしれない。
【ペア】
ダメもとで唱えた。
すると、なんということだろう、私の手から緑色の光が放たれたではないか!
これは…習得できたんじゃないか?
【回復魔法『ペア』を習得しました】
うし!
「え! 嘘、すごい! アイリスちゃんすごいよ! ありえない!」
ふふん、そうでしょそうでしょ?
私はこれで回復役もできるね。
0
お気に入りに追加
1,775
あなたにおすすめの小説
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
どうやら私(オタク)は乙女ゲームの主人公の親友令嬢に転生したらしい
海亜
恋愛
大交通事故が起きその犠牲者の1人となった私(オタク)。
その後、私は赤ちゃんー璃杏ーに転生する。
赤ちゃんライフを満喫する私だが生まれた場所は公爵家。
だから、礼儀作法・音楽レッスン・ダンスレッスン・勉強・魔法講座!?と様々な習い事がもっさりある。
私のHPは限界です!!
なのになのに!!5歳の誕生日パーティの日あることがきっかけで、大人気乙女ゲーム『恋は泡のように』通称『恋泡』の主人公の親友令嬢に転生したことが判明する。
しかも、親友令嬢には小さい頃からいろんな悲劇にあっているなんとも言えないキャラなのだ!
でも、そんな未来私(オタクでかなりの人見知りと口下手)が変えてみせる!!
そして、あわよくば最後までできなかった乙女ゲームを鑑賞したい!!・・・・うへへ
だけど・・・・・・主人公・悪役令嬢・攻略対象の性格が少し違うような?
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
皆さんに楽しんでいただけるように頑張りたいと思います!
この作品をよろしくお願いします!m(_ _)m
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
【完結】その悪女は笑わない
ariya
ファンタジー
アリーシャは花姫と呼ばれれるお妃候補であった。他の花姫を毒殺した罪と王族を呪詛した罪で処刑された、はずであったが彼女は処刑される6カ月前に回帰してしまった。
※微グロあり
前世は婚約者に浮気された挙げ句、殺された子爵令嬢です。ところでお父様、私の顔に見覚えはございませんか?
柚木崎 史乃
ファンタジー
子爵令嬢マージョリー・フローレスは、婚約者である公爵令息ギュスターヴ・クロフォードに婚約破棄を告げられた。
理由は、彼がマージョリーよりも愛する相手を見つけたからだという。
「ならば、仕方がない」と諦めて身を引こうとした矢先。マージョリーは突然、何者かの手によって階段から突き落とされ死んでしまう。
だが、マージョリーは今際の際に見てしまった。
ニヤリとほくそ笑むギュスターヴが、自分に『真実』を告げてその場から立ち去るところを。
マージョリーは、心に誓った。「必ず、生まれ変わってこの無念を晴らしてやる」と。
そして、気づけばマージョリーはクロフォード公爵家の長女アメリアとして転生していたのだった。
「今世は復讐のためだけに生きよう」と決心していたアメリアだったが、ひょんなことから居場所を見つけてしまう。
──もう二度と、自分に幸せなんて訪れないと思っていたのに。
その一方で、アメリアは成長するにつれて自分の顔が段々と前世の自分に近づいてきていることに気づかされる。
けれど、それには思いも寄らない理由があって……?
信頼していた相手に裏切られ殺された令嬢は今世で人の温かさや愛情を知り、過去と決別するために奔走する──。
※本作品は商業化され、小説配信アプリ「Read2N」にて連載配信されております。そのため、配信されているものとは内容が異なるのでご了承下さい。
婚約破棄られ令嬢がカフェ経営を始めたらなぜか王宮から求婚状が届きました!?
江原里奈
恋愛
【婚約破棄? 慰謝料いただければ喜んで^^ 復縁についてはお断りでございます】
ベルクロン王国の田舎の伯爵令嬢カタリナは突然婚約者フィリップから手紙で婚約破棄されてしまう。ショックのあまり寝込んだのは母親だけで、カタリナはなぜか手紙を踏みつけながらもニヤニヤし始める。なぜなら、婚約破棄されたら相手から慰謝料が入る。それを元手に夢を実現させられるかもしれない……! 実はカタリナには前世の記憶がある。前世、彼女はカフェでバイトをしながら、夜間の製菓学校に通っている苦学生だった。夢のカフェ経営をこの世界で実現するために、カタリナの奮闘がいま始まる!
※カクヨム、ノベルバなど複数サイトに投稿中。
カクヨムコン9最終選考・第4回アイリス異世界ファンタジー大賞最終選考通過!
※ブクマしてくださるとモチベ上がります♪
※厳格なヒストリカルではなく、縦コミ漫画をイメージしたゆるふわ飯テロ系ロマンスファンタジー。作品内の事象・人間関係はすべてフィクション。法制度等々細かな部分を気にせず、寛大なお気持ちでお楽しみください<(_ _)>
【完結】悪役令嬢に転生したのでこっちから婚約破棄してみました。
ぴえろん
恋愛
私の名前は氷見雪奈。26歳彼氏無し、OLとして平凡な人生を送るアラサーだった。残業で疲れてソファで寝てしまい、慌てて起きたら大好きだった小説「花に愛された少女」に出てくる悪役令嬢の「アリス」に転生していました。・・・・ちょっと待って。アリスって確か、王子の婚約者だけど、王子から寵愛を受けている女の子に嫉妬して毒殺しようとして、その罪で処刑される結末だよね・・・!?いや冗談じゃないから!他人の罪で処刑されるなんて死んでも嫌だから!そうなる前に、王子なんてこっちから婚約破棄してやる!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる