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第8話 四日間の成果
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試験当日まであと三日。
昨日、お姉ちゃんに特訓に付き合って欲しいとお願いをしてある。
「ふっふっふ、私の力が必要なんだもんね!」
「うん、必要なんだ。四日間の成果、見てほしい」
「……四日で成果って呼べるほどのことができたの?」
「うん、できたの」
自分でもたった四日でこうなるとは思ってもみなかった。お父さんが持ってきてくれた本と【特技強化】のおかげだ。それと、魔法が得意であってくれた自分自身。……なんてね。
「なにができるようになったか気になってるなら、自分の整理をつける為にメモしてあるから後で見てほしい。手伝ってくれたお姉ちゃんには僕の詳細を見る権利がある」
「そうかなぁ、姉としてできる範囲で弟の応援をしてるだけだよ。それで、私はなにをすればいい? 痛いのは少しだけにしてね……?」
「そんなことしないよ。お姉ちゃんには僕に向かって攻撃魔法を撃って欲しいんだ」
「え、えぇ!?」
弟の僕のことを大事にしてくれてるお姉ちゃんにとって、僕から攻撃されるよりキツイお願いだと思う。でも他に頼める人はいない。
「お姉ちゃんは前に【多発魔法】の能力をもってるって言ってたよね? 一度に複数発の魔法を撃てるようになる能力」
「う、うん。最初からね」
「それも活用して庭が壊れない程度に、でも手加減はなるべくしないで僕に向かって魔法を撃って欲しいんだ」
「ほ、本気なんだね? ギィくんが怪我しないような準備が、できてるんだよね?」
「もちろん。お願い、お姉ちゃん」
「わ、わかった……! じゃあいくよ……」
お姉ちゃんは渋々手のひらを前に突き出した。頭上に三つの赤い魔法陣が現れる。
「ビー・ランド……!」
それぞれの魔法陣から土塊が出現し、僕に向かって飛んできた。
僕はその三つの土塊に意識を向け……。
土塊は全て体感的に「花の花弁が風で舞いつつ地面に落ちるまで」と同じくらいの速さになった。
「あ、あれぇ!?」
僕は驚くお姉ちゃんのもとへ、ゆーっくりと迫りくる魔法を無視して堂々と歩み寄って行き、その突き出された手首を掴んだ。
「どう、お姉ちゃん」
「な、なにしたの?」
「答える前にもう一つみてほしい」
「うん? ……あれ、ギィくん!?」
「こっち、後ろだよ」
「え、うそ……う!」
お姉ちゃんの後ろに回り込み、肩を叩く。驚いて振り向いたお姉ちゃんの頬を指で軽く突いた。
これらができるようになってから、初めて人を相手に使ってみたけれど、うん、上々だ。
そして今更、お姉ちゃんがさっき放った土魔法は地面へ降り立った。動きがゆっくりすぎてあまり衝撃がなく、庭にそんなに被害が出ていない。
「ふふふ、どうだった?」
「す、すごいけど何したか全然わかんない……。今の全部、速度魔法によるものなんだよね?」
「そうだよ。はい、これが言ってたメモ」
「どれどれ……」
-----
修得済み一覧
・魔法
『シィ・スピアップ』『シィ・スピダウン』
『シィ・スピアプワイド』『シィ・スピダウワイド』
・能力
【特技強化・極】【個性求道】
【ネバーギブアップ】
【速読・改】【高質読書】
【重複補助】【補助強化(速)・改】
【対特異効果・改】
【高速詠唱】【脳内詠唱】
【不可視の魔】【安定発動】
【高速魔法】【多発魔法】【連続魔法】
【魔力回復】【魔力節約】【補助節約・改】
-----
「えーっと、うーんっと……あはは……。あの、ごめん、何から驚いていいかわからないの。だって魔法も三段階目まで来ちゃってるし……もうよくわかんないっていうか……」
お姉ちゃんが混乱するのも仕方がない。
僕自身、この修得済みリストを書き上げたあとで眺めてみて、思わず首を傾げてしまったから。
ただ残念なのが、【個性求道】をまだ生かせていないこと。いや、それでもこれは十分だけど。
「一体どんな特訓をしたの?」
「ふふん、かなり頑張ったんだよ? 一昨日から今日まで、寝ている時以外、実はずっと魔法をどこかしらにかけ続けていたんだ」
