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第23話 着替え
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「もしお食事されるなら、料理人に伝えてまいりますが?」
タニアが業務的に淡々と告げた。
「食事って……この部屋?」
「いいえ。正式な食堂がございます。デュレン様はあまり好まれませんが、そこで食事をされるのが本来の正しい形なのです」
「じゃあ、昨晩のような、この部屋で食べるのは、本当なら正しくない?」
今ごろ気づいたが、テーブルの上には何も乗っていなかった。これもリアナが眠っている間に誰かが片付けたのだろう。
「ご希望ならお運びいたします。昨晩はデュレン様がそのように指示されたのです」
「わかりました。今日は食堂に行きます」
リアナがそう返事をすると、タニアがペコリと頭をさげた。
「ではそのように伝えてまいります。それまでお待ちください」
タニアが部屋からいなくなった。リアナはハーッと息をはき、疲れたように肩を拳でとんとん叩いた。
「もう少し、気さくに話してくれればいいのに……」
入れ替わるように今度はイーシャが部屋に入ってきた。手には櫛やメイク道具のようなものを、カゴに入れて持っている。ドレスも腕に抱いていた。
「これも亡き奥様のものですが……お食事をされる前に身だしなみを」
「あ、はい」
リアナはベッドの上で姿勢を正した。あられもない姿を見られたのかと思うと、とても恥ずかしい。
イーシャは、頬を染めてじっとしているリアナのドレスに手をかけ、脱がそうとしてきた。ためらうリアナに対し、イーシャは容赦ない。貴族の世界ではきっとこれが普通なのだろう。
「では、こちらのドレスにお着替えを」
それはドレスには違いないが、室内着のようだった。豪華と言うより可憐で可愛らしい。全体的に薄桃色でひらひらしているのだが、デュレンの母はこんな乙女のようなドレスを着ていたのだろうか。
リアナはナイトドレスを脱ぐとノーパンだったことに気づいて焦ったが、イーシャは少しも気にしていない様子だった。
手伝われながらドロワーズをはき、コルセットを締められた。
「く、くるしい……」
「少し緩めましょうか?」
「お願い……」
この世界の貴族の女性はよくこんな苦しいものを毎日身につけて……。リアナは感心を通り越して尊敬した。コルセットをつけてまともに食事はできるのだろうか。それが一番心配だった。
ドレスを着た後は髪を櫛でとかれた。そしてイーシャの手で薄いメイクを施され、最後に香水をふりかけられた。
タニアが業務的に淡々と告げた。
「食事って……この部屋?」
「いいえ。正式な食堂がございます。デュレン様はあまり好まれませんが、そこで食事をされるのが本来の正しい形なのです」
「じゃあ、昨晩のような、この部屋で食べるのは、本当なら正しくない?」
今ごろ気づいたが、テーブルの上には何も乗っていなかった。これもリアナが眠っている間に誰かが片付けたのだろう。
「ご希望ならお運びいたします。昨晩はデュレン様がそのように指示されたのです」
「わかりました。今日は食堂に行きます」
リアナがそう返事をすると、タニアがペコリと頭をさげた。
「ではそのように伝えてまいります。それまでお待ちください」
タニアが部屋からいなくなった。リアナはハーッと息をはき、疲れたように肩を拳でとんとん叩いた。
「もう少し、気さくに話してくれればいいのに……」
入れ替わるように今度はイーシャが部屋に入ってきた。手には櫛やメイク道具のようなものを、カゴに入れて持っている。ドレスも腕に抱いていた。
「これも亡き奥様のものですが……お食事をされる前に身だしなみを」
「あ、はい」
リアナはベッドの上で姿勢を正した。あられもない姿を見られたのかと思うと、とても恥ずかしい。
イーシャは、頬を染めてじっとしているリアナのドレスに手をかけ、脱がそうとしてきた。ためらうリアナに対し、イーシャは容赦ない。貴族の世界ではきっとこれが普通なのだろう。
「では、こちらのドレスにお着替えを」
それはドレスには違いないが、室内着のようだった。豪華と言うより可憐で可愛らしい。全体的に薄桃色でひらひらしているのだが、デュレンの母はこんな乙女のようなドレスを着ていたのだろうか。
リアナはナイトドレスを脱ぐとノーパンだったことに気づいて焦ったが、イーシャは少しも気にしていない様子だった。
手伝われながらドロワーズをはき、コルセットを締められた。
「く、くるしい……」
「少し緩めましょうか?」
「お願い……」
この世界の貴族の女性はよくこんな苦しいものを毎日身につけて……。リアナは感心を通り越して尊敬した。コルセットをつけてまともに食事はできるのだろうか。それが一番心配だった。
ドレスを着た後は髪を櫛でとかれた。そしてイーシャの手で薄いメイクを施され、最後に香水をふりかけられた。
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