「そ、そんなことしたら魔力切れに……」
「そう、かなり早い段階で一回だけ魔力切れになったんだ。でも【ネバーギブアップ】の効果で回復したから身体が動かなくなることもなかったし、その一度の魔力切れで【魔力回復】が習得できたんだよ」
【魔力回復】は普通より早く魔力が回復する能力。
おそらくだけど、【ネバーギブアップ】による一時的かつ急速な魔力の回復を【特技強化】は、僕自身がもともと魔力の回復が得意だと認識してしまったんだと思う。
そして一種の魔法しか練習しようとしないからか、補助魔法で消費する魔力を節約できる【補助節約】も、【魔力回復】を習得しああとすぐに手に入れてしまった。
特訓の進行そのものが、その魔力の消費を抑えられる二つの能力を早く習得できたおかげでスムーズだった。
あと僕がモノにばかり魔法をかけ続けたのもあるかもしれない。練習台にできら対象がたくさんあるもの。
普通の人は本来の対象である、生き物でしか普通は練習しないみたいだし。
こうして一種の魔法を二日間ほぼぶっ通しで、欲しい能力の特訓方法や効果に合わせて発動させ続けることが滞りなくできた。
木の枝を空中に放り投げて落下するまでに、魔法で速くしたり遅くしたりを五百回ずつ繰り返したり……。
魔法陣が出現する瞬間に間髪入れずに同じ魔法を繰り返し何度も何度も何度も唱えてみたり……。
魔法の詠唱の途中まで口で唱え、残りを脳内で補完するというのを三時間行なったり……。
結構むちゃくちゃやったと思う。濃縮された二日間だった。
普通はここまでやっても、大半の能力は二日じゃ習得するのは無理なのだけれど。
さまざまな要因が重なってくれて大幅な時間短縮ができたのは間違いないし、それぞれの習得そのものに至るのは結局【特技強化・極】の恩恵が一番大きいと思う。
でもやっぱり、自分はがかなり頑張ったという自覚もある。
「ギィくんがそこまで一つのことにのめり込むなんて初めてじゃないかな……?」
「目標ができたからね。それでお姉ちゃん、リストを見て僕がさっきなにをしたかわかった?」
お姉ちゃんは眉間にシワを寄せ、しばらく考える素振りを見せてから首を傾げた。
「うーーん、なんとなくわかるけど正解してる自信がないよ。答え、教えてくれないかな?」
「わかった」
お姉ちゃんにはこう説明した。
-----
まず僕自身が、
【対特異効果・改】により魔法そのものやモノが対象でも生き物相手と同じくらい補助魔法の効果を発揮できるようになっており、
【重複補助】により補助魔法を重ねがけできるようになり、
【補助強化(速)・改】で補助の効果が強化されている状態である。
そして、
【多発魔法】がお姉ちゃんの土魔法全てを一度に対象にし、
【連続魔法】で同じ魔法を同じ対象に連続で複数回撃ち込み、
【高速魔法】により効果が出るまでの時間が短縮されている。
その上で、
【脳内詠唱】により無言で、
【高速詠唱】により素早く脳内で唱え、
【安定発動】で放ちやすい体勢をとること必要なく『シィ・スピダウン』を発動。これによりお姉ちゃんの土魔法の動きは遅くなった。
そのあとお姉ちゃんの手首を握ってから、自分に『シィ・スピアップ』をかけて後ろに素早く移動した。
そして魔力は、
【魔力節約】と【補助節約・改】の重複により消費が大幅に抑えられ、
【魔力回復】による普通の人より早い魔力回復速度で、ここまでに使った魔力は完全に回復しつつある。
----
……と。
ちなみに今回は土魔法に対しては『シィ・スピダウン』二回分が重複するように、自分に対しては『シィ・スピアップ』一回分だけをかけていた。
【重複補助】【多発魔法】【連続魔法】は今のところそれぞれ三回分、三つの対象、三連続が限度だ。進化すれば増えていくみたい。
「ってことは、さっきの立ち会いでほとんどの能力を稼働させて使いこなすことができてたってことだよね!」
「そうなるね、たしかに」
「すごい、すごいよ! 魔法が一種しか使えない状況から、ここまでたった四日でできるようになったんだもん! ギィくんはただの天才じゃない。ギィくんは……ギィくんは……大天才だよぉおおお!」
「そんなに大声出したら近所迷惑だよ……」
そんなことはお構いなしに、お姉ちゃんは両手を広げながら抱きしめようと迫ってきた。
==========
(あとがき)
※次は本日(4/29)の午後11時にて、9~10話の投稿となります。
能力の説明
『【多発魔法】と【連続魔法】の違い』
まず【多発魔法】は所持していると、
・攻撃系の魔法ならば一度の詠唱で魔法陣を決められた数まで一度に出現させることができる。
・回復・補助系の魔法ならば一度の詠唱で決められた数の人数を対象にできる。
というものです。
次に【連続魔法】は所持していると、
・攻撃系の魔法ならば、一度の詠唱で連続して魔法陣を出現させることができる。
・回復.補助系の魔法ならば、一度の詠唱で同じ相手に連続で魔法をかけることができる。
というものです。
特に攻撃系の魔法に関して双方の効果がほぼ同じにみえますが、実は結構違います。
例えば【多発魔法】は複数を相手にできるのに対し、【連続魔法】はそれができません。
しかし逆に【連続魔法】は同じ範囲から連続で魔法を撃ちこむことができますが、【多発魔法】は同じ範囲から撃ち出すことができません(魔法陣同士を被せられるか、られないか)。
要するに、【多発魔法】は対群用、【連続魔法】は対個人用の魔法陣複数出現能力であるということになります。
使い勝手は圧倒的に多発魔法のほうがいいです。
絵の方が分かりやすそうですかね? 図で説明しますと、こんな感じになりました。
↓↓↓
ちなみに、この両方の能力を所持していた場合、「複数の相手一人一人に連続で同じ魔法を撃ち出す」ことができるようになります。
今話での主人公の場合、三人相手に三連続で同じ魔法を撃てるので、彼が一度の詠唱で出現させられる魔法陣の最大数は9つということになります。
その分、普通に魔法を撃つより9倍の魔力がかかります。
(非常に励みになりますので、もし良ければ感想やお気に入り登録などの方、よろしくお願いします!)
昨日、お姉ちゃんに特訓に付き合って欲しいとお願いをしてある。
「ふっふっふ、私の力が必要なんだもんね!」
「うん、必要なんだ。四日間の成果、見てほしい」
「……四日で成果って呼べるほどのことができたの?」
「うん、できたの」
自分でもたった四日でこうなるとは思ってもみなかった。お父さんが持ってきてくれた本と【特技強化】のおかげだ。それと、魔法が得意であってくれた自分自身。……なんてね。
「なにができるようになったか気になってるなら、自分の整理をつける為にメモしてあるから後で見てほしい。手伝ってくれたお姉ちゃんには僕の詳細を見る権利がある」
「そうかなぁ、姉としてできる範囲で弟の応援をしてるだけだよ。それで、私はなにをすればいい? 痛いのは少しだけにしてね……?」
「そんなことしないよ。お姉ちゃんには僕に向かって攻撃魔法を撃って欲しいんだ」
「え、えぇ!?」
弟の僕のことを大事にしてくれてるお姉ちゃんにとって、僕から攻撃されるよりキツイお願いだと思う。でも他に頼める人はいない。
「お姉ちゃんは前に【多発魔法】の能力をもってるって言ってたよね? 一度に複数発の魔法を撃てるようになる能力」
「う、うん。最初からね」
「それも活用して庭が壊れない程度に、でも手加減はなるべくしないで僕に向かって魔法を撃って欲しいんだ」
「ほ、本気なんだね? ギィくんが怪我しないような準備が、できてるんだよね?」
「もちろん。お願い、お姉ちゃん」
「わ、わかった……! じゃあいくよ……」
お姉ちゃんは渋々手のひらを前に突き出した。頭上に三つの赤い魔法陣が現れる。
「ビー・ランド……!」
それぞれの魔法陣から土塊が出現し、僕に向かって飛んできた。
僕はその三つの土塊に意識を向け……。
土塊は全て体感的に「花の花弁が風で舞いつつ地面に落ちるまで」と同じくらいの速さになった。
「あ、あれぇ!?」
僕は驚くお姉ちゃんのもとへ、ゆーっくりと迫りくる魔法を無視して堂々と歩み寄って行き、その突き出された手首を掴んだ。
「どう、お姉ちゃん」
「な、なにしたの?」
「答える前にもう一つみてほしい」
「うん? ……あれ、ギィくん!?」
「こっち、後ろだよ」
「え、うそ……う!」
お姉ちゃんの後ろに回り込み、肩を叩く。驚いて振り向いたお姉ちゃんの頬を指で軽く突いた。
これらができるようになってから、初めて人を相手に使ってみたけれど、うん、上々だ。
そして今更、お姉ちゃんがさっき放った土魔法は地面へ降り立った。動きがゆっくりすぎてあまり衝撃がなく、庭にそんなに被害が出ていない。
「ふふふ、どうだった?」
「す、すごいけど何したか全然わかんない……。今の全部、速度魔法によるものなんだよね?」
「そうだよ。はい、これが言ってたメモ」
「どれどれ……」
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修得済み一覧
・魔法
『シィ・スピアップ』『シィ・スピダウン』
『シィ・スピアプワイド』『シィ・スピダウワイド』
・能力
【特技強化・極】【個性求道】
【ネバーギブアップ】
【速読・改】【高質読書】
【重複補助】【補助強化(速)・改】
【対特異効果・改】
【高速詠唱】【脳内詠唱】
【不可視の魔】【安定発動】
【高速魔法】【多発魔法】【連続魔法】
【魔力回復】【魔力節約】【補助節約・改】
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「えーっと、うーんっと……あはは……。あの、ごめん、何から驚いていいかわからないの。だって魔法も三段階目まで来ちゃってるし……もうよくわかんないっていうか……」
お姉ちゃんが混乱するのも仕方がない。
僕自身、この修得済みリストを書き上げたあとで眺めてみて、思わず首を傾げてしまったから。
ただ残念なのが、【個性求道】をまだ生かせていないこと。いや、それでもこれは十分だけど。
「一体どんな特訓をしたの?」
「ふふん、かなり頑張ったんだよ? 一昨日から今日まで、寝ている時以外、実はずっと魔法をどこかしらにかけ続けていたんだ」
「そ、そんなことしたら魔力切れに……」
「そう、かなり早い段階で一回だけ魔力切れになったんだ。でも【ネバーギブアップ】の効果で回復したから身体が動かなくなることもなかったし、その一度の魔力切れで【魔力回復】が習得できたんだよ」
【魔力回復】は普通より早く魔力が回復する能力。
おそらくだけど、【ネバーギブアップ】による一時的かつ急速な魔力の回復を【特技強化】は、僕自身がもともと魔力の回復が得意だと認識してしまったんだと思う。
そして一種の魔法しか練習しようとしないからか、補助魔法で消費する魔力を節約できる【補助節約】も、【魔力回復】を習得しああとすぐに手に入れてしまった。
特訓の進行そのものが、その魔力の消費を抑えられる二つの能力を早く習得できたおかげでスムーズだった。
あと僕がモノにばかり魔法をかけ続けたのもあるかもしれない。練習台にできら対象がたくさんあるもの。
普通の人は本来の対象である、生き物でしか普通は練習しないみたいだし。
こうして一種の魔法を二日間ほぼぶっ通しで、欲しい能力の特訓方法や効果に合わせて発動させ続けることが滞りなくできた。
木の枝を空中に放り投げて落下するまでに、魔法で速くしたり遅くしたりを五百回ずつ繰り返したり……。
魔法陣が出現する瞬間に間髪入れずに同じ魔法を繰り返し何度も何度も何度も唱えてみたり……。
魔法の詠唱の途中まで口で唱え、残りを脳内で補完するというのを三時間行なったり……。
結構むちゃくちゃやったと思う。濃縮された二日間だった。
普通はここまでやっても、大半の能力は二日じゃ習得するのは無理なのだけれど。
さまざまな要因が重なってくれて大幅な時間短縮ができたのは間違いないし、それぞれの習得そのものに至るのは結局【特技強化・極】の恩恵が一番大きいと思う。
でもやっぱり、自分はがかなり頑張ったという自覚もある。
「ギィくんがそこまで一つのことにのめり込むなんて初めてじゃないかな……?」
「目標ができたからね。それでお姉ちゃん、リストを見て僕がさっきなにをしたかわかった?」
お姉ちゃんは眉間にシワを寄せ、しばらく考える素振りを見せてから首を傾げた。
「うーーん、なんとなくわかるけど正解してる自信がないよ。答え、教えてくれないかな?」
「わかった」
お姉ちゃんにはこう説明した。
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まず僕自身が、
【対特異効果・改】により魔法そのものやモノが対象でも生き物相手と同じくらい補助魔法の効果を発揮できるようになっており、
【重複補助】により補助魔法を重ねがけできるようになり、
【補助強化(速)・改】で補助の効果が強化されている状態である。
そして、
【多発魔法】がお姉ちゃんの土魔法全てを一度に対象にし、
【連続魔法】で同じ魔法を同じ対象に連続で複数回撃ち込み、
【高速魔法】により効果が出るまでの時間が短縮されている。
その上で、
【脳内詠唱】により無言で、
【高速詠唱】により素早く脳内で唱え、
【安定発動】で放ちやすい体勢をとること必要なく『シィ・スピダウン』を発動。これによりお姉ちゃんの土魔法の動きは遅くなった。
そのあとお姉ちゃんの手首を握ってから、自分に『シィ・スピアップ』をかけて後ろに素早く移動した。
そして魔力は、
【魔力節約】と【補助節約・改】の重複により消費が大幅に抑えられ、
【魔力回復】による普通の人より早い魔力回復速度で、ここまでに使った魔力は完全に回復しつつある。
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……と。
ちなみに今回は土魔法に対しては『シィ・スピダウン』二回分が重複するように、自分に対しては『シィ・スピアップ』一回分だけをかけていた。
【重複補助】【多発魔法】【連続魔法】は今のところそれぞれ三回分、三つの対象、三連続が限度だ。進化すれば増えていくみたい。
「ってことは、さっきの立ち会いでほとんどの能力を稼働させて使いこなすことができてたってことだよね!」
「そうなるね、たしかに」
「すごい、すごいよ! 魔法が一種しか使えない状況から、ここまでたった四日でできるようになったんだもん! ギィくんはただの天才じゃない。ギィくんは……ギィくんは……大天才だよぉおおお!」
「そんなに大声出したら近所迷惑だよ……」
そんなことはお構いなしに、お姉ちゃんは両手を広げながら抱きしめようと迫ってきた。
==========
(あとがき)
※次は本日(4/29)の午後11時にて、9~10話の投稿となります。
能力の説明
『【多発魔法】と【連続魔法】の違い』
まず【多発魔法】は所持していると、
・攻撃系の魔法ならば一度の詠唱で魔法陣を決められた数まで一度に出現させることができる。
・回復・補助系の魔法ならば一度の詠唱で決められた数の人数を対象にできる。
というものです。
次に【連続魔法】は所持していると、
・攻撃系の魔法ならば、一度の詠唱で連続して魔法陣を出現させることができる。
・回復.補助系の魔法ならば、一度の詠唱で同じ相手に連続で魔法をかけることができる。
というものです。
特に攻撃系の魔法に関して双方の効果がほぼ同じにみえますが、実は結構違います。
例えば【多発魔法】は複数を相手にできるのに対し、【連続魔法】はそれができません。
しかし逆に【連続魔法】は同じ範囲から連続で魔法を撃ちこむことができますが、【多発魔法】は同じ範囲から撃ち出すことができません(魔法陣同士を被せられるか、られないか)。
要するに、【多発魔法】は対群用、【連続魔法】は対個人用の魔法陣複数出現能力であるということになります。
使い勝手は圧倒的に多発魔法のほうがいいです。
絵の方が分かりやすそうですかね? 図で説明しますと、こんな感じになりました。
↓↓↓
ちなみに、この両方の能力を所持していた場合、「複数の相手一人一人に連続で同じ魔法を撃ち出す」ことができるようになります。
今話での主人公の場合、三人相手に三連続で同じ魔法を撃てるので、彼が一度の詠唱で出現させられる魔法陣の最大数は9つということになります。
その分、普通に魔法を撃つより9倍の魔力がかかります。
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